HDMI 1.0の登場から20年 8K時代の「HDMI」はどうなる?:HDMI2.1a対応ディスプレイは23年に登場(1/3 ページ)
TVやレコーダー、PCなどに付いている「HDMI端子」。この端子の元になっているHDMI規格を管理している法人が「HDMI Licensing Administrator(HDMI LA)」だ。同社のロブ・トバイアスCEOが来日し、HDMI規格の現状と将来について解説するセミナーを開催した。その中で興味深かった内容をかいつまんでご紹介する。
HDMI Licensing Administrator(HDMI LA)は12月16日、日本の報道関係者を対象とするセミナーを開催した。セミナーでは同社のロブ・トバイアスCEOが登壇し、映像伝送規格としての「HDMI」の今とこれからを語った。
この記事では、特に注目すべきトピックに絞ってセミナーの模様をお伝えする。
HDMI規格に関わる2つの組織
HDMI(High-Definition Multimedia Interface)のイニシャルバージョン「HDMI 1.0」は、2002年12月に登場した。比較的新しい規格だと思われがちだが、今年(2022年)で誕生から20年を迎える。
HDMI 1.0は、デジタル映像/音声伝送規格として日立製作所、松下電器産業、Royal Phillips(フィリップス)、Silicon Image、ソニー、Thomson、東芝の7社が共同で策定したもので、フルHD(1920×1080ピクセル)/60Hz(fps)の映像伝送(最大3.96Gbpsのデータ伝送)に対応している。規格を策定した7社のうち、4社が日本企業であることは特筆すべきことだろう。
トバイアスCEOによると、7社は現在も「HDMIファウンダー」として積極的な活動をしているという。
HDMIファウンダーについて(筆者注)
HDMIファウンダーの社名は当時のものです。フィリップスと東芝以外の5社は以下の通り社名(またはライセンス保有会社)が変わっています。
- 日立製作所:事業整理によりマクセル(旧・日立マクセル)にライセンスを譲渡
- 松下電器産業:「パナソニック」と社名変更後、持株会社化で「パナソニックホールディングス」に(ライセンスは引き続き保有)
- Silicon Image:経営統合によりLattice Semiconductorがライセンスを継承
- ソニー:持株会社化で「ソニーグループ」に(ライセンスは引き続き保有)
- Thomson:経営統合によりVantiva(旧・Technicolor)がライセンスを継承
その後、HDMI規格はマイナーバージョンアップを重ね、2011年に「HDMI 1.4b」に到達した。この規格では4K(3840×2160ピクセル)/30Hzの映像伝送(最大10.2Gbpsのデータ伝送)に対応している。
次世代のHDMI規格を策定すべく、このタイミングで非営利法人「HDMI Forum」立ち上がった。HDMI Forumは2013年、その成果物として4K/60Hzの映像伝送(最大18Gbpsのデータ伝送)に対応する「HDMI 2.0」を発表した。
その後、そのマイナーバージョンアップ版として2017年に4K/120Hzの映像伝送(最大48Gbpsのデータ伝送)に対応する「HDMI 2.1」が、2022年にSTBM(ソースベーストーンマッピング)への対応を追加した「HDMI 2.1a」がそれぞれリリースされている。
トバイアスCEOが所属するHDMI LAはHDMI規格のライセンス供与を行う法人である。元々は「HDMI Licensing」という名前だったが、2017年に組織変更に伴い現在の社名となった。
同社はHDMI 1.4aまでの規格はHDMIファウンダーから、HDMI 2.0以降の規格はHDMI Forumからライセンスの供与/管理業務を受託している。これにより、HDMI機器やHDMIケーブルを製造するメーカーは、バージョンを問わずHDMI LAからライセンスを受けるという体制となっている。
加えて同社は、HDMI規格に関するプロモーションやマーケティングも担っている。
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