プロ向け液晶ディスプレイ「ColorEdge」シリーズに加わったエントリーモデルの実力は? ──ColorEdge CE240W使いこなし編(3/3 ページ)

» 2006年06月16日 00時00分 公開
[林利明(リアクション),PR/ITmedia]
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 ただし、画面と印刷物の色を合わせるためには、アプリケーションやプリンタの設定、印刷用紙のICCプロファイルといった要素も、正しく使用する必要がある。詳細は省くが、エプソンキヤノンのWebサイトで丁寧に解説されているので、目を通してみるとよいだろう。

 一層の高精度を求めるなら、プリンタと印刷用紙のICCプロファイルを作成するソフトウェアも必要になってくる。こちらも省略するが、機会があれば紹介してみたい。

 なお、印刷用紙に合わせたキャリブレーションを行うと、画面の色温度が低くなって赤っぽくなる。インターネット用途やビジネスアプリケーション、映像鑑賞などには、sRGBモードやCustomモードが向いている。CALモードは、“カラー作業”を行うときに使うモードと考えよう。

 ちなみにsRGBモードやCustomモードでは、ColorNavigator CEによるハードウェアキャリブレーションは機能しない。sRGBモードやCustomモードでキャリブレーションしたい場合は、キャリブレータの付属ソフトを使って、ソフトウェアキャリブレーションとモニタプロファイル作成を行うことになる。

 sRGBモードでは輝度しか変更できないため、「キャリブレーション」とは呼べないが、CE240Wの表示状態に合わせたsRGBのモニタプロファイルを作成するという意味はあるだろう。

 Customモードなら、CE240WのOSD調整項目をすべて変更できる。キャリブレータに付属するソフトの機能次第では、高精度なモニタプロファイルを作成可能だ。ただし、CE240WはColorNavigator CE以外のソフトによるキャリブレーションは想定されておらず、サポートの対象外となる点は覚えておきたい。

一般的な液晶ディスプレイとは一線を画す美しい階調

 画質は、キャリブレーション後のCALモードでチェックしてみた。階調性が高いのは、さすがColorEdgeと言えるものだ。白から黒のグラデーションがスムーズなのは当然として、数値的な「0」と「1」の違いや、「254」と「255」の違いも視認できた。RGB個別のグラデーションだと、RとGは「0〜30」近辺、Bは「0〜10」近辺は色が飽和して判別が難しいが、中間調から「255」では色の見分けがつく。

 ちなみに、真っ黒の数値が「0」、真っ白の数値が「255」とした場合、画像のシャドウが「10〜15」、ハイライトが「240〜245」程度であれば、黒つぶれと白とびを起こさずに印刷できると言われている。

 画面を凝視して色を厳密にチェックしていると、色視野角が気になる場面もある。制作物の内容にもよるので一概には言えないが、IPS系に比べて視野角による色変化が大きいVA系液晶パネルを採用したColorEdge CEシリーズの場合は、確認したい部分をなるべく真正面から見るようにすると、視点の移動が多くなりやすい。しかしその反面、本当に微妙な色差をチェックするような場合、少し視点をずらすことで見かけ上の色差が大きくなり、判断しやすくなるという効果もあるので(色そのものは多少なりとも変化する)、一長一短ではある。

“カラー”重視の環境には文句なしにオススメ!

 従来のColorEdge CGシリーズは完全にプロ向け/業務向けだったが、ColorEdge CEシリーズは個人ユースにもお勧めできる。特に、デジタル一眼レフやハイエンドコンパクトのデジタルカメラでたくさんの写真を撮り、プリントアウトの色にこだわるハイアマチュア層には、まさに最適な液晶ディスプレイの1つだ。動画の表示性能が高い点も、個人ユース向きと言えるだろう。

 別途必要なものが多いとはいえ(対応キャリブレータ、カラーマネジメント対応アプリケーション、およびプリンタのICCプロファイルを使う知識や色の知識など)、そこをクリアできれば、予算的に多少の無理をして購入しても、十分な満足が得られるはずだ。

 ColorEdgeシリーズを必要とする業務の現場では、ColorEdge CE240WやColorEdge CE210Wの高いコストパフォーマンスと、高解像度なワイド画面が魅力的に映るだろう。ColorEdge CE240Wの18万円前後、ColorEdge CE210Wの13万円前後という価格なら、数台から大量の一括導入も非現実的ではない。広い画面による作業効率アップも期待できる。

 最後に1つ補足すると、ColorEdge CGシリーズにはオプションサービスが用意されている。内容はColorEdge CGシリーズのモデルによって異なり、初回設置、階調特性点検、定期メンテナンス、保守メンテナンスといったものだ(詳細はナナオのWebサイトを参照)。業務用途で導入する場合、こうしたサポートメニューは非常に重要だろう。

 2006年6月現在、ColorEdge CEシリーズではオプションサービスは受けられないが、将来的な提供は検討中とのことだ。また、ColorEdge CEシリーズ用の遮光フードは発売が決定している。これも業務用途には必須のアイテムだ。

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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年3月31日