“音”がよくなると、ゲームの腕前も上がる!?――「FORIS FX2301TV」開発者は語るEIZO×SEGAの強力タッグで開発(2/3 ページ)

» 2010年07月28日 10時00分 公開
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バーチャル5.1chサラウンドでゲーム体験の質を上げつつ、疲労感は軽減

―― ゲームに特化した高品質なバーチャル5.1chサラウンドを液晶ディスプレイ内蔵の機能として実現するには、相当な苦労もあったと思います。

瀬津丸 映画やドラマは展開が決まっているので、映像に最適な音を創りやすい一面があります。しかし、ゲームはプレイヤーが自由に操作するため、操作に合わせて映像も音もリアルタイムに変わることを考慮して開発する必要があります。映画とゲームとでは、音の創り方もいろいろと違ってきますし、ゲームならではの苦労は少なくないですね。

森下 ゲーム向けのヘッドフォンサラウンドでは、臨場感を高めるとともに、音の鳴る場所がかなり明確に感じられるようにしなければなりません。プレイヤーがぐるりと1回転するようなシーンでは、サラウンドの音声をいかにスムーズにつなげられるかがポイントになります。実はこれが意外と難しいのです。

 サラウンドは自分の周囲で音が真円を描くように聞こえるのが理想ですが、耳の特性上、そのようには聞こえません。人間の耳は、同じ音圧でも周波数によって聞こえ方が違います。例えば、左右方向のサラウンド感は分かりやすいのですが、上下方向や前後方向の違いは分かりにくいのです。また、同じ特性の音を前と後ろで出力しても、同じ距離感で聞こえない場合があるといった問題が出てきます。

 そこで、重要になるのが、音源から耳までの伝達特性、つまり頭部伝達関数(HRTF)の応用です。頭部伝達関数によって音の周波数特性を制御して、ディレイをかけるなどの処理を行い、画面内の動きと音がかけ離れないような工夫をすることで、ゲームに適したバーチャル5.1chサラウンドを実現しています。音の聞こえ方は個人差も大きく、ユーザーの感覚が違うと効果が低くなってしまう場合もあるので、幅広いユーザーにとって有効なチューニングを目指しました。

 また、サラウンドは長時間聴いていても疲れにくいというメリットがあります。通常、ヘッドフォンではステレオ音声が左耳と右耳に分離して入ってくるため、頭の中で音が鳴っているような感覚になり、ストレスを生むといわれています。これに対して、サラウンドでは頭の周囲で音が鳴っているように聞こえるので、ストレスや疲れの軽減が期待できます。

 開発当初、バーチャル5.1chサラウンド機能はオン/オフを切り替えられるだけでしたが、こうしてチューニング作業を突き詰めていくうちに、ゲームのジャンルなどに合わせた複数の再生モードがあったほうがいいだろうという話になりました。そこで開発がかなり進んだところで方向転換して、3つのモードを設けることにしました。定位感がはっきりとした「ゲーム1」、定位感と残響のバランスを取った「ゲーム2」、そして残響が長くて低音が強調された「ムービー」という構成です。

通常のヘッドフォンでステレオ音声を聞くと、左右の耳から入った音が頭の中で響いているように感じられる。これを「頭内定位」と呼ぶ。頭内定位はヘッドフォン装着時のみ発生する不自然な現象なので、ストレスや疲労感が発生する場合がある。FORIS FX2301TVでは、頭部伝達関数を応用して、頭の周囲で音が鳴っているように感じられる(頭外定位)バーチャル5.1chサラウンドを実現した。音の包囲感とともに、ストレスや疲労感の軽減効果も期待できる

―― バーチャル5.1chサラウンドの再生モードは3種類から選べますが、どのように使い分けるのがよいのでしょうか。おすすめの設定などがあれば、教えてください。

付属のリモコンでOSDメニューを起動することで、バーチャル5.1chサラウンドの再生モードを3種類から選べる

森下 基本的には汎用性が高い「ゲーム2」をおすすめしますが、FPSなどで敵味方の位置関係などをより明確にしたい場合は「ゲーム1」がおすすめです。RPGやアドベンチャーゲームでワイド感を重視したり、映画を鑑賞したりする場合では「ムービー」モードといったように、ゲームや好みで自由にモードを決めてほしいと思います。

