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» 2007年06月20日 10時00分 公開

開発者インタビュー:FORIS.TVの画質を独り占めしたい人に捧ぐ――「FlexScan HD2451W/HD2441W」開発者は語る (1/2)

AV入力対応の24.1インチワイド液晶ディスプレイ「FlexScan HD2451W/HD2441W」の登場を、どれほど多くのユーザーが待ち望んでいたことだろう。ナナオが満を持して投入したHDMI搭載モデルに込めた主張を開発担当者に聞いた。

[PR/ITmedia]
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FlexScan HD2451W

 ナナオが6月22日に発売する「FlexScan HD2451W/HD2441W」(以下、HD2451W/HD2441W)は、“デスクトップ・ハイビジョン”というコンセプトのもと、パーソナルな空間でPCとAV機器を同時に利用できるように作られた24.1インチワイド液晶ディスプレイだ。2系統のHDMI入力を搭載しており、1080i/pのフルHD映像をドットバイドットで表示できるとあって、発売前から注目を集めている。

 製品の詳細は既報の通りだが、画質と品質を実直に追い続けるナナオの開発姿勢が、FlexScanシリーズ初のAV入力対応モデルとなるHD2451W/HD2441Wにどのように生かされているのか、気になる人も多いだろう。今回は製品開発に携わった映像技術開発部の商品設計課でグループリーダーを務める新田竜久氏と、同課の金田隆仁氏にインタビューする機会を得たので、その内容をお届けしたい。

“デスクトップ・ハイビジョン”を実現するために

――ナナオを古くから知っているユーザーであれば、同社が2001年に投入したAV入力付き15インチ液晶ディスプレイ「GAWIN M-10」を覚えているかもしれない。D4入力を2系統搭載した当時としては画期的な製品で、一部で熱狂的な支持を集めた製品だ。しかし、それ以降、同社のPC向け液晶ディスプレイ製品からは一貫してAV入力が省かれてきた。なぜ今のタイミングで、そしてPC向け液晶ディスプレイのFlexScanシリーズとして、AV入力搭載のモデルを投入したのだろうか?

ナナオ 映像技術開発部 商品設計課 グループリーダー 新田竜久氏

新田 FlexScanシリーズはPC用の液晶ディスプレイとして開発を進めてきましたが、PCの用途で動画鑑賞のニーズが高まりつつあることから、2004年末に中間階調の応答速度を高速化するオーバードライブ回路とステレオスピーカーを搭載した「FlexScan M190/M170」を発売しました。

 そのころから継続して、ユーザーの方に「AV入力対応の液晶ディスプレイが欲しい」との要望をいただいています。しかし、ナナオとしては先に液晶TVシリーズの「FORIS.TV」に注力する必要がありました。映像信号をインターレスからプログレッシブに変換するI/P変換の技術を蓄積したり、ナナオなりの画作りのコンセプトをまとめ上げるのに時間がかかったこともあり、今のタイミングで発売することになったわけです。ちなみに私はGAWINの開発にも携わっていましたが、ある意味、出るのが早すぎたモデルと言えるかもしれません。

金田 開発は構想を含めて約1年前からスタートしました。開発から早いタイミングでリリースできたのは、デザインコンセプトや基本思想を「FlexScan S2411W」(以下、S2411W)から引き継いだうえで、AV入力端子とそれに見合った画質の作り込みをしたからです。デザインコンセプトがFlexScanベースなので、今回はFlexScanシリーズの製品となっています。

 ナナオとしては、PC用のFlexScanシリーズのほかに液晶TVのFORIS.TVシリーズも手がけていますが、いずれはPC用とAV用のディスプレイの境目がなくなるのではないかと考えています。その境目をなくせるかということに日々チャレンジしていますし、それをなくせたときに製品名は変わっていくのではないかと思います。

――早期のリリースを目指して、基本設計をS2411Wから引き継いだということだが、AV入力端子の実装にともなう回路部分の大型化などにより、放熱機構の開発は一筋縄ではいかなかったようだ。

新田 PC用の24.1インチワイド液晶パネルは解像度が1920×1200ドット(WUXGA)と高い半面、光を通す割合である開口率が下がるため、450カンデラ/平方メートルの輝度を確保するために、強力なバックライト光が必要になります。それゆえにボディ内部の放熱設計には苦労しました。発熱への対策だけでも3カ月から4カ月はかかっています。

ナナオ 映像技術開発部 商品設計課 金田隆仁氏

金田 S2411Wと比較した場合、液晶パネル部はAV入力端子の実装で厚みが増していますが、横幅や奥行きといった設置面積は従来通りに抑えました。ファンを搭載すれば簡単に冷却できるのですが、視聴距離が近い製品のため、大きな騒音を出すわけにはいきません。そこで、大型のヒートシンクを装着し、下方向からの吸気が内部を通過して効率よく上方向に排気されるような構造にしました。同時に、不要輻射対策を考慮したシールド設計となっています。また、HD2451WとHD2441WはスタンドにArcSwing 2を採用しており、スタンドの可動域も考慮した熱設計になっています。

――AV入力の搭載にあたっては、FORIS.TVで蓄積した画作りの技術を採り入れたという。基本的にPC用の液晶ディスプレイでは入力信号を正確に表示することが求められるのに対して、液晶TVでは独自に味付けした画作りが必要になる。HD2451WとHD2441Wでは、実際にどのような画作りをしているのだろうか?

新田 まず前提として、もともとのバックライトの色温度がTV用とPC用の液晶パネルでは違っているので、この差を埋めることが重要になります。PC用の液晶パネルは基本となる色温度が6500K(赤っぽい)ですが、TV用の液晶パネルでは9300K(青っぽい)になるので、6500Kの液晶パネルをいかにTVらしく見せるかということに苦労しました。

 具体的には、バックライトの色温度を変更することはできないので、回路側の色変換技術によって6500Kから9300Kに色調を変えて出力しています。6500Kの色温度をそのまま映すよりは輝度が若干落ちるのですが、TVらしい映像に近づきます。

 また、動き予測対応の高精度なI/P変換をはじめ、TV放送やゲームなどの映像で黒浮きしないようにダイナミックレンジを最適化する黒レベル補正、暗部の階調性と自然なコントラストを実現する機能も搭載し、多岐にわたってFORIS.TVに近いナチュラルな画作りを追求しました。

金田 ASICについては、最終出力段階のコントラストのコントロールをするASICにFORIS.TVと同じものを搭載しています。液晶パネルのバックライトが6500Kということで、液晶TVとは同じように使えないのですが、苦労してチューニングしました。人間の目では分からない厳密な色再現性の追求などには専用の機器を利用しますが、最終的には人間の目でチェックして画作りを完成させるというこだわりを持っています。

インターレス映像をプログレッシブ変換する際に輪郭のギザギザ部分を抑えるI/P変換の例(写真=左)。完全な黒や白のデータがないTV放送やゲームなどの表示で黒浮きを抑える黒レベル補正の例(写真=右)

暗部の再現性を高めることで、暗部の階調が黒つぶれせずに立体的に表現される例(写真=左)。映像の色やシャープネスを強調しすぎることなく、映像作成者の意図に近い階調や立体感で表現する自動コントラスト調整の例(写真=右)

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