「iPhone Duo」は開けばiPad、閉じればiPhone? いいえ「別ジャンル」です──使うと見えてくる、Appleが考える「フォルダブルスマホ」の流儀:本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/6 ページ)
Apple初のフォルダブルスマートフォン「iPhone Duo」がまもなく発売される。発売に先んじて試用したところ、Appleの目指す「フォルダブルスマホ」の形が見えてきた。
「折り畳めるiPhone」を考える
筆者はiPhone Duoのことを「折り畳み型のiPhone」と書いてきたが、実際に使ってみると「“折り畳み型”という表現が少しばかり誤解を招くのではないか?」と感じるようになった。
これは他のフォルダブルスマートフォンにもいえることだが、iPhone Duoの基本的な形態は「アウターディスプレイを使った、バー型iPhone」だと感じる。言わずもがなだが、単なる「バー型iPhone」なら「iPhone 18 Pro」の方が完成度が高いし、ベターな体験を得られる。カメラの数が多い少ないといったスペックではなく、操作性の質や体験全体の演出そのものが、バー型端末として完成の域に達しているからだ。
その上で、完成の域に達しているiPhone Proを“開く”とすると、どういう使い勝手を提供できるのか――それを模索し、練り込んだものが今回のiPhone Duoなのだろうと思う。折り畳んだ時の体験の質は、iPhoneとProとおおむね同等だが、開くと“新しい世界”が広がる。
「Galaxy Z Fold8」との違いは?
先述の通り、iPhone Duoは縦横比を見るとGalaxy Z Fold8と近しい。そのため両者を比較する向きも多いのだが、両者を実際に使ってみると「開いたときの使い方」の方向性に少し違いがあることが分かる。
Galaxy Z Fold8の場合、画面を開いた際のUI(ユーザーインタフェース)がタブレット用に近くなる。サムスン電子としては「スマホとタブレットの“融合”」を目指しているのだと思われる。
それに対して、iPhone Duoは従来のiPhoneはもちろん、iPadとも異なるUIを採用している。Appleは「iPhone(スマホ)でもiPad(タブレット)でもないデバイス」を追求したようだ。
iPhone Duoは画面の左右にアプリを並べ、片方の文章や画像をもう片方へドラッグする操作に対応している。PCやタブレットを思わせるこうした操作は、確かに従来のiPhoneよりずっとやりやすい。しかし、2つ以上を同時に連携させることもない。あくまでも「iPhoneから一歩踏み出した領域」にとどまる。
しかし、あえて“とどまる”ことで機能過多に寄りすぎず、自然に新しい体験に誘う――このあたりのバランス感覚は、さすがAppleといったところかもしれない。
しかし、iPhone Duoの“本質”はその先にある。
iPhone Duoは“折り畳み型”じゃなくて“ヒンジ付き”iPhone
これは筆者自身の率直な印象だが、iPhone Duoは折り畳み型のiPhoneというよりも、“ヒンジ付き”のiPhoneだと考えた方がいいように思う。
山折り/V字型にヒンジを整えて机の上に置いたり、キックスタンドで開いたまま立てかけたり、本のように中心で少し折り目を曲げた形でホールドしてみたりすると、それぞれの形態にマッチしたスタンバイ画面が表示される――Appleはこの機能を強くアピールしているが、この多様なスタンバイ画面は「iPhone Duoがどんな端末なのか?」を知ってもらうために、同社なりに考えて実装した仕掛けだと捉えている。
ヒンジをつけて折り畳み可能とし、その間のどの位置でも形状を保持できるようにした結果、さまざまな持ち方、さまざまな表示形態が生まれ、置き方も自由にできる。その中で、AppleはUIの“要”である「ディスプレイをどのように使うか?」という点に腐心しているようにも見える。
軽く折り曲げて本を見開きで見ているような形態は、電車の中など揺れで手元が不安定な状況でも落とさないよう、確実に端末をホールドするためにとても便利だ。ここでヒンジが完全に開いてしまうと落下の不安が頭をよぎる。
このモードのときに、画面をどのように表示するのか。状態を把握した上で、最適な表示を行えるように、そのイベントをiOSでハンドリングし、対応するアプリで端末の開閉状態に合わせた表示が行えるよう仕掛けが組み込まれている。これにより、折り曲げ位置に重要な表示が“被らない”ように工夫されている。
完全に開いた時の画面の広さもさることながら、この軽く折り曲げた時の動作、あるいは90度に曲げて机の上に置いた時の画面表示やUIなど、ヒンジがついてディスプレイでの表現方法が多様になったとき、それをうまく使って新しい端末の使い方を提案する――このコンセプトこそがiPhone Duoのポイントであり、“iPhone+α”の新しい端末の形を模索した結果なのだと思う。
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