AMDがサーバ/HPC向けの「第6世代EPYC」「Instinct MI400」を発表 搭載製品は順次市場投入
AMDが自社イベント内でーバ/HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)向けのCPU「第6世代EPYC」とGPU「Instinct MI400」を改めて発表した。第6世代EPYCについては、早いもので2026年第4四半期(10〜12月)からの出荷を予定している。
AMDは7月23日(米国太平洋夏時間)、自社イベント「Advancing AI 2026」においてサーバ/HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)向けのCPU「第6世代EPYC」とGPU「Instinct MI400」を発表した。この記事では両製品の概要をお伝えする。
第6世代EPYC(EPYC 9006シリーズ)
第6世代EPYC(EPYC 9006シリーズ)は「Venice(ベニス)」というコード名で開発が開発が進められてきたCPUで、2024年後半から展開してきた第5世代(EPYC 9005シリーズ)から約2年ぶりの刷新となる。出荷は早いもので2026年第4四半期(10〜12月)、遅いもので2027年後半(7〜12月)と幅が広くなっている。
CPUコアは最新の「Zen 6アーキテクチャ」で、フルスペックの「Zen 6コア」とコンパクト化した「Zen 6cコア」を用途に合わせて使い分けている。Zen 6コア採用製品は最大で96コア192スレッド、Zen 6cコア採用製品は最大で256コア512スレッド構成を取る。
L3キャッシュは、AMD独自の積層技術「3D V-Cache」を適用することで最大1152MBまで搭載できる。メモリバスはEPYC 9006 LPシリーズはLPDDR5X規格(SOCAMM2対応)を最大24チャンネル、他のシリーズはDDR5-8000規格(MRDIMM利用時はDDR5-12800相当)を最大16チャンネル用意している。
本シリーズはAIデータセンター向けの「EPYC 9006 SP7」、汎用(はんよう)性を求められるデータセンター向けの「EPYC 9006 SP8」、HPC向けの「EPYC 9006X SP7」、電力効率を重視した「EPYC 9006 LP」の大きく4種類に分類される。分類の「SP7」「SP8」はCPUソケットを指すとのことだが、現時点では両者の違いに関する説明はない。
そのパフォーマンスだが、「NVIDIA Vera」を使う汎用CPUサーバ比で最大3.3倍の処理能力を発揮し(※1)、「Xeon 6960P」を使うGPUサーバ(ホストノード)比で1秒当たりのトークン処理数が最大1.8倍(※2)、「Arm AGI」を使うGPUサーバ(サンドボックス)比で消費電力当たり最大2.8倍のエージェントを稼働できる(※3)という。
(※1)NVIDIA Vera(88コア)×2プロセッサ構成と、EPYC 9996(256コア)×2プロセッサ構成を比較
(※2)Xeon 6960PとEPYC 9686Fを比較(EPYC 9686Fのコア数の記載はない)
(※3)EPYC 9956(TDP 400W)、EPYC 9965(TDP 500W)、NVIDIA Vera(TDP 450W)、Arm AGI(TDP 300W)、Xeon 6980P(TDP 500W)で比較(マルチスレッド対応CPUは有効にした状態で計測)
Instinct MI400シリーズ
Instinct MI400シリーズは、AI処理やHPC向けに特化したGPUで、現行の「Instinct MI350」シリーズの次世代製品という位置付けとなる。コアは2nmプロセスの「CDNA 5」アーキテクチャで、HBM4メモリをサポートすることでよりスループット(実効処理速度)を向上したことが特徴だ。ベースモデルの「Instinct MI430X」と、上位モデルでAI特化型の「Instinct MI455X」の2製品が展開される。
Instinct MI455Xは、現行の「Instinct MI355X」と比べてメモリ容量は最大1.5倍、メモリ帯域幅は最大2.9倍となり、ピーク時のMXFP4/MXFP8の演算性能が最大4倍となる
Instinct MI455X搭載の「AMD Helios」も生産開始
今回、Instinct MI455Xを最大72基搭載できるラックマウントシステム「AMD Helios」が生産体制に入ったことも発表された。Heliosには96コア構成のEPYC 9006 SP7(具体的な品名は不明)が搭載されており、CPUとGPUの接続にはPCI Express 6.0バスが使われている。
中身をよく見てみると、ラックマウントには最大18台のサーバ(コンピュートトレイ)が搭載可能で、1台のサーバには1基のEPYC 9006 SP7に対して、4基のInstinct MI455Xが搭載されている。ラックマウントに格納したサーバはファブリック(UALoE)で接続する構造で、必要な処理パフォーマンスに応じて台数を増減できる。さらにパフォーマンスが必要な場合、Helios同士をファブリックで接続することも可能だ。
2028年には「Instinct MI600」も登場へ
AMDでは、2027年内に「InstinctMI 500」シリーズの投入を予定している。同シリーズは「次世代HBM(超広帯域メモリ)」と「銅と光学のインターコネクト」を採用することが大きな特徴だ。
そして同社は2028年内に「Instinct MI600」シリーズの投入を表明した。ただし、こちらは「開発中」とのことで特徴の紹介はない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
最大192コアの組み込み機器用x86 CPU「EPYC Embedded 9005」登場 2025年第2四半期から順次出荷開始
AMDがZen 5/Zen 5cアーキテクチャを採用する組み込み機器向けCPUを発表した。一般出荷は4〜6月に始まる予定だ。
AMDがエントリーサーバ向けCPU「EPYC 4005」を投入 Zen 5アーキテクチャベースでSocket AM5採用
AMDが、エントリークラスのサーバ向け新型CPUとして「EPYC 4005シリーズ」を投入する。Zen 5アーキテクチャベースで、より効率を高めていることが特徴だ。
NVIDIA“一強”を突き崩すか AMDのAIソフトウェア「ROCm」と次世代GPU「Instinct MI400」がもたらす新たな選択肢
AMDが、同社の主要拠点の1つであるシンガポールにおいて報道関係者向けイベントを開催した。この記事では、GPUアクセラレーター「Instinct」シリーズと、同シリーズを含むAMD製プロセッサを機軸とするAIエコシステム「ROCm」に関する説明会の模様をお伝えする。
オンプレミスAIを高速化する「AMD Instinct MI350P PCIe GPU」登場 グラボ形態で既存システムに容易に組み込める
AMDのエンタープライズ向けGPU「Instinct MI350」に、グラフィックスカード型の製品が登場した。Linuxで稼働するx86サーバに組み込んで利用できることが特徴で、システムの構成にもよるが最大8枚まで並列稼働が可能だ。
AMDの「Instinct MI350シリーズ」は競合NVIDIAよりもワッパに優れるAIドリブンなGPU 今後の展開にも注目
AMDが自社イベント「ADVANCING AI 2025」の基調講演において「Instinct MI350シリーズ」を発表した。この記事では、本GPUに使われている「CDNA 4アーキテクチャ」について解説しつつ、競合のNVIDIA製GPUとの差異、そして今後の展望についてまとめる。











