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モンスターハンターワイルズは快適に遊べる? 結構強いミドルレンジGPU「Radeon RX 9070/9070 XT」を試す先行レビュー(1/4 ページ)

3月7日11時、AMDの新型GPU「Radeon RX 9070」「Radeon RX 9070 XT」を搭載するグラフィックスカードの発売が解禁される。それに先んじて、PowerColor(TUL)製のグラフィックスカードでその実力を試してみよう。

 2月28日に発表されたAMDのデスクトップ向け新GPU「Radeon RX 9070」「Radeon RX 9070 XT」は、新アーキテクチャ「RDNA 4」を採用して、税別で549ドル(約8万2700円)スタートという点を含め大きな話題を集めている。

 両GPUを搭載するグラフィックスカードは、3月7日午前11時に発売される。それに先駆けて、AMDからTUL製のグラフィックスカード「PowerColor Red Devil AMD Radeon RX 9070 16GB GDDR6」と「Red Devil AMD Radeon RX 9070 XT 16GB GDDR6」を借りたので、その実力をチェックしていこう。


Red Devil AMD Radeon RX 9070 XT 16GB GDDR6(手前)とRed Devil AMD Radeon RX 9070 16GB GDDR6(奥)

Radeon RX 9070/9070 XTってどんなGPU?

 ベンチマークテストを進める前に、まずはRadeon RX 9070とRadeon RX 9070 XTの仕様をチェックしよう。

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 Radeon RX 9070/9070 XTは、AMDのコンシューマー向けGPU「Radeon RX 9000シリーズ」の第1弾製品だ。

 先述の通り、両製品は新しいRDNA 4アーキテクチャを初めて採用したGPUとなる。RDNA 4では、GPUの“核”となる「コンピュートユニット(CU)」の設計が一新されている。

 まずGPUの基本的な性能向上のため、メモリサブシステムの改善を実施している。具体的には「メモリ圧縮の強化」や「より高速なGDDR6メモリ(256bit/20Gbps)の採用」などを行うことで、CUの効率改善や動作クロックの改善を図っている。

 またダイナミックレジスタアロケーションに対応したことで、メモリアクセスにおける遅延(レイテンシー)の抑制やシェーダーコアの利用率向上も図られている。


CUに改善を加えることで処理効率を向上した

 レイトレーシング処理を行う「レイトレーシングアクセラレーター」も第3世代に更新され、内部の交差エンジンが2基に増強され、先代の「RDNA 3アーキテクチャ比」で実効パフォーマンスが最大2倍に向上したという。続いて重たいゲームの


レイトレーシングアクセラレーターは第3世代となり、実効パフォーマンスが最大2倍に引き上げられた

 AI(人工知能)の演算処理を専門的に担う「AIアクセラレーター」は第2世代となった。AMDの説明によると「最先端のゲーミングと生成AIモデルに合わせて設計された」といい、FP8(8bit浮動小数点)演算のネイティブサポートを追加した他、従来からサポートしている形式(精度)における演算パフォーマンスも最大2~8倍の高速化を実現した。

 動画のデコード/エンコードを行う「メディアエンジン」も最大20%の画質改善が行われている。


AIアクセラレーターは第2世代となり、FP8演算をネイティブサポートした上で、既にサポートしている形式における演算パフォーマンスを改善している

AIアクセラレーターの性能向上は、ゲームにおける超解像技術「FidelityFX Super Resolution(FSR) 4」にも生かされている

 上記の改善から、Radeon RX 9070/9070 XTはミドルレンジクラスのGPUながら、先代の「Radeon RX 7000シリーズ」におけるハイエンドGPUに割って入るような位置付けの性能となっている。ゲームシーンでいえば、WQHD(1440p/2560×1440ピクセル)と4K(2160p/3840×2160ピクセル)解像度におけるゲーム体験の向上を期待できるという。

