レビュー

静音性と操作性が極まったエレコムの最新トラックボール「IST PLUS」を試す ユニット換装にも対応(2/2 ページ)

支持ユニットを換装できるエレコム「IST」シリーズに、「IST PLUS」が追加された。全く新しい支持方式を採用した本製品は、既存モデルとどのように使い勝手が異なるのだろうか。テレワーク時代に有効なIST PLUSをレビューする。

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ベアリングか、ボールローラーか、それが問題だ

 「これはいつまでもクルクルしていたくなるトラックボールマウスだ!」と、鼻息も荒く初めてISTを手にしたのが2023年11月の発表会でのことだ。実際、ミネベアミツミ製のベアリングは滑りが良く、いつまでも親指でコロコロと転がしていたくなる心地よさがあった。

 というわけで、IST PLUSでも、まずはベアリング支持ユニットを取り付けたままの状態でしばらく使うことにした。


ベアリング支持モデルなので、デフォルトの支持ユニットはベアリングだ

 操球感は良好で、3枚のディスプレイの端から端まで、カーソル移動を楽に行える。勢いをつけてボールを回せば、慣性でそのまま端までカーソルが移動するため、たった1回の操球で画面の端から端まで移動させられる。

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現在のリアルなデスク周り。小さいが、3枚のディスプレイが並んでおり、通常のマウスでは端から端まで移動させるのが難儀であった

 回し始めに引っ掛かりがないため、指に無駄な力が入らないのも良い。

 滑らかだからといって、細かいマウス操作ができないわけでもない。試しに、画像内に文字を手書きしてみたが、左手でマウスを利用したときと同じクオリティーで文字を書けた。


滑らかに動くからといって、制御できないわけではない。手書き文字を書くことぐらいはできる

 次に、支持ユニットをボールローラーへと交換した。IST PLUSのボール部分を外し、支持ユニットを露出させる。その後、底面に格納されている「支持ユニット取り出し器具」を取り出し、1基ずつ外す。


まずはボールを外そう。底面の穴に指を突っ込むと簡単に外せるが、表からでも指先の力を込めてつまめば取り外せる

底面の支持ユニット取り出し器具を取り出す

支持ユニットを収めている穴の両脇に溝があるので、そこへ支持ユニット取り出し器具を押し込む。カチッという音が聞こえたら、支持ユニットをつかめている。なお、ボキッという音がしたら、支持ユニット取り出し器具が折れている状態だ。力加減に注意しよう

 空になった場所へ、ボールローラー支持ユニットを収めていく。なお、指先の太さもあり、指でつまんではめていくのはかなり難儀である。器用さに自信のない人は、先の曲がったピンセットなどを用意しておくと良さそうだ。


ボールローラー支持ユニットを注意深く収めていく。ピンセットを使うと楽だ

 ボールローラー支持ユニットに換装した後のIST PLUSの使用感も、滑らかなものであった。ベアリングほどの「シュルン」「シューッ」というスピード感、「ヌルン」とした動き始めの感覚がないものの、それでも「滑らかだ」と感じさせてくれる。

 その理由は、静音性にあった。というのも、ベアリングモデルは「シュルン」と心地よく動かせるが、「ザザザザ……ザーッ」という音が聞こえてくるのだ。IST PLUSのボタンが静音タイプということもあり、ボールを動かすこの音が、耳障りに感じてしまう。

 ボールローラーモデルでは、ほぼ無音である。操球していることに対する音のフィードバックがないからか、「スーッ」と滑らかに動いていくような感覚がある。滑らかではあるが、マウスカーソルが慣性で動き続けるわけではないので、コントロールしやすいというメリットもある。

ベアリング支持しか使っていなかったときには気にならなかったが、ボールローラー支持を経験してしまうと、騒がしく感じてしまう。使い心地を取るか、静音性を取るか、それが問題だ

 では、筆者の作業環境で、右のディスプレイの端から左のディスプレイの端までマウスカーソルを移動させるのに、何回、ボールを操作しなければならなかっただろうか。その答えは、2回である。

 もちろん、これはデフォルトの状態なので、Windowsの「Bluetoothとデバイス」内の「マウス」から「マウスポインターの速度」を変更すれば、一気に移動させられる。


マウスポインターの速度を、Windowsの設定から行う

 アプリケーションごとに、マウスポインターの移動速度を変えたいという場合もある。今回のように、デスクトップの端から端まで移動させるのであれば、速い方が良いし、画像編集ソフトを扱うような状況であれば、速さより正確性を求められるだろう。

 そのような場合に有効なのが、ELECOM MOUSE ASSISTANTでの設定だ。例えば、普段使い用としてマウスポインターの移動速度が速くなるようプロファイル1を設定しておき、精密作業用には遅くなるようプロファイル2を設定しておく。IST PLUSの5ボタンのうち、いずれかにプロファイル切り替え操作を割り当てておけば、設定画面を都度開かずとも切り替えられるだろう。

 原稿執筆時点で、ELECOM MOUSE ASSISTANTがIST PLUSに対応していないため(ver.6.3.0で対応予定)試せなかったが、実装されればアプリケーションとプロファイルをひもづけることも可能になるので、楽しみにしたい。


マウスアシスタントモード内の限定機能にはなるが、アプリケーションとプロファイルを連動させられ、対象アプリの操作時に自動でプロファイルが起動する(画像は開発中のもので、エレコム提供)

 2年半の時を経て、ユーザーからのフィードバックに応える形で登場したIST PLUSを2週間ほど使って感じたのは「もうマウスに戻れないかも」ということだ。30年もの間、かたくなに左手マウスを続けていたのに、あっさり宗旨替えをしてしまうほど、良い体験であった。

 ベアリングとボールローラーのいずれを選ぶかというところではかなり悩ましいのだが、滑らかさとコントロール性の高さ、静音性を重視するならボールローラーを、いつまでもクルクルしていたい心地よさに重きを置くのであればベアリングを選べば良いのではなかろうか。

 筆者なら、IST PLUSを1台購入し、それとは別の支持ユニットをオプションで購入するだろう。どちらも捨てがたい魅力があるからだ。

 広大なディスプレイの上で、マウス操作をスマートに行いたいのであれば、IST PLUSを検討してみても良いかもしれない。使えばきっと、腕の疲労感を軽減してくれるに違いない。

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