第1回 「ナナオイズム」はいかにして生まれたか――。その原点に迫るナナオイズム(3/3 ページ)

» 2007年04月27日 11時00分 公開
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25億円で研究開発棟を建設し、開発力に磨きをかける

 高画質・高品質で定評のあるナナオだが、物作りにこだわりを持つ同社だけに、低価格化競争や新製品投入のタイミングで若干後手に回ってしまった印象を受ける。製品ラインアップの拡充やワイド型のシェア強化を目指すとしているが、具体的にどのような方向性で進もうとしているのだろうか。取締役執行役員でマーケティング部 部長の鶴見栄二氏に話を聞いた。

ナナオ取締役執行役員兼マーケティング部部長の鶴見栄二氏

鶴見氏 今後は、ワイド型液晶ディスプレイのラインアップを強化するほか、スクエア型では「ちょっと良いディスプレイ」という付加価値を広めながら市場を拡大していきたいと思います。また、テレビとPCディスプレイが融合する市場が登場したときは、確実に押さえていきたいです。例えば、テレビ側からPCディスプレイの開発に取り組むと、PCディスプレイに求められる画質が出せないことが多い。また、PCディスプレイからアプローチすると、テレビの画質がイマイチになる。それに対してナナオは、テレビとPCディスプレイの両方を開発してきました。両分野および融合分野で差別化できる自信があります。

 ワイド型液晶ディスプレイについては若干後手に回った感があるが、焦りはないのだろうか。

鶴見氏 現在のところ、ワイド型よりも17インチや19インチのスクエア型が販売の主軸になっています。というのも、用途に合った画面サイズが存在するからです。しかし、液晶ディスプレイはワイド大型化の方向に進んでいるので、これから増強する形になります。ディスプレイが大型化すると画面全体での輝度や色の均一性といった差が明確になり、ナナオの画質の高さが際立つのではと期待しています。実際、20インチオーバーのモデルを発売したとき、画面全体での均質な階調表示能力や色度変位が少ない優れた視野角特性などを改めて評価してくれるユーザーが多いと聞きました。

 たしかに、価格は下がってきたとは言うものの、それなりの費用を出して購入した液晶ディスプレイの画面表示に輝度ムラが発生していたりすると相当がっかりする。価格で品質をごまかさないからこそ、現在の評価につながっているのだろう。

鶴見氏 その意味で、低価格化についてもナナオが考える製品作りを重視したいので、価格勝負のビジネスは考えていません。むしろ、付加価値を提供できる開発力で勝負していく方針です。

3月28日に竣工した新研究開発棟

 その言葉が示すとおり、同社は今年3月28日、本社敷地内に新しい研究開発棟を竣工した。約25億円を投じて建設された6階建ての同棟は、建築面積が約2000平方メートル、収容人数が最大600人となり、各地に分散していた開発設計部門を集約する。

鶴見氏 研究開発棟は、開発主導で製品設計から生産までを行うナナオの象徴的存在です。研究開発棟を囲むように品質保証部門と販売部門が入るビル、そして生産工場があることにより、柔軟な連携プレーを実現します。

 例えば生産ラインに問題が生じても、開発設計部門がすぐに駆けつけて原因究明が行える。また、新製品開発時にも品質保証部門と綿密な論議ができる。すぐに声をかけられる距離にいることで、製品の品質向上が図れるというわけだ。

鶴見氏 顧客へのヒアリングに販売部門と開発設計部門がともに出向く際も、すぐに連絡を取って素早く実行できます。製品のヒアリングから生産まで、すべてに渡って開発設計部門が携われるのも力になっています。

ナナオの製品は自分自身

本社1階のショールームでFORIS.TVと並ぶ鶴見氏

 同社の魅力は、ユーザーとの対話を大切にしている点にも見て取れる。その姿勢は、製品展示をメインとした直営ショップ「EIZOガレリア」に表れている。EIZOガレリアは東京、大阪、仙台、福岡の4カ所で展開しており、液晶ディスプレイのFlexScanシリーズやカラーマネジメント液晶ディスプレイColorEdgeシリーズ、液晶テレビFORIS.TVなどを体験できる。

鶴見氏 展示中心にした理由は、ユーザーにEIZOの世界を体感していただき、納得したうえで購入してもらいたいからです。ショップインショップなども検討しており、場所と目標が合致すれば実施したいと思います。しかし、今のところ展示を重視しており、その結果が販売につながればいいと考えています。

 最後に、ナナオは鶴見氏にとってどのような存在なのだろうか。

鶴見氏 ナナオの製品は自分自身です。これは、ナナオの社員すべてに言えることだと思います。ナナオには映像好きの社員が多く、それぞれ映像に対する自分なりの理念を持っています。自分が実現したいことへ向かって突き進む力があり、議論では私はいつも説得されてばかりです(笑)。これからも、市場の期待に沿うよう、エモーショナルな製品をどんどん開発していきますよ。

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提供:株式会社 ナナオ
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2008年3月31日