 AMDの自社計測ではあるが、先代のハイエンドモデル「Radeon RX 7900 GRE」比で、WQHD/4K解像度共に平均で約20~40%のパフォーマンス改善をしたとのことだ。

 また、AMDの超解像技術「FidelityFX Super Resolution(FSR)」は最新バージョンの「FSR 4」に対応している。FSR 4はRadeon RX 9000シリーズでパワーアップしたAIアクセラレーターを活用した「フレーム生成」「アンチラグ(入力遅延抑制)」も利用可能だ。

 FSR 4を利用するにはゲーム側の対応も求められるが、現行の「FSR 3.1」用のAPIを流用できるので、既にFSR 3.1に対応しているゲームアプリであれば、スムーズにFSR 4に対応可能だ。


FSR 4はRadeon RX 9070/9070 XTの発売時点で30超のタイトルに対応するという

 Radeon RX 9070/9070 XTの主な仕様は以下の通りだ。

  • Radeon RX 9070
    • CU:56基
      • RTアクセラレーター:56基
      • AIアクセラレーター:112基
    • AI TOPS(ピーク時/INT4演算):1165 TOPS
    • 最高クロック:2.52GHz
    • グラフィックスメモリ(GDDR6規格):16GB
    • 消費電力:220W
    • 接続インタフェース:PCI Express 5.0 x16
    • 映像出力(標準仕様):DisplayPort 2.1a×3+HDMI 2.1b×1
  • Radeon RX 9070 XT
    • CU:64基
      • RTアクセラレーター:64基
      • AIアクセラレーター:128基
    • AI TOPS(ピーク時/INT4演算):1557 TOPS
    • 最高クロック:2.97GHz
    • グラフィックスメモリ(GDDR6規格):16GB
    • 消費電力:304W
    • 接続インタフェース:PCI Express 5.0 x16
    • 映像出力(標準仕様):DisplayPort 2.1a×3+HDMI 2.1b×1

今回レビューするグラフィックスカードの外観をチェック!

 発表時の記事でも触れた通り、Radeon RX 9070/9070 XTにはAMD純正設計の「リファレンスカード」の設定がない。そのため、全てのグラフィックスカードはパートナー企業の独自設計となる。

 今回AMDから借用したのは、TULのPowerColorブランドの「Red Devilシリーズ」に属するグラフィックスカードだ。寸法はいずれもブラケット込みで約149(幅)×352(奥行き)×69(厚さ)mmとなっており、外観も1カ所を除くと同じである。映像出力は標準仕様と同じくDisplayPort 2.1a×3+HDMI 2.1b×1という構成だ。

 両カードは厚いだけでなく奥行きも結構あるので、コンパクトなPCケースを使っている場合は収まるかどうか、事前にチェックしておくことを強くお勧めする。


羽根の数が多い3連ファンはRed Devil AMD Radeon RX 9070、Red Devil AMD Radeon RX 9070 XTで共通だ

冷却パフォーマンスを優先する観点からか、Red Devil AMD Radeon RX 9070(左)、Red Devil AMD Radeon RX 9070 XT(右)共に3スロット厚となっている

 GPU補助電源ピンは、Red Devil AMD Radeon RX 9070は「8ピン×2」、Red Devil AMD Radeon RX 9070 XTは「8ピン×3」という構成となっている。旧規格のピンなので、現在使っている電源ユニットをそのまま使える点は、グラフィックスカードだけのアップグレードで考えていた人にはうれしい仕様といえる。

 なお、同じRadeon RX 9070/9070 XT搭載グラフィックスカードでも、一部にGPU補助電源ピンが新規格の「16ピン(12V2x6)」になっているものもある。ここはターゲットとするユーザー層の違いなどを考慮して決定されるのだろう。


GPU補助電源ピンは、Red Devil AMD Radeon RX 9070 XT(手前)は「8ピン×3」、Red Devil AMD Radeon RX 9070(奥)は「8ピン×2」という構成となっている
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