「Ryzen 9 9950X3D」はゲームになると“水を得た魚”になる限界突破CPU L3キャッシュ“爆盛”の破壊力をチェック(4/4 ページ)
AMDが、L3キャッシュ爆盛CPUのハイエンドモデルをまもなく発売する。そのパフォーマンスを先行チェックしよう。
クリエイター系アプリも強い?
高性能なCPUならゲーム以外の重たいPC操作も快適――そう期待する人も多いだろう。そこで最後に、「Adobe Lightroom Classic」を使ってRAWデータの現像処理スピードを比べてみよう。
今回はニコンのレンズ交換式カメラ「Nikon Z 7II」で撮影したRAWファイル100枚を、同じ解像度のJPEGファイルとして書き出すのに要した時間を測定した。結果は以下の通りだ。
- Ryzen 9 9950X3D:18.2秒
- Ryzen 9 9950X:21秒
- Core Ultra 9 285K:29.4秒
Lightroom ClassicにおけるRAW現像は、CPUの能力がスピードを左右する。その点、ゲームと比べればわずかな差だが、Ryzen 9 9950X3Dが最速だった。Ryzen 9 9950Xとは同じパーツ構成でテストを行っているため「どちらかが計測が間違っているのでは?」と思い、何度も計測を行ったが、計測結果に誤りはなかった(いずれもベストタイムを掲載している)。
筆者も取材で撮った数百枚の写真を選別し、数十枚~100枚弱のを現像する機会が多い。その度に「もっと現像を早くできないか?」と思うのだが、その観点からするとRyzen 9 9950X3Dの速さは“のどから手が出るほど”に欲しい。
現時点でコンシューマー向け最強のCPU
テスト結果を個別に見ていくと、シングルコア性能では競合の方が優秀な場面もあった。しかし、16コアの全てを使い切らないにしても、実際の重たい作業を行う場面ではマルチコア性能が重要だ。
その点、Ryzen 9 9950X3Dはマルチコア性能において他のコンシューマー向けCPUの追従を許さないパフォーマンスを備えている。ただし、プログラムにおけるCPUの使い方によっては増量されたL3キャッシュを生かしきれない場合もあるので注意したい。それでも、Ryzen 9 9950X並みの性能は確保できているので、強いことには変わりない。
これだけの性能ともなると消費電力や発熱が心配になる。今回のテスト環境では、アイドル時に85W、3DMarkの「Time Spy Extreme」の実行時におけるピーク時で593Wだった。消費電力は低いわけではないが、高すぎるといったこともない。
今回は240mmの簡易水冷クーラーでもCPUを十分に冷やせたので、発熱についでも必要以上に心配する必要はなさそうだ。
本製品より3カ月以上先行して発売されたRyzen 7 9800X3Dは、記事掲載時点でも入手が難しい。結局、Ryzen 9 9950X3D(とRyzen 9 9900X3D)の課題も“入手性”となりそうな気配だ。とはいえ、高性能なPCを組みたいと考えているなら、もし購入のチャンスが巡ってきた際には迷わず買っていいCPUだ。
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