「Apple Vision Pro」を先行体験! かぶって分かった上質のデジタル体験(3/3 ページ)
AppleがWWDC23にて発表したMRヘッドセットが「Vision Pro」だ。これまでのAR/VRなどのHMDデバイスと何が違うのだろうか。林信行氏が真っ先にかぶって分かったことをまとめた。
最高の体験を提供するために利用ユーザーを徹底調整
Vision Proで、もう1つ感心したのがその操作性の良さだ。親指と人差し指をくっつけてクリックする操作は、Vision Proが初めてではなく、これまでにいくつかのAR/VRデバイスで試したことがある。しかし、うまく認識されず操作に戸惑うことが多かった。
Vision Proでは少し意地悪にゴーグル真下にある膝上など、かなり難易度が高そうな場所で操作をしてみたが、ほぼ1度も逃さずにクリックが認識された(もう少し意地悪をすれば良かったと思ったほどだ)。
操作は操作したい対象を目で見て(視線を合わせて)クリックというのが1番の基本だが、これ以外に、2本の指を閉じて上下あるいは左右に引っ張ってスクロールという操作もよく使う。
極めてシンプルなので、すぐに慣れることができるが、それ以上に大事なのが視線の向きの認識も、クリック操作の認識も正確に行われるからだろう。
これは初回利用時にしっかりと調整をするからこそ実現している。例えば空間オーディオに関しては、AirPods Proのパーソナライズド空間オーディオ同様に、あらかじめ自分の耳の形の写真を撮ってカスタマイズする。
この調整のおかげで、映像の位置と音の位置がピタリとあった立体再生が可能になる。ミュージシャンが自分のためだけに歌を歌ってくれる映像を体験したが、ちゃんと声は彼女の口から、そしてピアノの音はグランドピアノから、コーラスは右側に立っているコーラスの女性の方から聞こえてきた。
正確な視線コントロールは、初回起動時に視線のキャリブレーション(調整)で行う。画面上を点が六角形を描きながら動くので、それを(頭を動かさずに)視線だけで追う。これで自分の視線への最適化が完了する。
なお、目のピントに関しての調整だが、筆者は目がいいので、そのまま無調整で利用できたが、目が悪い人は専用のレンズを作ってそれをVision Pro内に装着する。この特別なレンズはZEISSが作ってくれるそうだ。
このように、Vision Proはユーザー1人のために徹底してカスタマイズをした上で使う製品となっているが、それだけに現時点では最高クラスの体験を楽しめる製品になっている。
発売後にはApple直営店でのデモ展示も行われるということだが、どのような運用でデモをするのかは気になるところだ。
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