危機の演出? それとも本当の“焦り”? OpenAI「コード・レッド」の内実:本田雅一のクロスオーバーデジタル(6/6 ページ)
OpenAIが「GPT-5.2」を発表する前に、同社が社内に「コード・レッド(緊急事態)」を宣言したという報道があった。これは、一体どういうことだったのか――よく見てみると、ある意味でのゲームチェンジを狙ったものだということが分かる。
実用性と安全性のバランスを取り「拒絶」から「協調」へ
GPT-5.2は、生成AIで発生しがちな「ハルシネーション」に対する安全性でも進化したという。実際に使ってみて感じるのはリクエストの「拒絶」がほとんど出なくなったことだ。
これまでのGPTでは、安全性の懸念があるとリクエストが拒否(遮断)されてしまい、きちんと答えてくれるプロンプトを書くのに苦労することがあった。少しでもリスクが見えると過剰に拒絶する「Over-refusal(過剰拒否)」と呼ばれる傾向だ。
その点、GPT-5.2ではリクエストの「Safe Completion(安全な完遂)」を意識しているという。 危険な解答は削る一方で、解答を拒否するのではなく、安全な“代替回答”に誘導することで、安全性から外れる会話を自然に軌道修正するように仕向けている。安全性への懸念があっても会話を止めず、最終的にユーザーの目的を達成することを目指すということだ。
この方向性は、特にメンタルヘルス領域で有効な手法として取り入れたという。危機的兆候への検知と対応が見直され、共感的で非審判的なトーンを保ちつつ、専門機関への誘導を行う設計へと調整されているのだ。
また、18歳未満のユーザーには自動的により厳格な保護を適用し、今後は年齢を推定することで追加保護を行う仕組みの試験運用も計画されている。
まとめ
ここまでGPT-5.2の全体像に触れてきたが、フロンティアモデルはそれぞれが特徴的で、万能なわけではないことも感じられるだろう。
生成AIの大手企業は、それぞれ異なる得意分野を持っている。
- OpenAI:推論と業務統合
- Anthropic:コーディングとツール
- Google:汎用(はんよう)知識と生成(特に画像)
また、ベンチマークの勝敗は決して“固定”されない。数週間単位でトップ交代は今後も続くはずだ。
一方で、OpenAIがGPT-5.2が“突き付けた”メッセージはシンプルで強い。AI競争の評価軸は「学力(IQ)」から「経済的価値(GDP)」へと転換する――この転換点こそが、同社の「コード・レッド」の正体といえる。
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