NTT系初の耳をふさがない集音器「cocoe Ear」発表 補聴器でない理由、AirPods Proとの違いは?(1/2 ページ)
NTTソノリティが新ブランド「cocoe」を発表、聞こえづらさを抱える人に自然な音体験を届けることを目的に始動した。第1弾の耳をふさがない集音器「cocoe Ear」は12月23日発売、GREEN FUNDINGにて3万9600円となる。NTTの音響技術を武器に、これまで補聴器やイヤフォンに馴染めなかった層へ向け、新しい音のライフスタイルを提案する。
NTTソノリティが新しい音の届け方を目指すブランド「cocoe(ココエ)」を発表した。12月23日、第1弾商品として耳をふさがないオープンイヤー型集音器「cocoe Ear(ココエイヤー)」を発売する。販路はGREEN FUNDINGで、販売予定価格は3万9600円となっている。
聞こえづらさを抱える人に自然な音体験を届けることを目的に生まれたcocoeブランドを冠し、NTTが長年磨いてきた音響技術を武器に、これまで補聴器にもイヤフォンにもなじめなかった人に向けて売り込む。実際に体験できるようにと、12月3日から31日までの期間限定で、東京丸の内、札幌、福岡六本松のドコモショップに試聴体験コーナーを設ける。
NTTグループの音響技術を結集したcocoe Earは、加齢に伴う「聞こえづらさ」を感じ始めた層をターゲットに、日常の自然な会話やテレビ視聴を快適にするための機能を凝縮している。
最大の特徴は、NTTの特許技術「PSZ(パーソナライズドサウンドゾーン)」の採用と、徹底したユーザー視点に基づく設計思想だ。PSZは、ある特定の範囲(耳元)だけに音をとどめる技術。スピーカーから出る音に対し、逆位相の波形を当てて音の「打ち消し距離」を精密に制御することで、オープンイヤー型でありながら周囲への音漏れを抑制することに成功した。さらに、高性能チップによる音響処理技術を組み合わせることで、集音器特有の不快な「ハウリング」を抑制できるという。
cocoe Earは、NTTの特許技術「PSZ(パーソナライズドサウンドゾーン)」を搭載した音響設計で、音の“打ち消し距離”を精密に制御することで耳元だけに音を閉じ込める。さらに、高性能チップによる音処理で、ハウリングを抑えるとともに、音漏れを抑えながら自然な聞こえと装着感を両立した
メガネより軽い10g、簡単操作も実現
毎日使うことを想定し、装着感には徹底的にこだわった。開発過程では50代以上の約30人に協力を仰ぎ、実際の生活における「聞こえ」の悩みや使用感をヒアリング。その結果、本体重量は片耳わずか約10gと、一般的なメガネよりも軽くした。長時間着けていても負担を感じにくいという。
また、落下防止への配慮としてネックストラップを採用するなど、外出先でも安心して使える実用性を備えた。ボディーカラーについてはホワイト、ベージュ、ブラックのベーシックな3色が用意され、服装になじみそうな色味となっている。
「機械操作が苦手」という層にも配慮し、パッケージを開けて耳にかけるだけですぐに起動する仕組みとなっている。ボタン操作のみで「集音機能」のオン/オフ切り替えなどを行える。
同時発表のテレビ用Auracastトランスミッター「cocoe Link(ココエリンク)」(販売予定価格は1万500円)を利用し、テレビの音を聞こえやすくすることも特徴の1つだ。周囲には通常の音量でテレビを流しながら、使用者の耳元には聞き取りやすい音量で音声を届けられる。
また、スマートフォンの操作に慣れているユーザー向けには、専用アプリ「cocoe Connect(ココエコネクト)」も用意しており、より細かく自分好みの聞こえ方に調整できる。
cocoe Earの誕生背景、集音器市場への参入意図は
cocoe Earは日本における課題解消に向けて誕生した。それが「聞こえ」の問題だ。NTTの大西佐知子常務によると、日本では高齢化の進行とともに聞こえの悩みを抱える人が増え、65歳以上は3600万人、聞こえづらさを自覚する人は1400万人に上る。しかし補聴器の普及率は15%にとどまり、必要性を自覚しても購入には抵抗がある人が多い。聞こえの不安が会話の減少や孤立につながり、生活の質に大きく影響する。
cocoe Earは、日本の「聞こえ」の課題解決を目指し誕生した。NTTの大西佐知子常務は、難聴の自覚者が1400万人に上る一方で、補聴器普及率は15%にとどまる現状を指摘。購入への抵抗感が招く会話減少や孤立を防ぎ、生活の質向上を支える狙いが開発の背景にあるとした
NTTソノリティが集音器として市場に参入した理由について、NTTソノリティ 新規事業開発室 プロダクトマネージャーの中野達也氏は、「カジュアルに手に取ってもらうことが最大の狙い」と説明し、価格や売り方の自由度から、補聴器より集音器が適しているとした。自身が在籍していた補聴器メーカーのリオンでも補聴器と集音器の両方を展開していた経験があり、「まずは気軽に使える集音器の方が届けやすい」と語る。
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