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iPhone Duoだけじゃない! 折りたたみの陰に隠れたApple新製品の「本当のすごさ」本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/4 ページ)

9月9日(米国太平洋夏時間)に行われたAppleのスペシャルイベントでは、初の折りたたみiPhoneが注目された……のだが、Apple Watch Series 12を中心に他の新製品にも注目すべきポイントがあった。それをまとめて紹介しよう。

Apple Watch Series 12の強みは「バイタルセンサー」

 Apple Watchが他のスマートウォッチと最も違うのは、健康と、時に命を守る領域に踏み込んできたことだ。Apple Watch Series 12では、その基礎を底上げする改良が加えられている。

 新しい「Health Sensing System」では、光学式と電気式の心拍センサーが共に新設計になり、より大型で省電力な緑色LEDが使われる。光学センサーは32枚の花びらを並べたような配置になっており、心拍は継続的に5秒ごとに計測される。これはSeries 11のおよそ60倍の頻度だ。心拍変動(HRV)の取得頻度も、最大24倍になっている。

 ハンズオン会場で実際に腕に巻いてみると、文字盤に「Overnight: Favorable」「Daytime: Typical」という表示が出ていて、その下で2分間の心拍履歴グラフが63BPMを刻んでいた。オンタイムのバイタルをグラフとして文字盤に表示する様子は、これまでのApple Watchになかった景色である。

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Apple Watch Series 12では、光学式/電気式両方の心拍センサーの設計が刷新された

 このバイタルセンサーの大幅な進化を背景にした新機能が「Readiness(準備度)」だ。直近の活動/トレーニング負荷/バイタル/睡眠スコアから0~10のスコアを出し、「回復」「ペース配分」「準備OK」「全力で」の4段階で助言する。

 この機能のアルゴリズムは、「Apple Heart & Movement Study」のデータを使って開発されたという。今回プロセッサと心拍センサーを“同時に”更新したのは、5秒ごとの心拍計測と、従来比で24倍の頻度で行われるHRV(心拍変動)計測を処理しなければならないことを考えると納得だ。


心拍を5秒ごとに計測し、HRVを従来比で24倍の頻度で計測するとなると、プロセッサとセンサーの刷新は避けられなかったものと思われる

Apple Watch Series 12には気になるポイントもある

 ここでApple Watch Series 12について、気になる点を2つ挙げておきたい。

 1つはバッテリーだ。終日5秒ごとの心拍測定を新たに背負いつつも、公称のバッテリー駆動時間は24時間で据え置かれた。屋外ワークアウト時の駆動時間は25%延びて最長10時間に、そして急速充電が強化され15分の充電で12時間駆動できるようになったが、日常使いを考えると率直にいって少し物足りない

 最新世代に刷新されたApple S11の省電力性能と新しいLEDを、省電力面で活用したいユーザーもいるだろう。どの程度の使い勝手かは、実際に1週間ほど着けてみないと分からない。Appleは計測頻度を高めることで、より健康と命を守ることを優先したのだろうか。

 もう1つ、気を付けるべきポイントとしてReadinessが7日分の睡眠データがたまるまで起動しない点がある。買ってきた日に腕に着けて、すぐスコアが出る機能ではないのだ。店頭で試すことも、レビューの初日に評価することもできない類のもので、まだどのように評価すべきかは結論がない。


高機能化したせいか、通常使用時の公称バッテリー駆動時間は据え置きとなっている

 心拍計測精度については、Appleにしては珍しく、9月10日(米国太平洋夏時間)に公開された「Apple Watch Heart Rate Accuracy Study」という調査レポートを通して説明している。

 この調査では、1460人の登録者のうち1254人を対象に、胸に巻くタイプのPolar製心拍センサー「Polar H10」で計測したECG(心電図)を基準として、片方の腕に「Apple Watch Series 12」を、もう片方の腕に「Garmin Forerunner 970」「Google Pixel Watch 4」「Huawei Watch 5」「Galaxy Watch8」「WHOOP 5」「Oura Ring 5」のいずれかを装着した上で、ワークアウトや日常生活における心拍数の正確性を比較している。

 その結果だが、159件の比較のうち、Apple Watch Series 12の方が信頼性が高いとされたのが139件で、点推定値での評価ではApple Watch Series 12の方が優位だったのが155件だったという。

 この試験はApple自身が企画/設計して実施したもので、査読された論文でもない。示されているのは「他社のスマートウォッチとの差分」だけで、Apple Watch自体の絶対誤差は出ていない。そして試験を行った5施設のうち、3施設はApple自身が運営したものだ。ゆえに数字をそのまま受け取ることはできない

 それでも、今までAppleが公式文書に競合製品の実名を並べて数値を示した例は、記憶にない。それだけ、Apple Watch Series 12に搭載した新センサーに自信があるのだろう。


Appleが新製品発表に合わせてリリースした「Apple Watch Heart Rate Accuracy Study」。同社のレポート類としては異例の、他社製品との数値を使った比較を行っていることが特徴だ

価格は据え置き

 日本の読者にとってうれしいのは、新しいApple Watchの価格が先代比で上がっていないことだろう。Apple Watch Series 12は7万1800円から、Apple Watch Ultra 4は14万2800円と据え置きだ。

 Appleは7月、日本でのみ広範な製品の価格改定を行い、先代の「Apple Watch Series 11」は最小構成価格が6万4800円から7万1800円へ値上げを行ったのだが、iPhoneの旧モデルとは異なりさらなる値上げは行われていない。

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