“音”がよくなると、ゲームの腕前も上がる!?――「FORIS FX2301TV」開発者は語るEIZO×SEGAの強力タッグで開発(1/3 ページ)

EIZOの最新ゲーミングディスプレイ「FORIS FX2301TV」は、ヘッドフォンを利用した“バーチャル5.1chサラウンド”再生機能など、音響面に注力しているのが大きな特徴だ。ナナオとセガのコラボレーションによって実現した、ゲームならではのサウンド機能を探る。 ※記事の最後にはプレゼント企画も!!

» 2010年07月28日 10時00分 公開
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“音がスゴい”ゲーミングディスプレイは、いかにして生まれたか?

EIZOのゲーミングディスプレイ「FORIS FX2301TV」。画面に映っているのは、同製品のサウンド開発に深くかかわったセガの「龍が如く 4 伝説を継ぐもの」だ

 2010年夏、EIZOからハイエンドなゲーミングディスプレイ「FORIS FX2301TV」が登場した。ゲームを快適に楽しむために、数々の機能と技術を惜しみなく盛り込んだ、EIZOブランドならではのこだわりが詰まった23型フルHD液晶ディスプレイだ。

 FORIS FX2301TVが明らかにほかのゲーミングディスプレイと異なる点としては、音響の創(つく)り込みが挙げられる。特に、「ゲーム用にチューニングしたヘッドフォン向けのバーチャル5.1chサラウンド技術」を搭載しているのがポイントで、これほどゲームサウンドにこだわった液晶ディスプレイは、他に類を見ない。

 バーチャル5.1chサラウンド機能をチューニングするにあたり、大手ゲームメーカーのセガが開発協力した点にも注目だ。セガといえば、ゲーム史に残る名作とともに、良質なゲームミュージックで数多くのゲーマーの心をつかんできた老舗。そのセガのサウンドクリエイターが、ナナオのサウンドエンジニアと手を組み、FORIS FX2301TVのバーチャル5.1chサラウンドで奏でるゲームサウンドを丹念に創り込んだというのだから、ゲームファンは聞き逃せないだろう。

 そこで今回は、FORIS FX2301TVのサウンド開発を担当した、ナナオ 映像商品開発部 商品開発2課 主任エンジニアの森下剛氏と、セガ 第一CS研究開発部 サウンドセクション2 サウンドクリエイターの瀬津丸勝氏に、開発の経緯やコンセプト、苦労話などを伺った。

 なお、FORIS FX2301TVは、音響だけでなく映像においてもゲームに特化した性能・機能を備えている。その全体像は、レビュー記事(極上のゲーム体験を味わいたい人へ:2010年夏、ゲーミングディスプレイはここまで進化した!――EIZO「FORIS FX2301TV」の衝撃)を参照していただきたい。

 さらに、ナナオの直営ショップ「EIZO Galleria Ginza」(EIZOガレリア銀座)では、FORIS FX2301TVの実機を展示している。さまざまなコンテンツで映像と音響を確認できるうえ、普段プレイしているゲーム/映像ソフトを持ち込んでのチェックも可能だ。FORIS FX2301TVに興味を引かれたなら、ぜひ同店に足を運んでみてほしい(EIZOガレリア銀座までのアクセスはこちら)。

ナナオとセガが良質な音を求めて共同開発

―― ディスプレイメーカーのナナオに、ゲームメーカーのセガと聞くと、あまり接点がないようにも思えます。今回FORIS FX2301TVのサウンド機能を設計するうえで、どのようにして両社の協力体制を実現したのでしょうか。

ナナオ 映像商品開発部 商品開発2課 主任エンジニアの森下剛氏。FORIS FX2301TVのサウンド回路、スピーカー、ヘッドフォン、バーチャル5.1chサラウンド機能のチューニングを含め、音響全般の開発を担当した

森下 ナナオは「FORIS」シリーズにおいて、一貫して音にこだわってきた経緯があります。今回も当然、「音は外せない」と最初から考えていました。ディスプレイは映像を表示する道具ですが、映画やゲームといった目的で使う場合、映像だけだと十分に楽しめません。コンテンツの魅力を最大限引き出すには、映像の品質に見合った音響も求められます。

