レビュー

エレコムのトラックボール新モデル「IST」で始める腱鞘炎対策トラックボールに挑戦!(1/3 ページ)

エレコムから、新型トラックボール「IST」が発売された。多彩な接続方法だけでなく、ボール支持部の変更まで行える多彩な新モデルを試した。

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 マウスの使いすぎで腱鞘炎が心配という人も多いのではないだろうか。各社からエルゴノミクスデザインの製品が出ているが、手首の負担を減らすならトラックボールが一番、という声も耳にする。

 その一方で、トラックボールはマウスとは異なる操作であるため、慣れるのが難しそうでもある。今回はエレコムの新製品のトラックボールIST(イスト)で初めてのトラックボールに挑戦してみた。


エレコムの5ボタントラックボールの新モデル「IST」

腱鞘(けんしょう)炎に悩まされていたところに……

 数カ月前から右手首をひねると、小指側に痛みを感じるようになった。最初は単に寝違えただけかと思ったのだが、痛みはなかなか収まらない。病院で受診したところ「尺側手根伸筋腱炎」という腱鞘炎の一種らしい。原因は使いすぎによる炎症であるため、軽度であれば痛む部位をなるべく使わないことで症状が緩和する、とのことだった。

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 調べてみるとマウス操作による腱鞘炎では親指側に痛みが出ることが多いようで、自分の症状がマウス操作によるものかどうかは分からない。

 だが、マウスを操作すると痛みや不快感があることは事実だ。サポーターも試してみたものの、動きを制限されることで逆にストレスを感じるときもあった。動きを制限されていると感じるということは、それだけ手首に負荷をかける不自然な動きをしているということでもある。

 エルゴノミクスデザインのマウスだとかなり楽になるが、常用しているマウスのフリースピンホイールに慣れてしまっている自分にとっては悩ましいトレードオフだ。結局、いつものマウスを使い続けていた。

 そんな折、エレコムから4年ぶりにトラックボールの新シリーズが発売されたとのニュースが飛び込んできた。トラックボールは指先でボールを回転させることで操作するため、手首への負担が軽いと聞く。もしかしたら、トラックボールは腱鞘炎に悩まされる人たちの福音となるかもしれない。早速、試してみることにした。

 本製品はBluetooth 5.3接続モデル、USBのドングルを使った2.4GHz無線モデル、そしてUSBの有線接続ごとにモデルが用意され、それぞれブラックとホワイトのカラーに加え、ボールの支持部も人工ルビーとベアリングの2タイプから選べるようになっている。

 ボディーサイズは約96(幅)×126(奥行き)×52(高さ)mm、重量は有線モデルが約175g、Bluetooth接続モデルが約146g、2.4GHz無線モデルが約148gで、ボールの直径は約36mm、センサー分解能は500DPIと共通だ。


ブラックとホワイトの2つのカラーが用意される

トラックボールを使いこなすコツとは?

 現在のトラックボールは、天面中央にボールがあって人差し指や中指で操作するセンタータイプと、側面近くにボールがあって親指で操作する親指タイプの2種類が主流だ。過去にセンタータイプのトラックボールを少し触ったことはあったが、その時は細かい操作ができず、特にピタッと止めることができなかった覚えがある。

 今回のエレコムのトラックボール「IST」は親指タイプだ。親指は人差し指よりも精度が落ちそうだなと思う反面、左手親指でさえゲームコントローラーで移動操作に使うのだから、ましてや利き腕である右手であれば何も心配することはない、と思い直す。

 ISTの全体形状は大型マウスにも似ているが、右ボタンのさらに右側部がややせり出していて、薬指と小指を添えるためのガイドとなる膨らみがついている。外側がやや下がるように傾斜がついており、手を乗せると自然と手首に負担のかからない角度で安定するようなデザインだ。

 一般的なマウスと異なり、トラックボールでは手首を動かす操作はないので、ずっとこの安定した状態が維持されることになる。


エルゴノミクスデザインを採用したISTのボディー。傾斜によって手首の負担を軽減している

背面から見たところ

こちらは左側面

右側面。外装はプラスチッキーだ

 だが実際にベアリングモデルを操作してみると、やはりカーソルはあっちやこっちに走っていってしまう。「ピーキーすぎてお前にゃ無理だよ」と言われているような気にもなるが、「そんなのを使っている方が気が知れねえぜ」と言われるほどマイナーなデバイスでもない。

 きっとコツがあるのだろう。ネットで調べてみると「ポインター速度を落とすといい」という記事を複数見つけた。

 そこで、OSの設定画面からポインター速度を半分ほどに落としてみると、これが驚くほどの効果をもたらした。今まで、わずかな回転で大きくポインターが動いてしまっていたため、狙い通りのところにポインターを動かすことも、数ドット単位の細かい操作を行うことも、ピタッと止めることも難しかったのだ。

 だが、ポインター速度を落とすと長い距離を移動させるときにかなりボールを回転させなければならない。4K(3840×2160ピクセル)ディスプレイをデュアルで使っているような環境だと、今後は親指に負担をかけてしまうかもしれない。

しかし、これはマウスのプロパティで「ポインターの精度を高める」にチェックを入れることであっさりと解決した。この設定は「マウスをゆっくり動かしているときのポインターの精度を高める」というものだが、逆に「マウスを速く動かしたときのポインターの動きを加速させる」と言った方がイメージに近い。

 エイムの感覚にズレが生じるためにゲーマーには嫌われがちな設定だが、今回の自分の用途にはぴったりだった。


マウスポインターの速度を下げたところ、一気に操作感が向上した

ポインターの精度を高める」にチェックを入れて高速回転時のポインター移動速度を加速させる

 もう少し、トラックボールを使い込んでみよう。

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