レビュー

M4チップが載った新型「MacBook Air」に見る、AI時代に向けた進化とAppleの戦略 光の加減で色調が変化する新色スカイブルーにも注目本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/3 ページ)

随所にAppleが示す戦略的なメッセージが感じられる。改めて製品仕様を振り返った上で、実機による評価を進めよう。

 Appleが3月5日に発表した、M4チップを搭載する新型「MacBook Air」の実機を一足先に評価することができた。

 評価機の構成はCPU、GPU共に10コア、内蔵メモリは24GBで、SSDは512GBだ。新色のスカイブルーについては詳細を後述するが、光が当たる部分はシルバーに見え、角度によってはターコイズに見えるという、爽やかでクールなカラーに仕上がっている。


M4 MacBook Airの評価機

 メカニカルな設計の部分では、従来モデルを踏襲しているが、随所にAppleが示す戦略的なメッセージが感じられる。改めて製品仕様を振り返った上で、実機による評価を進めよう。

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“Apple Intelligence対応”を進めるApple

 先日発表されたiPhone 16eにもいえることだが、直近のApple製品の戦略は“Apple Intelligenceに対応させること”に帰結している。

→・激安とはいえない廉価スマホ「iPhone 16e」を使って分かった本質的価値 Appleの“次の時代”を見据えた一手か

 まず注目すべきは、価格と標準仕様の見直しだ。日本での価格は円安などの影響もあってか据え置きとなってしまったが、13型モデルの米国価格は従来よりも100ドル値下げとなる999ドルに設定された(以前の水準に戻ったともいえる)。

 しかも値下げと同時に、標準メモリが8GBから16GBに倍増していることにも注目したい。メモリ増量と価格引き下げを同時に行ったのは、単なる“お買い得感”を煽るためではなく、その背景にはAI時代への備えがある。

 Appleは昨今、Apple IntelligenceというオンデバイスAIの機能強化に力を入れているが、標準メモリを増強することで、より大規模なAIモデルをデバイス上に読み込めるようになる。


4月初旬から日本語にも正式対応する

 Apple Intelligenceはクラウドへの接続を前提としたAIとシームレスに連動する機能があることも特徴の1つだが、5G通信モデムを内蔵せず、スマホよりも多くのアプリケーションを連動させる機会の多いMacでは、オンデバイスで使われるAIのモデルデータは大きくなると推察される。

 M4 MacBook Airでメモリが倍増したのは、従来の体験を落とさずにAI機能を生かすことだろう。日本円では価格据え置きと書いたが、Windows PCと比較しても本機はリーズナブルな設定になっている。

 そのお買い得感は、各種ベンチマークや具体的なアプリケーションのパフォーマンスからも読み取れる。以下、前モデルに位置付けられるM2 MacBook Airとの比較を中心に話を進めることにしよう。

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