一部組織では利用禁止も! OpenAIの「ChatGPT」のスゴさとMicrosoftの戦略:本田雅一のクロスオーバーデジタル(4/4 ページ)
Microsoftが、OpenAIに対して日本円で約1.3兆円の追加投資を行うことが話題となっている。そのことで再び脚光を浴びているのが、OpenAIのチャットボットサービス「ChatGPT」である。スゴさと課題を検証しつつ、OpenAIに追加投資を行うMicrosoftの狙いについて簡単に解説する。
Microsoftは「GPT-3」をどう生かす?
ここまでChatGPTを使ってきてたが、皆さんならどのように使ってみたいだろうか。
繰り返すが、現在公開されているのは「研究用プレビュー版」であって、学習データの品質に保証があるわけでもないし、特定分野に向けた最適化も施されていない。しかし、実際に試してみると、ベースとなっているGPT-3.5の言語処理能力は想像以上に優れていることはよく分かった。うまく「正解」を混ぜて質問を投げれば、回答の精度も高められる。
想定された使い方なのかどうかは分からないが、1行目に「以下の文章を要約してください」と書いた上で、2行目以降に文章を流し込むと、かなり高い精度で要旨を書き出してくれる。同様に「この文章を意味が通るようにしてください」と書いた上で、2行目以降に文章を流し込むと、ある程度意味の通るように整形してくれる。ぜひ試してみてほしい。
GPT-3という技術は、さまざまな用途に応用できる。Microsoftは「Microsoft 365(Office 365)」にもGPT-3を取り入つつある(参考リンク)。さらに同社はWeb検索サービス「Bing(ビング)」にOpenGPT(GPT-3.5)を統合するという報道もある。
MicrosoftといえばPC向けOSで支配的なシェアを持っている一方で、Web検索サービスでは存在感を示し切れていない。この分野で競合となるGoogleのシェアは85%前後と圧倒的で、Bingは8%程度にとどまっている(参考リンク)。
予測でしかないが、MicrosoftはChatGPT(GPT-3.5)を軸に据えて、より確かな情報へと素早くたどり着ける、新しいWeb検索エンジンを開発しようとしているのかもしれない。自然な会話で情報を絞り込め、さらに対象ページの要約も得意となれば、Googleを脅かす可能性もある。今後の展開に注目したい。
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