ミネベアミツミ製ベアリングを採用したエレコムの“握らないトラックボール”、カスタム可能な実機を見てきた(2/3 ページ)
エレコムが約4年ぶりに発表した新しいトラックボールシリーズ「IST」には、ミネベアミツミ製ベアリングがボール支持部に採用された。握らず手を乗せるだけのエルゴノミックデザインと空中に浮いているかのようなボール操作のできるISTに触れてきた。
ボール支持方式と接続方式の異なる6タイプ12機種
ISTの特徴は、開発メンバーが試行錯誤を経て獲得した最適なエルゴノミクス形状と、大きなトラックボール、そして片方のモデルのボール支持部がベアリングになっているというものだ。
エレコムがトラックボールユーザーにアンケート調査を行ったところ、最も重視されているのが手とのフィット感、次いでボール操作の滑らかさであることが判明したため、ISTでは「いかに手にフィットするか」を追い求めた。
「粘土モックを削りながら、まさに泥臭い仕方で試行錯誤の上、この形状にたどり着いた」(エレコム開発担当者)
手をデスクの上に自然に置いた際、通常であれば手のひらの小指側の側面(掌外沿:しょうがいえん)を下に手のひらが斜め下を向いた状態、つまり多少の角度をつけた状態となる。自然な角度であれば、握らずに操作できるため、人差し指から小指、手のひらの接地する部分に角度をつけた。
また、トラックボール本体に乗せる手がずり落ちてこないよう、薬指にフィットするくぼみをつけ、手の形を自然にサポートする。小指は手全体を支える役割があることから、デスクから浮かないようなサイズに調整しつつ、安定するよう本体に適度な膨らみを付けた。
エレコムがトラックボール市場に参入したのは2014年だが、マウスを作り始めたのは30年以上前の1988年から。そこで得られたノウハウと、緻密な手作業、忍耐のいる試行錯誤によって握らなくても操作しやすいISTが誕生したという
次に「ボール操作の滑らかさ」を実現するため、エレコムが目をつけたのがベアリングだ。「コスト面などから、人工ルビーをトラックボールの支持球として採用することが多かったが、原点回帰した」と担当者。小型で高性能なベアリングを製造している企業として、ミネベアミツミと共同開発することになった。
ベアリングを採用することで、別のメリットも生じる。従来のトラックボール製品は支持球が付着した汚れを削り取るため汚れがたまってしまい、頻繁に清掃しなければならなかった。ベアリングであればボールに合わせて回転するので、メンテナンスの頻度が減り、快適な操作性が長持ちするという。
ベアリングをボール支持部に採用することで得られるメリットは、空中に浮いているような滑らかな操作感の他に、メンテナンス頻度を減らせるというものもある。トラックボールのボール部分を外して磨くのが好きな人にとっては、物足りなくなるかも
ISTで採用したボールは、通常サイズ(34mm)より少し大きめの36mmとした。「サブディスプレイや4K解像度のディスプレイが増えたため、端から端までのマウスカーソルの移動をよりスピーディーにさせられる」という。何回もコロコロしなくて済むのは、ストレス解消につながりそうだ。
なお、これまで通りの操作感を好む人のために、同じデザインで人工ルビー支持球モデルも用意している。人工ルビーモデルとベアリングモデル、それぞれにBluetooth、USB 2.4GHzワイヤレス、有線の3つの接続方式、さらに白と黒のカラーバリエーションで、6モデル12機種をラインアップしている。
発売時期と価格は以下の通り。
- 有線接続のベアリングモデル:12月初旬:8480円(税込み、以下同様)
- 有線接続の人工ルビーモデル:11月下旬:6480円
- 2.4GHzワイヤレスベアリングモデル:12月初旬:8980円
- 2.4GHzワイヤレス接続の人工ルビーモデル:12月初旬:6980円
- Bluetooth接続のベアリングモデル:12月初旬:9480円
- Bluetooth接続の人工ルビーモデル:11月中旬:7480円
【訂正:2023年11月16日午後4時30分 記事初出時、価格情報が誤っておりました。】
【訂正:2023年11月17日午前11時20分 掲載したスライド写真と掲載した情報の価格が誤っておりました。訂正しておわびいたします。】
交換支持ユニットでカスタマイズも
ベアリングモデルを購入したが、滑りが良すぎてうまく操作できない、逆に人工ルビーモデルを買ったが、ベアリングモデルも試してみたいというユーザー向けに、支持ユニットを交換可能にしたのもISTの特徴だ。
交換支持ユニットは、単体でベアリングユニットが2380円、人工ルビーユニットが1280円となっている。その他、交換ボールは1580円で販売される。
これら交換用パーツがあることで、3つある支持部のうち、「下はベアリングで上2つは人工ルビー支持球」にするなど、自分好みにカスタマイズできる他、長く使いたいというニーズもかなえられる。
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