瀬津丸 例えば「龍が如く 4 伝説を継ぐもの」の後半では、“主人公が中華料理店の厨房(ちゅうぼう)を歩いている間、調理人が両脇から後ろに移動していく”というムービーシーンがあります。このように効果音が横から後ろへと自然に回り込むようなところは、まさにサラウンドが生きるシーンです。全体的には、バトルシーンは「ゲーム1」、ムービーシーンは「ゲーム2」のモードがおすすめです。

 また、プレイステーション 3やXbox 360の世代では、ゲーム機がドルビーデジタルなどのサラウンドに標準対応しているため、セガではゲームタイトルも基本的にサラウンド対応として開発しています。サラウンドに対応したセガのゲームタイトルならば、何でもぜひ試してみてください。

森下 ちなみに、FORIS FX2301TVに接続するヘッドフォンは、カナル型などのイヤフォンタイプよりも、密閉型のヘッドフォンがベターです。基本的にフラットな特性のヘッドフォンをおすすめします。

 さらに高音質なサウンドを楽しんでいただくため、ゲーム機とFORIS FX2301TVはHDMIで接続して、ゲーム機の音声はビットストリーム入力で使ってほしいですね。WiiなどはHDMI接続ができませんが、FORIS FX2301TVはドルビープロロジックII(ステレオ音声から擬似的に5.1chサラウンドを作り出す機能)にも対応しているので、サラウンド感は十分に楽しめます。

 実際にドルビープロロジックIIでステレオ音声のゲームをバーチャル5.1chサラウンドでプレイしてみましたが、こんな場所からこんなサウンドが鳴るのか、と思わぬ効果に自分自身で驚いたこともありました。

ステレオミニのヘッドフォン出力端子を画面の左下に搭載。端子が斜め下を向くように配置されているので、ヘッドフォンを手軽に装着でき、ケーブルの取り回しもしやすい
背面には豊富な端子が並ぶ。音声入力はHDMI(映像と共用)、ステレオミニ、RCAステレオ(コンポジット、D5端子専用)を2系統ずつ装備し、音声出力としてライン出力も備える

内蔵スピーカーの音質にも並々ならぬこだわり

―― FORIS FX2301TVはヘッドフォン向けのバーチャル5.1chサラウンド機能だけでなく、内蔵スピーカーもきちんと創り込まれていますね。ここには並々ならぬこだわりを感じます。

森下 高音質を望むユーザーは外付けスピーカーを使っている場合も多いのですが、ディスプレイ内蔵のサウンド機能なら、ディスプレイの映像や画質に合った音をチューニングできます。導入した時点で映像と音響のバランスがとれているという点は、メリットといえるでしょう。

 FORIS FX2301TVの内蔵ステレオスピーカーは、これまでの「FORIS.TV」や「FORIS FX」シリーズと同様に、本体の正面から前を向くように配置したいと思っていました。きちんと相手を向いて音を出したい、音声の周波数特性を自然にしたいからです。

 スピーカーユニットの口径は5センチで、液晶ディスプレイとしてはかなり大きめのフルレンジスピーカーです。ここもこだわった部分で、ギャザードエッジを採用して、バスレフ型の箱に設計していますから、サイズの割に高音質です。出力は2ワットと小さめですが、口径が大きいのでデジタルアンプと合わせて音声出力の効率がよく、省電力化にもつながっています。現状、カタログに記載されたスピーカーの出力ワット数が音質の判断基準になっているのは残念ですね。実際に聞こえる音質は、まったく違うことをもっと知ってほしいです。

 また、FORIS FX2301TVの内蔵スピーカーは、カラフルなカバー部分(サウンドジャケット)をユーザーが交換できます。その際にはスピーカーが丸裸になるわけですが、ちょっとしたミスでスピーカーが破損してしまうと困るので、スピーカーユニットを逆ドーム型の構造にするなど、耐久性にも配慮しています。

カラフルなサウンドジャケットを外すと、森下氏がこだわった口径5センチのフルレンジスピーカーが正面を向いて現れる。スピーカーユニットが露出する構造を採用しているということは、それだけデキに自信があるということだ

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