米Microsoft、AI向けに独自のArmプロセッサ「Cobalt」とAIアクセラレータ「Maia」を開発
いずれも2024年初頭からMicrosoftのデータセンターに展開する。
米Microsoftは11月15日(現地時間)、同社のクラウドサービス「Azure」のデータセンター向けに自社開発したARMベースのプロセッサ「Microsoft Azure Cobalt」と、AI処理のアクセラレータ「Microsoft Azure Maia」を発表した。いずれも2024年初頭からMicrosoftのデータセンターに展開する。
Microsoftは自社製チップを開発した理由として、同社のクラウド環境やAIワークフローにおいて全てを最適化するためだと説明する。
ARMアーキテクチャに基づいて構築された「Cobalt 100」
Cobaltの第一世代となる「Cobalt 100」は、ARMアーキテクチャを採用したプロセッサで、高い電力効率を念頭に置いて設計したという。クラウドでの利用を前提としたクラウドネイティブなプロセッサとして、ワットあたりのパフォーマンスを最適化することを狙っており、全てのデータセンターにCobaltが導入された場合、その効率向上はかなり大きな数字になるとしている。
AIアクセラレータ「Maia 100」
Maiaの第一世代となる「Maia 100」も、AIワークフローを実行するAzureのハードウェア環境に最適化しているため、パフォーマンスと効率が大幅に向上する可能性がある。データセンターに設置するにあたり、カスタムされた専用ラックを用意している。このラックには「サイドキック」と呼ばれる自動車のラジエーターのような働きをする水冷システムを搭載されており、循環する冷却水によって加熱を抑えて効率的に動作させられるという。
Maia 100の開発にはパートナーシップを結んでいる米OpenAIも携わっている。同社CEOのサム・アルトマン氏は「AzureのAIアーキテクチャはMaiaによって最適化されており、より有能なAIモデルを安価に提供できるようになる」とコメントしている。
Microsoftは、CobaltとMaiaのいずれも第二世代製品の開発を進めており、引き続きAzureにおけるデータセンターの最適化を進めていくとしている。
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