モバイルPCの景色を変えられるdynabookを 5年目を迎えるDynabookが目指す道:IT産業のトレンドリーダーに聞く!(Dynabook 前編)(2/3 ページ)
コロナ禍以降も、経済環境や社会情勢が激変する昨今。さらに急激な円安が進む中でIT企業はどのような手を打っていくのだろうか。大河原克行氏によるインタビュー連載の第4回はDynabookだ。
ハードとソフトを融合させた提案を 自社のハードにこだわらない
―― PC以外のプラットフォームによる事業化について、指示の内容が気になります。どんなものが生まれるのでしょうか。
覚道氏 言い方を変えると、ハードウェア単体を創出するのではなく、そこにビジネスモデルを組み合わせた提案をしてほしいということです。お客さまの困りごとに対して、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせることで解決できますという提案を考えてほしいといっています。
課題解決という視点で見たときに、ハードウェアそのものは全てを私たちが開発したものでそろえなくてもいいと思っています。ハードウェアは外から買ってきても、Dynabookならではの付加価値が乗せることができればいい。むしろ、特定用途のために専用端末を自分たちで開発し、最低発注数量が数千台規模になり、結果として大量に在庫を抱えてしまったというのではビジネスになりませんから、代替できるハードウェアがあれば、それを利用するといったことを進めます。
大切なのは、Dynabookはどこに付加価値を提供できるのかという点です。その際に、自社開発や自社製品のハードウェアにはこだわらないという視点で、ビジネスモデルを考え始めています。
既に、アイデアは100~200も出ています。その中からビジネスに育ちそうなものを選んだり、営業部門が興味を持ち、お客さまに提案してみたりしたいという話が上がってきたりといった動きが始まっています。
アイデア出しはプロダクトアウトになりがちですから、そこに営業現場の意見や現場の視点を取り入れたり、お客さまの声を反映したりすることで、新たなビジネスを創出できるかどうかを考えています。プロブクトアウトとマーケットインを組み合わせて、新たなビジネスの創出に取り組んでいます。
ノートPCだけという枠のままでは、ビジネスの成長には限界がきます。また、ハードウェアは為替の影響を必ず受けます。それは2022年度に痛いほど感じました。モノのビジネスはさまざまな影響を受けますが、コトのビジネスは外的要因が発生しても、その影響を吸収しやすいという側面があります。為替に対する耐性も高めることもできます。
―― Dynabookには、開発拠点としては日本、中国の他に台湾にもあります。台湾拠点の役割には変化がありますか。
覚道氏 シャープ傘下となったときに、調達拠点としてシャープの親会社である鴻海精密工業やシャープの人たちにも入ってもらい、体制を拡充しました。調達に加えODMと連携する際には、台湾のチームが前面に出て活躍してもらっています。この役割はこれからも変わりません。
―― Dynabookでは、「コンピューティングとサービスを通じて世界を変える」を事業ビジョンに掲げ、モバイルコンピューティング技術による「dynabook as a Computing」と、AIoTソリューションによる「dynabook as a Service」を打ち出しています。ハードウェアである「dynabook as a Computing」では、何が強みになりますか。
覚道氏 dynabookシリーズの強みは、「高速・堅牢、ユーザビリティ」「環境調和」「セキュリティ」といった点にあります。例えば、dynabook RJシリーズやdynabook R9などでは高いモビリティー性能を実現しながら、米国防総省制定のMIL規格に準拠した10項目の耐久テストをクリアした頑丈さとともに、高速パフォーマンスを常に維持できるユーザビリティを実現しています。
特にdynabookエンパワーテクノロジーは、Dynabookが世界初のノートPCを開発して以来、34年間に渡って培ってきたモバイル技術や高密度実装技術、冷却技術などの設計ノウハウを組み合わせ、軽薄ボディーであっても、常に安定した高速性能を実現することができるようにしています。同じCPUを搭載した他のノートPCと比べても、快適に、より高速に操作できることを体感してもらえる製品になっています。
また、昨今ではハイブリッドワークが浸透していますが、AIノイズキャンセラーやWebカメラシャッター、AIカメラエフェクターといった機能に加えて、ブルーライトを低減する「Low blue light液晶」の採用によって、いろいろな場所での利用や、長時間の利用でも、安心して使ってもらえるユーザビリティを実現しています。
さらに、消費電力を抑えながら高いパフォーマンスを発揮するとともに、環境に配慮した素材を活用した設計による高い環境調和度の実現にも力を入れています。Dynabookは、環境意識が高い欧州で長年ビジネスをしてきましたから、環境対応へのノウハウはかなり蓄積しています。環境配慮型製品であることを評価するEPEATではGoldの取得にこだわり、特定の化学物質の含有率が基準値以下であることを示すJ-Mossグリーンマークも取得しています。
加えて、「NIST SP 800-171」(米国政府機関が定めたセキュリティ基準を示すガイドライン)に準拠した高度なセキュリティ対策を可能とするなど、あらゆる業界で求められているセキュアな環境を構築する上で、必要不可欠なセキュリティ性能を実現しています。
Dynabookのモバイルコンピューティング技術は、単に軽量化すればいいという姿勢ではありません。B2Bのお客さまが求めているのは、軽量化の要素とともに、CPUのパワーを最大限に引き出すことによって実現するパフォーマンスの高さ、長時間バッテリー駆動の実現などによるユーザビリティ、いつでも安心して利用できる頑丈さといったように多岐に渡ります。
昨今では環境配慮といった要素も選択肢の1つに入ってきています。それらは相反する要件であることも多いのですが、どれをとっても1位グループの中にいるのが、dynabookであるといえます。カタログ上では、最も軽いノートPCに注目が集まったりしますが、軽量化しても、バッテリー駆動時間が短くては選んでもえませんし、それを選んでしまったら、ユーザーはいつもバッテリー駆動時間を気にしながら使わなくてはなりません。
dynabookシリーズは「高速・堅牢、ユーザビリティ」「環境調和」「セキュリティ」を高い次元で実現することで、時代のニーズに対して、高いポテンシャルで応えることができる、唯一無二のノートPCだといえます。
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