M4チップが載った新型「MacBook Air」に見る、AI時代に向けた進化とAppleの戦略 光の加減で色調が変化する新色スカイブルーにも注目:本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/3 ページ)
随所にAppleが示す戦略的なメッセージが感じられる。改めて製品仕様を振り返った上で、実機による評価を進めよう。
着実に向上したAI処理性能
まずはAI関連の処理能力について、どのような変化が見られるかを客観的な数値としてベンチマークテストアプリ「Geekbench ML」で比較してみた。なお、テスト実施の前後でアプリの名称が「Geekbench AI」に変化したが、基本的には同じものだ。
このベンチマークテストは、CPU、GPU、Neural Engineのそれぞれで計測が行える。M4 MacBook AirはCPUやGPUのスループット向上でそれぞれの数値も向上しているが、CPUのスコアは想像では「もっと速くなっているのでは?」と思っていたほどではなかった。
M4ではCPUの命令セットがアップデートされ、ML関連の演算が高速化しているはずだが、それ以前からAppleは独自の命令セット拡張を有していたので、Core MLというフレームワークでは既に実装されていたのかもしれない。
一方、Neural Engineのスコアを見ると、M2とM4の違いはクロック周波数が少しばかり向上している程度の違いでしかないが、量子化のスコアに関しては2万9019点に対し、M4では5万1205点と1.7倍近い性能アップを記録している。
画像処理ソフトウェア「Pixelmator Pro」での超解像処理も、この数字に近い向上を示している。Apple Intelligenceに合わせて2倍速になったといわれてきたNeural Engineだが、このように量子化データにおけるパフォーマンス向上が、どうやら改良の鍵のようだ。
これはApple Intelligenceのようなオンデバイス言語モデルだけではなく、同様にAIモデルを参照しながら行う被写体認識などでも高速化に効くはずだ。
なお、量子化データの処理能力が向上した新しいNeuralEngineはM3チップにも搭載されておらず、M4ファミリー以降の対応となる。
CPU/GPUの堅実な進化がアプリ実効速度を押し上げ
M4チップのパフォーマンスについては、既にMac miniやMacBook Pro 14インチモデルなどでも知られたことだが、連続した負荷が長時間続く用途でなければ、本機でもその実力に変化はない。
特にCPU性能に関しては大きく向上している。向上の理由を改めて振り返ると、高性能コア、高効率コアともに設計上の大幅な改良が加えられているだけではなく、高性能化した高効率コアの数が2個増加している。これにより総合性能が向上するとともに、日常的なタスクにおける電力効率も高まっている。
続いて「Geekbench Pro 6」のベンチマークテストの結果を見ると、シングルコアスコアでM2 MacBook Airが2687点なのに対して、M4 MacBook Airでは3864点を記録した。
マルチコアスコアは9792点から14889点へと大きな飛躍だ。参考として記載したM3チップのパフォーマンスと比較しても差がある。
この性能向上の成果を最も受けているのがPhotoshopで、Pudgetのアプリケーションベンチマークにおいて34%の速度向上を果たしている。ちなみにこのスコアはわずかではあるが、M3 Proチップをも上回る。
ではGPU志向の強いアプリケーションではどうだろう? GPU性能も着実に進化しており、「Geekbench」のMetalスコアはM2 MacBook Airが約4万6305点だったのに対し、M4 MacBook Airでは約5万7527点に向上している。
この値はメッシュシェーダやレイトレーシングのアクセラレータによる効果を反映していない演算スループットだが、GPUを演算機として使う例として、「DaVinci Resolve」でのテスト結果を見ると42%の向上が見られ、ほぼスコア通りの処理速度向上がもたらされている。
4Kレベルの動画編集や画像加工処理は個人ユースでも使われることが多くなっていることを考えれば、この違いは小さくはない。
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