お客さまに寄り添うしかない エプソン販売の栗林社長が「環境」「サスティナビリティ」にこだわるワケ:IT産業のトレンドリーダーに聞く!(3/3 ページ)
ポストコロナ時代に入り、業界を取り巻く環境の変化スピードが、1段上がった。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。各社の責任者に話を聞いた。大河原克行氏による経営者インタビュー連載のエプソン販売 後編をお届けする。
お客さまに寄り添うしかない そのための取り組み
―― エプソンでは、リファービッシュ品(認定整備済み製品)への取り組みに力を注いでいますね。
栗林 現在、7カテゴリーでリファービッシュ品をそろえ、この事業が動き始めたという段階にあります。お客さまにとっては、同じ機能を持った商品を、価格の観点でメリットを得られますし、環境に貢献するという点での顧客満足も得られています。
またB2B向けには、大判プリンタのリファービッシュ品も用意していますが、既存機種と同じものをリファービッシュ品によって導入することで、ワークフローを変えずに、導入コストを引き下げながら、増設できるというメリットがあります。
一方、エプソンにとっては環境に配慮したビジネスが展開できるという点で社会貢献ができます。エプソンユーザーの裾野を広げるというよりも、長く使ってもらうという提案を重視していきます。
―― その半面、若年層向けのプリンタ戦略では、競合他社に比べて遅れが感じられます。
栗林 その点は反省しており、実はZ世代向けの取り組みを少しずつ開始しています。エプソン販売では2023年度に、ホームプロジェクターにおいて、有志によるZ世代プロジェクトを立ち上げました。Z世代の約10人の社員が参加し、Z世代は、どういうメディア接点で情報を仕入れているのか、購入決定に至るまでの経緯ではどんなことが影響を及ぼしているのかといったことを調査しました。
Z世代がプロジェクターに求めているものは何かといったことを調査し、プロジェクターで「チル」を感じてもらうにはどうするのか、「推し活」にはどう貢献できるのかといったことも検討しました。プロジェクターだけでなく、プリンタも独自の団扇(うちわ)が作成できるなど、「推し活」にもつなげる提案ができるのではないかと思っていますから、これからさまざまな可能性を捉えながら、スピードをあげて提案をしていこうと考えています。
約2年前から、エプソン販売とセイコーエプソンの事業部がCX(カスタマーエクスペリエンス)を生み出すためにチーム連携を始めています。ただ、Z世代専用モデルなどのモノ作りにつなげるには時間がかかりますから、まずは、エプソン販売がマーケティング施策や販売提案の切り口で、どういう顧客接点で、どういうチャネルで、どんな提案をするのかといったアイデアを出し、そこからZ世代へのアプローチを進めていきます。
―― 今後、どんなエプソン販売を目指しますか。
栗林 経営者として財務指標は大切ですが、カスタマーサクセスという観点で捉えれば、お客さまから次もエプソンを買いたいと思ってもらえるようにすることが大切だと思っています。お客さまと長くつながっていられる状態は、お客さまに価値を提供し続けることができていることであり、お役に立っていることを推し量るバロメーターになるともいえます。
例えば、カラリオスマイルPlusの利用者が増加すれば、エプソンのプリンタを長期間利用してもらえるユーザーが増え、お客さまと長くつながり、長期間に渡って満足していただけていることの裏付けになりますから、重視する指標の1つになります。
エプソン販売にとって最も重要なのは、社会に貢献し、お客さまのお役に立つことだと思っています。そのために、お客さまを軸にビジネスを行っていく会社にしたいですね。これまで以上にお客さまに寄り添って、困りごとを解決し、お客さまの笑顔に貢献したいと思っています。
実際に「エプソン販売は、本当にお客さまのことを理解して、課題を解決してくれる会社だよね」と言われるようになりたいですね。そのためには、お客さまに寄り添うしかありません。エプソン販売の社長とし、これをやりきりたいと考えています。
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