IntelがPC向けCPU/GPUのロードマップを更新 「Raptor Lake」は2022年後半に
Intelが投資家向けのイベントでCPU/GPUの最新ロードマップを公表した。第12世代Coreプロセッサの後継となる「Raptor Lake(ラプターレイク)」は2022年後半に登場するという。
Intelは2月17日(米国太平洋時間)、投資家向けイベント「Intel Investor Meeting 2022」を開催した。このイベントにおいて、同社の主要製品の最新ロードマップ(製品化予定)が披露された。
クライアントCPUのロードマップ
クライアント(PC)向けCPUは「4年間で5つのノード(設計)」を用意する計画となっている。今回の講演では、5つのノードのうち4つの開発コード名が明らかとなった。
Raptor Lake(ラプターレイク):2022年後半出荷開始予定
「Raptor Lake」は現行の第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake)の改良モデルで、製造プロセスも「Intel 7」(改良された10nmプロセス)で変わりない。2022年後半に出荷を開始する予定だ。
特徴は以下の通りとなる。
- Alder Lakeから「2桁(パーセント)」のパフォーマンス向上
- より進化したオーバークロック機能の搭載
- 最大24コア32スレッドを搭載(Eコアを増設)
- AI M.2モジュールのサポート
- Alder LakeとのCPUソケット互換
Metor Lake(メテオレイク):2023年出荷開始予定
「Metor Lake」は、Intel初の7nmプロセス「Intel 4」で製造される新型CPUだ。2022年第2四半期(4〜6月)に製造ラインを立ち上げ、2023年に製品として出荷される予定となっている。
主な特徴は以下の通りとなる。
- より柔軟性を持たせたタイルアーキテクチャの採用
- ハイブリッドコアの採用
- より低い消費電力の実現
- 次世代の「tGPU(Tiled GPU)」の搭載(独立GPU並みのパフォーマンス)
- AIアクセラレーションの内蔵
Arrow Lake(アローレイク):2024年出荷開始予定
「Arrows Lake」はMeteor Lakeの改良モデルで、新たな電源半導体「RibbonFET」とIntel独自の裏面電源供給技術「PowerVia」を組み合わせた「Intel 20A」が初めて適用される予定となっている。加えて、外部ファウンドリで製造したタイルも組み込む予定となっている。製品の出荷開始は2024年となる予定だ。
Lunar Lake(ルナレイク):2024年以降出荷開始予定
Lunar Lakeは、Intelが掲げている「IDM 2.0」を本格的に活用したモデルとなる。自社工場と外部ファウンドリーを活用し、Intel 20Aを改良した「Intel 18A」を適用する見通しだという。
Lunar Lakeとその次世代CPUは、2024年以降に出荷を開始する予定だが、具体的な時期は示されていない。
データセンターCPUのロードマップ
今回の講演では、データセンター/サーバやAI(人工知能)処理用のCPUについて、2024年までのロードマップが示された。注目は、2024年(予定)からロードマップが「Pコア(パフォーマンスコア)搭載」と「Eコア(高効率コア)搭載」の2系統に分かれる点だ。
Sapphire Rapids(サファイアラピッズ):2022年3月出荷開始
「Sapphire Rapids」は第12世代CoreプロセッサのPコア(パフォーマンスコア)をベースに開発された次期Xeonプロセッサだ。第12世代Coreプロセッサと同様にIntel 7プロセスで製造され、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)向けに「HBM(広帯域メモリ)」を内蔵する製品も登場する予定となっている。
今回の講演で、この3月に第1弾製品の出荷が始まることが明らかとなった。間もなく正式な発表があるものと思われる。
Emerald Rapids(エメラルドラピッズ):2023年出荷開始予定
「Emerald Rapids」は、Sapphire Rapidsの改良モデルで、製造プロセスもIntel 7で変わりない。CPUソケットもSapphire Rapidsと同じものとなる見通しだ。
製品の出荷開始は2023年を予定している。
Granite Rapids(グラニットラピッズ):2024年出荷開始予定
「Granite Rapids」は、Sapphire RapidsやEmerald Rapidsの流れをくむ処理パフォーマンスを重視する用途向けのCPUとなる。当初はIntel 4プロセスで製造される予定だったが、予定を変更し「Intel 3」(Intel 4を改良した7nmプロセス)で製造されることになった。
製品の出荷開始は2024年を予定している。
Sierra Forest(シエラフォレスト):2024年出荷開始予定
「Sierra Forest」は新たにロードマップに登場したCPUで、Granite Rapidsと並行して展開される。Granite Rapidsが処理パフォーマンスを重視した構成であるのに対して、Sierra Forestは消費電力を重視したEコアを備える構成となる。パワーよりも効率を求めるニーズに応える製品となるようだ。
プロセスはGranite Rapidsと同様にIntel 3で、製品の出荷開始は2024年を予定している。
クライアント向けGPUのロードマップ
クライアント向けゲーミングGPU「Intel Arc Graphics」については、以下の通りのロードマップが示された。
Alchemist(アルケミスト):2022年出荷開始
Intelとして初めてとなるゲーミング向けGPU「Alchemist」は、以下のスケジュールで製品が登場する。
- 2022年第1四半期(3月まで):ノートPC向け
- 2022年第2四半期(4〜6月):デスクトップPC向け
- 2022年第3四半期(7〜9月):ワークステーション向け
組み合わせるCPUは、現行の第12世代CoreプロセッサとRaptor Lakeを想定している。
Battlemage(バトルメイジ):2023年〜2024年出荷開始予定
「Battlemage」は、Alchemistを改良したエンスージアスト(熱心なゲーマー)向けの製品として開発が進められている。搭載製品は2023年から2024年の間に出荷を開始する予定だ。
Celestial(セレスシャル):2024年以降出荷開始予定
「Celestial」は、今回のイベントで開発が表明された新アーキテクチャである。Battlemageよりもさらに高度なグラフィックスを求める超エンスージアストを想定しているようで、搭載製品は2024年以降に出荷を開始する予定だ。
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