第4回 高画質を生み出す魔法の石――EIZOの“映像プロセッサ”に迫る(後編)ナナオイズム(3/3 ページ)

» 2007年11月22日 10時00分 公開
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液晶ディスプレイは実物を見て選んでほしい――映像プロセッサ開発者が語る

 今回紹介したナナオ独自映像プロセッサの開発を担っているのが、映像技術開発部のASIC開発課だ。液晶ディスプレイの技術トレンドを自らの手で生み出している映像プロセッサ開発陣は今何を思うのか。同課開発マネージャーの堅田秀雄氏と同課グループリーダーの山本正人氏に話を聞いた。

映像技術開発部 ASIC開発課 開発マネージャーの堅田秀雄氏

――昨今は他社の画像制御ICの性能も向上してきましたが、現時点でEIZOの映像プロセッサが持つアドバンテージを教えてください。

堅田 大げさかもしれませんが、すべての点において違うと思っています。静止画における色の補正はもちろんですし、コントラスト拡張機能1つを取っても、より深い黒を出しつつ、画面全体の雰囲気も崩さない補正をしています。オーバードライブ回路は最近では標準的な機能になっていますが、新型のオーバードライブ回路を見てもらえば、品質に違いがあると分かっていただけるでしょう。

山本 カタログのスペック表で見ると同じように見える機能でも、我々独自のノウハウ、画作りをしているのが大きく違いますね。非常に細かい部分まで作り込んでいるので、その違いが実際の表示に出ていると思います。

――映像プロセッサ開発において苦労する点は何でしょうか?

堅田 独自映像プロセッサ開発の仕事は、基本的に市販の画像制御ICとの競争なので、その点が難しいと感じています。10年前にナナオが液晶ディスプレイ向け映像プロセッサの開発を始めたのは、市販の画像処理ICが存在しなかったことが大きな理由の1つですが、映像プロセッサの開発が第2世代、第3世代と進む中で市販の画像処理ICに安価なものが多く登場してきました。出荷量が多く、低コストなICと比較して、それでも確実なメリットがあるものを作らなければなりません。

山本 液晶ディスプレイの市場は価格競争が激しく、パネルメーカーもその流れを後押ししているような状況です。根幹部品の映像プロセッサもコストが大事ではありますが、中身が全然違うのに価格だけで比較される場合があるのは残念ですね。

映像技術開発部 ASIC開発課 グループリーダーの山本正人氏

 実際の仕事においては、回路設計をするうえで同じ機能を実現するのにどれが最適な方法なのかを探っていくのが大変な作業になります。ちょっとした違いで、最終的な映像の見た目が変わってしまうので、そこには注意しています。

――ユーザーに向けてメッセージをお願いします。

堅田 ナナオは、液晶パネルの選定や独自映像プロセッサといった製品開発に注力しているうえ、製造工程の環境も整っていることがアドバンテージになっています。開発段階での技術レベルを量産工程でも維持できる体制があるため、高精度のデジタルユニフォミティ補正回路などの機能を製品に搭載できるわけです。ハードウェアの機能や性能だけでなく、作った製品の調整まで含めて性能の差が出てくるので、そういったトータルバランスで液晶ディスプレイを選んでいただければと思います。

山本 とにかく液晶ディスプレイを選ぶ場合は、カタログスペックでは判断せずに、実物を見ることが肝心です。実際の表示をチェックすることで、ほかとの違いをご理解いただけるはずです。


 以上、2回に渡ってナナオが独自開発を続けている映像プロセッサ、そしてそれが生み出す差異化技術の実体に迫ってみた。過去10年間において液晶ディスプレイの画像制御技術をリードしてきたナナオだが、すでに先を見据えた新型映像プロセッサの開発も進めているという。ナナオが次の一手でどのような付加価値を液晶ディスプレイにもたらすのか、その動向に期待したい。

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提供:株式会社ナナオ
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2008年3月31日