エプソンダイレクトのデスクトップPCを一手に担う「ちくま精機」 訪ねて分かった1日修理や短納期を実現する“秘密”(1/5 ページ)
エプソンダイレクトのデスクトップPCは、長野県安曇野市にある「ちくま精機」で作られている。意外なことに、ちくま精機にはエプソンダイレクト(と、その親会社であるセイコーエプソン)との資本関係を持たない。そんな両社を結びつけるものは何なのか――ちくま精機の本社を訪ね、その秘密を探った。【更新】
エプソンダイレクトのデスクトップPCは、ちくま精機(長野県安曇野市)が生産を担っている。現在、7機種のデスクトップPCを4億通りのBTO(Bulid To Order)で生産可能だという。注文から最短2日間で生産/出荷する体制を敷いているのが最大の特徴だ。
また同社ではエプソンダレイクトのデスクトップPC/ノートPCなどの修理も請け負っており、こちらは1日修理を実現している。今後は、リファービッシュ(メーカー再生)PCの生産にも力を注ぐ考えで、その準備を進めているとのことだ。
今回はちくま精機を実際にを訪れ、PCの国内生産の強みと、迅速な修理体制の秘密を見てきた。
【更新:11月20日15時】修理体制に関する記述に追記を実施しました(それに伴い、見出し名を変更しています)
エプソンダイレクトってどんな会社?
エプソンダイレクトは、エプソン販売の完全子会社として1993年11月に設立された。2023年、創立から30周年を迎えた。その名の通りダイレクト販売、つまり直販によるPC事業が主力事業で、2022年度の売上高は210億円となっている。
同社の販売(出荷台数)の8割以上は、法人向けが占める。「一般OA」と呼ばれるオフィス用途への展開の他、最近は「特定用途」と呼ばれる特定業務用途向けPCの提案を増やしているという。
特定用途PCでは「設計/CAD」「受付」「POS」用端末として活用できるモデルの他、「サイネージ(ディスプレイ)」「製造業における検査装置」のコントローラーとして使えるPCを活用する企業も増えているそうだ。そのため、これらの用途に対応すべく、柔軟なカスタマイズへの対応や組み込み用OSの活用などを行っている。
その一例として、2024年11月に発表した「業務別パッケージモデル」がある。例えば製造業向けにはAI(人工知能)を活用した外観検査に適する「外観検査AI向けNVIDIA搭載パッケージ」や、ライン上の各種装置に組み込むことを前提とした「装置組み込み向け長期運用パッケージ」を用意している。OSは長期間の安定運用を重視した「Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSC」を搭載するなど、製造現場に求められる仕様を実現したことが特徴だ。
今後はシステムベンダーと連携しつつ、このパッケージモデルの利用シーンの提案を強化するという。
エプソンダイレクトでは、エプソングループが持つ「省・小・精」技術を用いたハードウェアメーカーとしての強みに、ソリューションを組み合わせることで、ユーザーのビジネスに寄り添いながら、その課題解決に貢献することを目指している。
「売ったモノ(PC)、ユーザーが困りごとを解消する」のではなく、「困りごとの解消“そのもの”を販売する」という姿勢にシフトしていくのだと、同社は強調する。
さらに、受注から2日間での製品出荷や4億通りのBTOへの対応、土日を含む到着後1日での修理サービスの実現や、最長7年間の定期保守サービスの提供といったように業務に最適なPCを提供し、業務を止めないための体制を敷いている。これらのエプソンダイレクトならではの仕組みも、ユーザーから高い評価を得ているという。
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