NVIDIAの測定デバイス「PCAT2」で最新GPUから旧モデルまで消費電力を測って分かったこと(後編):最新GPUはやはり「ワッパ」良好(2/3 ページ)
NVIDIAは、グラフィックスカード(GPU)の消費電力をリアルタイムに測れるデバイス「PCAT」を提供している。今回、PCI Express 4.0に対応した第2世代製品(PCAT2)を試す機会があったので、実際にベンチマークテストを実行しつつ、GPUの消費電力をチェックしていく。
超高負荷タイトル「Cyberpunk 2077」の瞬間最大消費電力は?
せっかくハイエンドGPUが2製品もあるので(Radeon RX 6900XTは先代モデルだが)、超高負荷のゲームタイトル「Cyberpunk 2077(サイバーパンク 2077)」のベンチマークテストモードを、瞬間最大消費電力がどうなるのかに着目して実行してみよう。
測定時の設定値は以下の通りだ。
- 描画解像度:3840×2160ピクセル
- 超解像(DLSS/FSR):強制オフ
- HDR:HDR10PQモード
- 垂直同期:144Hz
- 最大フレームレート:240fps
このテストでは、ハイエンド級のRadeon RX 6900 XTとGeForce RTX 4090の2つについて、RT機能を利用する中で最高負荷の「オーバードライブモード」と、RT機能を活用しない中で最高負荷の「ウルトラモード」における消費電力を測った。結果は以下の通りだ。
オーバードライブモードは、GeForce RTX 40シリーズの新しいアクセラレーション技術を徹底的に活用する。開発は、NVIDIAの全面協力を得たという。具体的には、以下のようなアクセラレーション技術が新規搭載されている。本筋ではないのでそれぞれの説明は割愛するが、興味のある人は「西川善司 GeForce RTX 40完全解説」で検索してみてほしい。
- 交差判定のスループット(実効速度)の高速化(最大約2倍)
- 「Opacity Micromap Engine」の搭載
- 「Displaced Micro-Mesh Engine」の搭載
- 「Shader Execution Reordering」機能の搭載
端的にいうと、オーバードライブモードは、通常のRTモードと比較して、レイの投てき(キャスト)数を爆上げしてくれるモードである。普通ならフレームレートがズタボロに低くなるのだが、新アクセラレーション機能を使えるGeForce RTX 40シリーズなら、描画品質を落とすことなく、そこそこ高いフレームレートが実現できてしまう――ある意味で同シリーズのGPUを「おもてなし」するモードといえる。
GeForce RTX 30シリーズまでのNVIDIA製GPUはもちろん、他社のGPUで動作させると、普通に“激重”なテスト結果となる。
ということで、オーバードライブモードの結果から見ていくと、予想通りGeForce RTX 4090は圧倒的。なんとRadeon RX 6900 XTの“約5倍”のフレームレートを発揮できている。
一方で、RTをオフにしたウルトラモードでも、GeForce RTX 4090は平均フレームレートはトップである。しかし、Radeon RX 6900 XTとのレート差は1.9倍程度となっている。理論性能で3.6倍もの差があることを考えると、Radeon RX 6900 XTはかなり健闘しているとも考えられている。ウルトラモードの差が小さくなったのは、Radeon RX 6900 XTのピクセルフィレート性能が、理論性能差ほどの開きがないからだろう。
次に、消費電力の結果についてチェックしてみよう。
分かっていたことではあるが、RTがオフであろうとオンであろうと、GeForce RTX 4090の消費電力は高い。特に、RTがオン(オーバードライブモード)だと、瞬間最大消費電力が500Wを超えている。これは衝撃的だ(笑)。
Radeon RX 6900 XTは、RTのオン/オフにかかわらず、平均消費電力はあまり変わらなかった。瞬間最大消費電力はともかく、GPU補助電源が「8ピン×2」という構成の場合、継続的なGPU駆動で使える電力は260W~270Wあたりが上限ということなのかもしれない。
テストはこの辺でおしまいにして、感想をまとめていこうと思う。
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