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「Snapdragon X Elite」って結局どうなのよ? ASUS JAPANの「Vivobook S 15」(S5507QA)を試して分かったこと(2/6 ページ)

ASUS JAPANから、Qualcommの新SoC「Snapdragon X Elite」搭載ノートPC「Vivobook S 15」(S5507QA)が発売された。今回は本機の性能を中心に、新SoCの魅力を考えてみた。

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Snapdragonのイメージを覆すパフォーマンス志向

 Snapdragon X Eliteについては、PC USERでも発表時に記事化されている。これまでのSnapdragonのイメージを大きく覆すハイエンドのCPU(SoC)だ。

 Qualcommは、これまでもPC向けのSnapdragon系CPUの発表時にパフォーマンスをアピールしてきた経緯があるが、それらはあくまでもスマートフォン向けSoCの延長線上にある製品であり、「速い」といってもスマートフォン向けSoCとの比較上でのことだった。


Vivobook S 15(S5507QA)は、SoCとしてSnapdragon X Elite(X1E-78-100)を搭載している

 一方、このSnapdragon X Eliteは、PCにフォーカスした新しい設計思想の元で開発されており、CPUコアから完全新規に設計されている。そのCPUコアが、開発コード名「Oryon」(オライオン)だ。

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 そして、Snapdragon X Eliteは、Arm系SoCで一般的な、性能重視のコアと省電力重視のコアを組み合わせて使う「big.LITTLEアーキテクチャ」を採らない。パフォーマンス重視のOryonコアのみを12基搭載するという、パフォーマンスへ大きく振った構造となっている。もっとも、単にパフォーマンスに全振りしたというわけでもなく、プロセス技術(4nm)やアーキテクチャの優位から、電力効率も優れている。

 また、Snapdragon X Eliteには4種類のバリエーションモデル(SKU)が存在するが、本機は最も低いグレードの「X1E-78-100」を搭載している。CPUの周波数が最大3.4GHzで、2コアブースト機能を省いた仕様だ。

 なお、TDPは可変であり、IntelやAMDのUシリーズが採用される薄型ノートPCから、Hシリーズが搭載される高性能ノートPCまでをカバーする。つまり、PCベンダーの熱設計ポリシーによって、Snapdragon X Eliteの同じSKUを備えても、性能はかなり変わってくる可能性がある。


Snapdragon X Elite(X1E-78-100)のバリエーション(QualcommのWebサイトより)

バッテリー駆動時間は「性能の割には優秀」という理解が妥当

 Snapdragon X Eliteの発表時の記事を改めて見てみると、Qualcommの訴求はどうもズレているように感じる。

 発表時のプレゼンテーションにしても、「Geekbench 6.2.1のSingle-CoreのスコアがIntelのCore i9-13980HXより高いがはるかに省電力」「マルチコアのスコアについては、Core i7-1335Uや1360Pと比較して最大で60%高速」という説明で、何とも分かりにくい。これでは「良いところだけ選んでアピールしているんだな」という印象しか受けない。これまでの経緯も経緯なだけに、せっかくのパフォーマンスの飛躍的向上がうまく伝わらなかった感がある。

 また、Qualcommは、電力効率も強くアピールしているが、バッテリー駆動時間ということでは実際はさほどでもない。一例を引くと、本機のバッテリー駆動時間(公称値)は約18時間と長時間ではあるが、70Whの大容量バッテリーを搭載していることを考えれば、驚く数字ではない。パフォーマンスがきちんと伝わらなければインパクトに欠ける要素だ。

 あくまでも「パフォーマンスの割には優秀」という理解が妥当だろう。Snapdragonのブランドイメージとして電力効率の高さは定着しているため、電力効率の高さを強調したことで、以前の(電力効率は高いがパフォーマンスが低い)Snapdragonのイメージへと引っ張る印象を受ける。。


Snapdragon X Eliteの発表時の記事にあるが、「IntelのCore i9-13980HXよりGeekbench 6のSingle-Coreのスコアが良くて、70%省電力」という分かりにくすぎるアピールが、このプロセッサの本質を見えにくくした感は否めない

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