Microsoft 365やTeamsをメタバース空間で利用可能に? 「足付きアバター」は難しい? 「Meta Connect 2022」基調講演で分かったこと(3/3 ページ)
Metaがメタバースに関するバーチャルイベントを開催した。目玉は新型の「Meta Quest Pro」なのだが、それ以外にも注目すべき発表もあった。マーク・ザッカーバーグCEOらが登壇した基調講演の発表内容をチェックしてみよう。
Microsoftとの協業で「Microsoft 365」をメタバース空間で利用
Oculus Proの説明の後、ザッカーバーグCEOはMicrosoftとのパートナーシップによるこれからの働き方に関する計画についても発表した。
今回の協業で取り組む主な内容は以下の通りだ。
- Quest 2やQuest Proで「Microsoft Teams」のミーティングの没入感を高めること
- Meta WorkroomsからMicrosoft Teamsへ参加できるようにすること
- Microsoft TeamsでMetaのアバターを使えるようにすること
- Quest 2やQuest Proで「Windows 365」を使って作業できるようにすること
- 「Meta Quest Store」に「Xbox Cloud Gaming」を持ってくる方法の検討
Quest 2向けに「アクティブパック」を発売
今回の基調講演の主役はQuest Proだが、これはQuest 2の「上位モデル」という扱いで、Quest 2は今後も販売される。そんなQuest 2にも、新たな発表があった。
新型コロナウイルス感染症の影響でなかなか外に出られない状況も手伝って、Quest 2のフィットネスアプリを使ってワークアウトを楽しむ人が増えた。この傾向は感染の拡大がある落ち着いた現在も続いているようである。しかし、ヘッドセットは構造上、運動によって出てくる汗を気にしつつ使わなければならない。
そんな中、汗に悩むQuest 2ユーザーの福音となる新たなオプション品として「Meta Quest 2アクティブパック」が登場することになった。日本における税込み直販価格は9600円である。
このアクティブパックは汗をふき取れる「接顔部」と、コントローラー用の「手首ストラップ」、そしてコントローラーのフィット感を高める「ナックルストラップ」がセットになっており、Quest 2を使ってエクササイズをする人にとって“待望の製品”ともいえる。
ナックルストラップは約35mmと幅広な上、バッテリーカバーと一体化しているため、激しい動きをしたとしてもコントローラーが簡単に手から滑り落ちることはないだろう。
なお、このアクティブパックの予約は既に始まっており、10月26日に発売(配送開始)となる予定だ。
Quest 2でエクササイズをする人にピッタリな「Quest 2アクティブパック」が登場する。エクササイズをそれほどしないという人でも、装着時の汗に悩んでいる人にとっては待望のオプション品といえる(画像の発売日は米国のもの)
Metaアバターをさまざまな場所で活用
イベント中、ザッカーバーグCEOはほとんどの場面で“実写”で登場していた。しかし、次世代のMetaアバターを紹介する段では、足を含む全身アバターで登場した。
この全身アバターは、既に「ステッカー」「ストーリーズ」や「WhatsAppアプリ」内で利用できるが、アバターチームのリーダーのエイゲリム・ショアマン氏は「来年(2023年)後半には全てのアプリとVRにおいて利用できるようにする」と語った。加えて、WhatsAppアプリのビデオチャットにアバターで参加する機能を追加する計画も明らかにした。
Metaアバターを巡って、Web会議アプリで知られる「Zoom(ズーム)」とのパートナーシップも発表された。「自分のアバターを、メタバースをサポートするさまざまなアプリへ持ち込むことができる」ようにする取り組みの一環だという。
このような提携は今後も拡大していくようで、「ビデオチャットでのメタアバターの利用は、新しい次元を追加するものとなる」という。
さらに、MetaアバターのSDK(開発者キット)を「Unity」(iOS/Androidアプリ)だけでなく「Unreal Engine」にも対応することも発表された。これにより、「更に多くのデベロッパーが、利用しているアプリに適したアバターを構築し始めるのが容易になるだろう」とザッカーバーグCEOは語った。
アバターそのものへの親近感をより抱かせる施策としては「AVATAR STORE(アバターストア)」が発表された。2022年内にもサービスを開始するという。
このストアでは自分のアバター用の「バーチャルな服」を購入できる。リアルの服飾ブランドとの提携も予定しているといい、お気に入りの服をメタバース内にも持ち込めるようになる日も近い。
Metaアバターの服飾変更は、ある程度の知識(人に依頼する場合は金銭的ゆとり)が必要だったが、今後はAVATAR STOREを通して簡単に変えられるようになる。ただし、バーチャルな服の価格については触れられなかった
肝心の全身アバターの実装について、ザッカーバーグCEOは「自分の体の部位が、正しい位置に付いていないと不快感を抱いてしまうため、慎重に行っている」と語る。先ほどから「足付きの」と強調してきたように、全身アバターではまさに“足回り”か課題となるようである。
ザッカーバーグCEOは初代「Oculus Quest」において、当初はVR空間にコントローラーだけを表示していたものが、AI技術の進歩で腕も表示できるようになった経緯を語りつつ、足でも腕と同じことを実現したいと意欲を述べた。
ただし、足付きの全身アバターのリリースについて、「まずHorizonから実装する」と言及されたものの、具体的な予定は語られなかった。
基調講演の最後、ザッカーバーグCEOは次のような言葉でイベントを締めくくった。
「今回発表したのは、はるか未来に広がるロードマップの一部にすぎない。Facebook、Instagram、Questなど、人々をつなげる(Connectする)のがMetaのDNAで、度のサービスでも“人”を中心に据えている。正しく構築すれば、次世代コンピューティングプラットフォームは、人々をより社会的に、人間らしいものへとしていくだろう。
Metaは、さまざまな企業と協力して開発を行ってる。そのようなオープンエコシステムで開発されたメタバースは、クローズなものに比べ、多くの人に利益をもたらすこと、良いものになるはずだと信じている」
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