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まるで“狂気の沙汰”──ジョブズ時代のAppleを感じさせる「iPhone Duo」のヒンジと製造工程本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/5 ページ)

Apple初の折りたたみスマホ「iPhone Duo」。1台ごとにヒンジの個体差を測り、樹脂を印刷して折り目を消す“狂気”の量産工程に迫る。ハードとソフトが融合した唯一無二の端末は、今後のAppleの試金石となるか。

1台ごとにかける補正工程

 基調講演でAppleのジョニー・スルージ氏(最高ハードウェア責任者)が語った製造工程は、実に驚異的。誰もが思い付くが、量産で行おうと考える者はごく少数だろう。

 100点超の部品からなるヒンジには、当然ながら寸法のばらつきがある。Appleはこれを「AIアルゴリズムで個々のヒンジを最もよく合うボディーと組み合わせ、完全な位置合わせを保証する」という方法で吸収する。精密機械や光学の世界でいう選別組立で、ヒンジのばらつきを、ボディーを組み立てる際に選別することで相殺する考え方だ。


iPhone Duoのヒンジ

 組み上がった個体は、共焦点レーザー(焦点の合った位置の光だけを拾って高さを精密に測る方式)で表面のうねりをスキャンする。ヒンジに使われている部品ごと、全数である。その上で、うねりが残っている場所に「カスタムのフォトポリマー(光硬化樹脂)」を最大25のマイクロレイヤーまで3Dプリントし、残留するうねりを消す。

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 内側の画面が平らなのは、部品の精度を高めるだけでは実現不可能だ。1台ごとに測り、1台ごとに違う厚みの樹脂を違う場所に印刷した結果である。同じiPhone Duoでも、印刷された層の枚数と位置は1台ずつ違う。

 実は中国メーカーのOPPOも3D金属プリンタで精度を上げているが、Appleはその手法をさらに洗練させ、また多様な角度から精度を高めることで、量産性と精度の両立を狙っている。

 こうして作られたヒンジの土台に、ディスプレイを構成する複数のフィルム素材が積層される。底にチタニウムのプレート、その上に高強度ガラス、折りたたみ可能なOLEDパネル、再び高強度ガラス、そしてカスタムポリマーのカバー層だ。


ディスプレイを構成する複数のフィルム素材が積層される

 カバー層は「業界で使われている他の素材より最大40%高い剛性」を持ち、Apple設計の耐擦傷コーティングを載せ、全体をカーボンファイバーの支持プレートが受ける。

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