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» 2007年11月22日 10時00分 公開

ナナオイズム:第4回 高画質を生み出す魔法の石――EIZOの“映像プロセッサ”に迫る(後編) (1/3)

ナナオが独自開発を進めている画像制御IC「映像プロセッサ」は、10年の時を経て第5世代まで進化し、用途に応じて静止画系と動画系に機能が分かれるに至った。こうした最新の画像制御ICが提供する高画質化技術は、実際の製品にどれほどの違いをもたらすのか。ナナオイズム第4回ではEIZOの映像プロセッサが実現する差異化技術の効力を明らかにしていく。

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2方向に分かれて進化するEIZO独自の映像プロセッサ

EIZOディスプレイの心臓部「映像プロセッサ」

 前編で紹介した通り、ナナオは1997年に独自開発による画質制御ICの映像プロセッサを引っさげ、液晶ディスプレイ市場に参入した。当時は弱点だらけだった液晶ディスプレイの表示特性を独自開発の映像プロセッサで次々と改善していき、今では厳密な色再現性を求める分野での運用も当たり前のものとしている。こと静止画の表示においては、10年間でかなり高いレベルに達したと言えるだろう。

 一方、この10年間でPCの性能は飛躍的に向上し、その用途が多様化したことで、ディスプレイに映し出されるコンテンツは多種多様なものになった。こうした中で注目されるようになったのが、動画の表示品質だ。特に最近では、著しい成長を遂げている液晶TVに見劣りしないように、ハイビジョン映像を美しく滑らかに表示できるような動画性能も求められている。もちろん、動画の表示についてもナナオはこだわっており、2004年には「FORIS.TV」シリーズで液晶TV市場への参入も果たし、技術を蓄積してきた。

 とはいえ、静止画と動画では、液晶ディスプレイに求められる性能が大きく異なる。静止画では表示の均一性や色再現性が重要だが、動画では応答性や黒の締まり、輪郭の表現など、メーカーならではの画作りがキーポイントだ。もちろん、最近はパネルと汎用ICの高性能化が進み、標準的な液晶ディスプレイであれば静止画も動画も大きな問題なく表示できるだけの性能を備えているが、ナナオが目指すレベルの品質を実現しようとすると、プラスアルファの技術が必要になってくる。

 そこでナナオは、2005年以降に投入した第5世代の映像プロセッサとして、静止画の画質を向上させる「静止画系」(開発コード名:CC-1/CC-2/CC-3)と、動画の画質を向上させる「動画系」(開発コード名:R-1/R-1mini/R-2)の2タイプを用意した。静止画系は画面全体の輝度および色を均一化させるデジタルユニフォミティ補正回路と、16ビット演算の12ビットルックアップテーブル(LUT)によるカラーマネジメント機能を、動画系はバックライト制御によるコントラスト拡張、動画表示時の自然な輪郭補正、オーバードライブ補正といった機能を備えている。

第5世代映像プロセッサが提供する主な機能と、搭載機の例。前編で紹介したように、実際の製品では、第4.5世代を画像制御のメインICとして搭載し、その機能を用途別に拡張するコンパニオンICという形で第5世代の映像プロセッサが実装されている

 ナナオは高い色再現性の求められる「ColorEdge」シリーズや「FlexScan SX」シリーズには静止画系、AV入力対応の「FlexScan HD」シリーズや「FORIS.HD」シリーズには動画系といったように、モデルの持つ特性に合わせて映像プロセッサを使い分けている。これにより、ユーザーは用途に適した性能の液晶ディスプレイを入手できるというわけだ。

 第5世代の映像プロセッサで提供される高画質化機能は他社製品で見られるものもあるが、ナナオの映像プロセッサでは独自のチューニングを施しているため、実際の製品ではそれが表示品質の違いとなって現れてくる。以下にこれらの機能をピックアップして詳しく見ていこう。

デジタルユニフォミティ補正回路で画面全域の輝度と色度を向上

デジタルユニフォミティ補正回路を搭載したColorEdgeシリーズに同梱される「ユニフォミティ出荷データシート」

 静止画系の映像プロセッサが持つ機能のうち最大の特徴として挙げられるのが、画面全域における輝度と色度の均一性を向上するデジタルユニフォミティ補正回路だ。同機能は、2006年10月に発表されたカラーマネジメント対応モデルの「ColorEdge CG221」に初めて搭載された。

 一般的な液晶パネルは、画面の部分ごとに輝度や色度の差が発生し、厳密に見ると画面中央部と周辺部で明るさや色が違ってしまうことが少なくない。特に横に長い大型のワイドパネルでは構造上、画面の左右でムラが発生しやすくなっている。これに対してデジタルユニフォミティ補正回路を搭載した製品では、あらかじめ部分ごとに輝度と色度が測定され、画面上で輝度や色度が不均一な部分を周囲に合わせて調整することで、画面全体の均一性を大幅に向上することが可能だ。

 デジタルユニフォミティ補正回路を搭載したColorEdgeシリーズでは、補正の結果が「ユニフォミティ出荷データシート」として製品に同梱され、工場出荷の段階で適切なチューニングが行われたことが分かるようになっている。

 以下に示した図は、業務用測定器を使用し、実際にデジタルユニフォミティ補正回路の有無でどれだけ表示の均一性に差が出るのかをナナオが調査した結果だ。RGBの階調を255(白)、192(白に近いグレー)、128(50%グレー)、64(黒に近いグレー)の各値に設定した場合の画面全体における表示均一性を表している。

 各図は、上段が輝度と色度のムラ、下段が色度のみのムラを、左列が補正前、右列が補正後の結果を示す。測定結果の表示均一性は僞(デルタイー:2点間の色の違いを色度と輝度の関係式で表して数値化したもの)という値で数値化され、この値が大きいほどムラが大きいことを意味する。目安として、値が1程度であればほとんどの色の違いは目視で認識できない。

階調255での測定結果(写真=左)と、階調192での測定結果(写真=右)。単純に白の面積が多ければ、ムラは少ないと考えてよい(ColorEdge CG221の場合)

階調128での測定結果(写真=左)と、階調64での測定結果(写真=右)。黒に近くなり、全体的な輝度が下がるにつれて、表示のムラは大きくなるが、デジタルユニフォミティ補正回路によって均一性が向上している(ColorEdge CG221の場合)

各階調における表示均一性(僞)の推移を折れ線グラフで示した。左のグラフが最高値でのムラ、右のグラフが平均値でのムラだ。ピンクの線が補正前、ネイビーの線が補正後の結果となる。平均値では暗部の階調を除いて、1以下の値を記録しており、表示の均一性は非常に高い(ColorEdge CG221の場合)

 測定結果から分かる通り、デジタルユニフォミティ補正回路の効果は絶大だ。ColorEdge CG221の例では、僞の平均値はほとんど階調全域で1以下と、表示の均一性は非常に高い。特に暗部の階調においても表示の均一性が高いのは、ナナオのデジタルユニフォミティ補正回路が持つアドバンテージと言える。

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