自分にとっての「終活のポイント」を診断できる「はなまる手帳」が社会問題の解決をゴールにした理由:古田雄介のデステック探訪(2/2 ページ)
家族の介護やお墓、実家の不動産の扱いといった将来考えなければならない問題を、少しのインプット作業で自動診断してくれる。そんな「はなまる手帳」が立ち上がったのはコロナ禍中のことだった。
単独サービスでの成功より社会問題の解決を
しかし、間もなくしてサイト単独でユーザーを増やしていく方針を転換する。「はなまる手帳」はデモンストレーション用サイトという位置に置き、同じフォーマットを使った「ワンストップ手帳」を法人に提供するという方向にレールを敷き直した。
吉野さんはこう語る。
「このサービスを使ってもらうには、単独で広げていくよりも、元から発信力があって地場に根付いている組織の方たちに、このフォーマットを使ってもらう方がはるかに早くて現実的だと考えたのです」
はなまる手帳の根底には、自分が経験したものと同じ苦労を社会から解消したいという思いがある。それなら新規のサービスとして個々のユーザーを開拓していくよりも、大勢の人にリーチできるパイプを既に築いている組織に使ってもらう方が確かに効率的な面がある。
ワンストップ手帳を提供している法人は、前述の通り、電力会社やハウスメーカーなど多岐に渡る。既に結びつきの強い顧客がいて、万が一のときにサービスを使ってもらえるような信頼関係ができあがっている。現在は、そういった法人へのアプローチに注力しているという。
吉野さんが思い描いているタイムリミットは2025年だ。2025年は団塊の世代の全員が後期高齢者となる年でもあり、「2025年の崖」といって企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)しなければ、向こう5年間で多大な経済損失を生むと経済産業省が警鐘を鳴らしている年でもある。
このときまでに、家族や自分に起きるアクシデントから生じる混乱を少しでも抑えられる仕組みを普及させること。それを当面のゴールに見据えている。
数年後には日頃から利用しているインフラや住まい、日頃から接している病院や介護施設などを通して、はなまる手帳のサービスを利用するのが当たり前になっているかもしれない。
今現在、自分や家族にもしものことがあったときのシミュレーションが不足していると感じたなら、とりあえずはなまる手帳にアクセスして、セルフチェックしてみるものいいだろう。
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