2025年までに「1.8nm相当」に――Intelが半導体生産のロードマップを説明:Intel 7からIntel 18Aまで
Intelが半導体生産のロードマップを説明するイベントを開催した。2022年には7nmプロセスの製品が、2024年には新技術を取り入れた製品が登場する見通しだ。
Intelは7月26日(米国太平洋夏時間)、同社の半導体生産に関するロードマップを説明するオンラインイベント「Intel Accelerated」を開催した。このイベントでは、2025年までのロードマップと、その背景技術に関する解説が行われた。
Intel 7(2021年内に登場予定)
「Intel 7」は、従来「10nm Enhanced SuperFin」と呼んでいたパッケージで、旧称の通り、モバイル向け第11世代Coreプロセッサ(開発コード名:Tiger Lake)で使われている「10nm SuperFin」をベースとしている。主に電源半導体である「FinFET」の設計を最適化することで、消費電力当たりの処理パフォーマンスを10〜15%改善したという。
このパッケージを採用する製品は、クライアントPC向けCPU(開発コード名:Alder Lake)が2021年内に登場する予定となっている。また、データセンター向けCPU(開発コード名:Sapphire Rapids)も2021年第1四半期に生産を開始する予定だ。
Intel 7は現行の10nm SuperFinを改良したパッケージだ。2021年内に登場する予定のAlder Lakeと、2022年第1四半期に生産を開始する予定の「Sapphire Rapids」で採用される
Intel 4(2022年後半に生産開始予定)
「Intel 4」は、従来「Intel 7nm」と呼んでいたパッケージで、旧称の通りIntelとしては初めて7nmプロセスを採用している。電源半導体は引き続きSuperFinを採用しているが、ノードに「EUV(極端紫外放射)リソグラフィー」を適用することで半導体の集積度を高めたことが特徴だ。Intel 7との比較では、消費電力当たりの処理パフォーマンスを平均20%改善できるとしている。
このパッケージを採用する製品は、クライアント向けCPU(開発コード名:Meteor Lake)とデータセンター向けCPU(開発コード名:Granite Rapids)共に2023年から出荷を開始する予定で、それに間に合うように2022年後半から生産を開始する見通しとなっている。
Intel 3(2023年後半に生産開始予定)
「Intel 3」は、Intel 4を改良したパッケージだ。FinFETの設計の最適化やEUVの適用範囲の拡大を通して、Intel 4との比較で消費電力当たりの処理パフォーマンスを18%前後改善できるという。
このパッケージを採用する製品は、2023年後半から生産を開始する予定だ。
Intel 20A(2024年に生産開始予定)
「Intel 20A」は、新たな電源半導体「RibbonFET」とIntel独自の裏面電源供給技術「PowerVia」を組み合わせたパッケージである。
RibbonFETは、2011年にリリースしたFinFET以来の新型電源半導体となる。FinFETからスイッチング性能を向上させつつも、実装面積を縮小していることが特徴だ。PowerViaは、従来は表面から行っていた半導体への電源供給を裏面から行うことで、信号伝送を最適化できるという。
このパッケージを使った製品は、2024年から生産に着手する見通しとなっている。また、同パッケージに関してQualcommとも提携するという。
Intelのファウンドリー(半導体受託生産)サービス「Intel Foundry Services(IFS)」の採用企業として名前が挙がっているQualcommは、IntelとIntel 20Aパッケージに関して提携する。同パッケージを活用したSoCを開発する狙いがあるものと思われる
Intel 18A(2025年初頭に生産開始予定)
「Intel 18A」は、Intel 20Aを改善した製品で、2025年初頭から生産を開始する予定となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Intelが「次世代Xeonプロセッサ(Sapphire Rapids)」をチラ見せ 広帯域メモリ内蔵バージョンを用意
スーパーコンピューターの世界的なイベント「ISC 2021」に合わせて、IntelがHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)に関する取り組みを発表した。その中で、次世代のXeonスケーラブルプロセッサ(開発コード名:Sapphire Rapids)にHBM(広帯域メモリ)を内蔵するバージョンが用意されることが明らかとなった。 - Intelがオンライン発表会「Intel Accelerated」を7月27日6時(日本時間)から開催 半導体生産のロードマップを披露か
Intelが「半導体のプロセスとパッケージングに関する進歩」に関する発表会を開催する。半導体の自社生産、委託生産、受託生産を組み合わせる「IDM 2.0」の取り組みの進捗(しんちょく)が垣間見える可能性がある。 - Intelの半導体生産を支える日本 しかし「デジタル後進国」に?
半導体で出遅れていると言われる日本。しかし、半導体生産に日本企業は欠かせない。でも、デジタル分野の競争力は低下の一途をたどっている。インテルは、この課題にどう立ち向かうのだろうか。 - 半導体生産で「委託」「受託」を両にらみ Intelが「IDM 2.0」構想を発表
Intelが、新しい半導体生産方針「IDM 2.0」を発表した。自社生産を基本とする方針は堅持しつつ、ファウンドリーを活用した製品生産を拡大し、自らがファウンドリーとして生産を受託する事業も開始する。 - Intelが次世代のクライアントPC向けCPU「Alder Lake」を2021年に投入
Intelは8月13日(現地時間)、オンラインイベント「Intel Architecture Day 2020」を開催し、次世代のクライアント向け製品「Alder Lake」について発表した。