実機に触れて分かったiPhone 15/Proと従来モデルの決定的な違い(3/4 ページ)
いよいよ、iPhone 15/iPhone 15 Proシリーズが発売される。数々の注目ポイントがある新型モデルを、実機を触って感じたことを林信行氏がまとめた。
Proだけでなくスタンダードモデルのプロセッサ性能も大きくアップ
ところで、iPhoneの「Pro」シリーズは毎年、最新最高性能のプロセッサを搭載するフラグシップモデルだ。iPhone 15 Pro/Pro Maxも「A17 Pro」という最先端の3nmプロセスによる最新プロセッサを採用している。
1つ前のプロセッサは「A16 Bionic」で、2017年登場のiPhone Xに搭載された「A11 Bionic」以降、ずっと「Bionic」というiPhone用プロセッサには「Bionic」という名称がついていたが、今回からPro仕様になり、多少方向性が変わった。
これからのAI時代に、重要となるNeural Engineの処理とAppleが「Pro級」と呼ぶGPU性能の向上に焦点を当てており、レイトレーシングなど複雑な3D CG描画の性能が劇的に向上している。
同じプロセッサを搭載したiPhone 14 Pro MaxとiPhone 15、そして最上位モデルのiPhone 15 Pro MaxでGeekbench 6を使った性能比較を行った。CPU性能では、iPhone 15が14 Pro Maxを抜いていた
最近のiPhoneにおける進化の中で、最もその恩恵が分かりにくいのがCPUの進化で、実際に新しいモデルを使って慣れてしまった後、古いモデルを使い比べると「古いモデルは遅い」と実感できるが、なかなかそれ以外に新プロセッサ以降のメリットを感じることができない。
だが、今回は違う。というのも、AppleがiOS 17からゲームモードと呼ばれるゲームプレイを快適に行えるための開発者向けモードを用意して、ゲーム開発者の誘致に力を入れ始めた。それを受けて、最新プロセッサの性能を最大限に生かしたゲームが、次々とiPhone用として登場予定となっているからだ。
例えばカプコンが開発しているサバイバルホラーゲーム「Resident Evil Village for iOS」など、スマートフォン用ゲームではなく、数万円もする高性能高解像度のゲーム専用機向けに作られた本格的なゲームが、画質なども落とさずにiPhone上に次々と移植され始めている。
iPhoneのProシリーズでは、ゲームコントローラーをつないで操作することもできれば、大画面でプレイすることもできるが、こういったプロセッサ性能をフル活用した一部のゲームに関しては、iPhone 15 Pro Max/15 Proでしか動作しないアプリとして提供される模様だ。
これまで、iPhone用アプリは同じバージョンのOSが動作していればモデルを選ばず動作することが多かったが、今回のA17 Proは、これまでのプロセッサとの間にそれほど大きな性能の段差を生んでいることが伺える。
つまり、最新最先端のスマホアプリを楽しみたい人も、選択肢はiPhone 15 Pro Max/Proになる。
最新タイトルではないが、Metal対応の「Resident Evil Village for iOS」がリリースされる。いわゆるスマートフォン用に作られた簡易版ゲームではなく、ゲームコンソール用に作られた高解像度なゲームがそのままiPhone上で動く ©CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
iPhone 15 Pro Max/Proには、もう1つ新しい特徴がある。アクションボタンだ。
iPhoneは2007年の初登場以来ずっと着信音をオン/オフするサイレントモードのトグルスイッチがついていたが、iPhone 15 Pro Max/Proでは、これが見直されアクションボタンに切り替わった。
アクションボタンは、標準設定では従来通りのサイレントモードの切り替えをするためのものだ。1度軽く押すと、現在サイレントモードか否かが画面に表示され、長押しをすると切り替えができる。
だが、あまりこの機能を利用しない人は、カメラ起動を含む8種類のアクションから好きな機能を選んで割り当てられる。カメラ機能に関しては、さらにセルフィー/ビデオ/ポートレート/ポートレートセルフィーのどのモードで起動するかも割り当てが可能になっている。
取材先でとっさの録音が必要なことが多い筆者はボイスメモを割り当てているが、長押しをした瞬間にアプリが起動するのではなくいきなり録音が始まるという機動性にちょっと感動した。集中モードの切り替えへの利用に使うのもよさそうだ。
アクションボタンの設定だけ、なぜかiPhoneの全設定画面の中でも浮いている。今後は他の設定もこのようにグラフィカルになるのだろうか。アクションボタンには消音モード、集中モード(設定済みの集中モードを指定可能)、カメラ(5種類のカメラモードを指定可能)、フラッシュライト、ボイスメモ、拡大鏡(虫眼鏡になるアプリ)、ショートカット(ユーザーが設定した自動化機能)アクセシビリティ(21種類から選択可能)
剛性が高い分、薄型化可能なチタンで再設計されたiPhone 15 Pro Max/Proは、修理しやすい設計にするなど内部機構も見直されているとのことで、飛躍的進化を遂げたiPhoneになっている。
詳細発表前は、端子がLightningからUSB Type-Cに切り替わることだけが話題になっていたが、実際の製品にとっては、もはやその変更が些細なことに感じる。プロ用周辺機器接続など、採用するからにはそのメリットをフルに生かしているところもさすがといえよう。
ちなみに、新型iPhoneが採用したUSB Type-C端子は充電元と充電先の端子が同じ形状のケーブルだ。電源やバッテリーとiPhoneを接続した場合は、iPhoneが充電されるのは分かるが、PCやタブレットなどを接続した場合はどうなるのだろうか。本レビューの解禁に合わせて、Appleからその疑問に答えるページが公開された。
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iPhoneのUSB Type-C対応に大きな注目が集まっていたことを裏付ける結果となった。
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