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シリコン飢餓とデバイスに忍び込むAIの幻影――不惑を迎えたWindowsと、AIに飲み込まれた2025年のPC業界を振り返る(1/6 ページ)

2025年11月、Windowsが誕生から40年を迎えた。この年は、Windowsを含めてPC業界を取り巻く環境は“激動”した。振り返ってみたい。

 11月20日、Microsoftのオペレーティングシステム「Windows」は誕生から40周年を迎えた。1985年に「Windows 1.0」が発売されてから、まさに“不惑”のよわいである。かつて、孔子は「四十にして惑わず」と言った。しかし、2025年のWindows、そしてPC業界全体はかつてないほどの混乱と変革の渦中にある。

 この40年間、Windowsは常にパーソナルコンピューティングの代名詞であり続けてきた。実は現在、この40年を振り返る書籍を執筆中で、多くの資料を収集しているところだが、WindowsにまつわるMicrosoftの柔軟な戦略転換には驚くばかりだ。

 MS-DOSのCUI(文字主体のUI)時代から、GUI(グラフィックス主体のUI)の大衆化をけん引し、インターネットの波に乗り、そしてクラウドとモバイルの時代にも適応してきた。その歩みは、まさに“パソコン文化”そのものの歴史と重なっている。

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 だが2025年という節目に待ち受けていたのは、祝祭ムードとは程遠い現実だ。AIという巨大な重力が、半導体市場をゆがめ、メモリ価格を暴騰させ、そして“OS”そのもののアイデンティティーまでをも揺るがしている。NVIDIAのGPUは店頭から消え、BTOパソコンメーカーは受注停止に追い込まれ、年末商戦は「モノがない」という異常事態の中で幕を閉じようとしている。

 この“激動の年”を振り返りながら、そして2026年に向けて何を考えるべきなのかを、技術と歴史の両面から掘り下げていきたい。

 結論を先に述べておこう。2025年はAIが半導体とOSの“優先順位”を書き換えた年“だった。GPUや先端パッケージ半導体の奪い合い、HBM(広帯域メモリ)優先が引き起こしたメモリショックなどの経緯が業界を混乱させ、既にサービス化されているWindowsというOSは、これまでの「道具の一部」としての位置付けから「エージェント」へと転換しようとしている。


2025年はWindowsの誕生から40周年を迎えた。日本では日本マイクロソフト(旧マイクロソフト)が直接販売したWindowsは「Windows 3.1」からということもあり、国内の複数の展示会/イベントにおいてWindows 3.1から主なパッケージで振り返る展示をしていた
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