 これまでのFORISシリーズで映画向けの音創(づく)りは行ってきましたが、ゲームに特化した音創りは未知の領域でした。FORIS FX2301TVでは、音を重視したゲーミングディスプレイとして開発を進めることになり、最初にゲームサウンドについて下調べをしていたのですが、予想外の情報に出くわすことも多かったです。例えば、FPS(主人公視点のシューティングゲーム)のようなゲームでは音声の再現性が勝敗に影響を及ぼし、サラウンド環境の構築をスコアアップのツールととらえているユーザーも存在することを知りました。

 このように、従来の音創りとは違ったノウハウが求められるため、これはゲームサウンドの制作現場から直接意見を伺って、音を創り込んだほうがいいだろうと判断し、セガさんにご協力をお願いしました。

瀬津丸 セガでは、ゲームのグラフィックスデザイン用に高品質なディスプレイが必要なので、実はナナオさんの液晶ディスプレイを大量に導入しています。そのナナオさんが今度はゲームサウンドに力を入れた新製品を開発されると聞いて、ゲームメーカー側の視点で協力することになりました。わたしはサラウンド対応のゲームタイトルを何本も手がけていまして、そこで声がかかったわけです。

―― 開発の初期段階で、ゲームにおけるサラウンドの重要性を認識されたとのことですが、さすがにマルチチャンネルスピーカーをディスプレイに内蔵するのは無理があります。普通ならそこであきらめると思うのですが、ヘッドフォン向けのバーチャル5.1chサラウンド機能を標準搭載してくるとは驚きました。

森下 理想的なサラウンド環境を構築したいなら、物理的に5.1ch以上のマルチチャンネルスピーカーを設置するのがベストです。しかし、日本では住宅事情などによって、部屋にいくつものスピーカーを置くのが難しいことも多いでしょう。

 ただ、FORIS FX2301TVはパーソナルユースのテレビ兼ディスプレイなので、1人でコンテンツを楽しむ機会が多いと想定されます。それなら、個人で楽しめるヘッドフォン向けの機能として、ドルビーデジタル対応のバーチャル5.1chサラウンドを搭載すれば、多くのユーザーにとって有意義なのではないかと思い、実際に製品化しました。

 わたし自身、自宅にはマルチチャンネルスピーカーを常設していますが、夜間など音量を上げられないような場合には、アンプ内蔵のバーチャルサラウンドヘッドフォン機能を使っています。そして、日ごろから、サラウンド機能がテレビやディスプレイ側に内蔵されていれば、わざわざ外付けのアンプをつないで音声出力しないで済むのに、と思っていました。そこで、FORIS FX2301TVにヘッドフォン向けのバーチャル5.1chサラウンドを内蔵することを提案した、という個人的な理由も背景にあります。

セガ 第一CS研究開発部 サウンドセクション2 サウンドクリエイターの瀬津丸勝氏。発売中の「龍が如く 4 伝説を継ぐもの」や2010年9月発売予定の「クロヒョウ 龍が如く新章」におけるムービーパートなど、同社のさまざまなゲームタイトルでサウンドの開発に携わっている

瀬津丸 わたしも森下さんと同じように、1人でゲームをプレイする際にはヘッドフォンをよく利用しています。だから、個人で使うワイド液晶ディスプレイにヘッドフォン向けのバーチャル5.1chサラウンドを標準装備するのは、アリだと思いましたね。

―― ヘッドフォン向けバーチャル5.1chサラウンド機能の共同開発は、どのように進めていったのでしょうか。

森下 まずはゲーム制作の音創りのコンセプトを瀬津丸さんに聞いてから、わたしがサラウンドのサンプルを用意し、実際に会って試聴しながら内容を詰めていきました。チューニング作業では、サラウンドのサンプルをいくつか用意して、セガさんに実機を持ち込んで聞き比べてもらいました。開発の初期段階では、開発ボードをそのまま持ち込んだこともありました。

瀬津丸 開発に使用したゲームは、わたしがムービーシーンのサウンドを直接担当した「龍が如く 4 伝説を継ぐもの」が中心です。そのほか、セガのサラウンド対応ゲームや、サラウンド効果が分かりやすいFPSタイトルなども試しながら、チューニングのお手伝いをしました。森下さん作のサウンドを聞いて、アドバイスをさせてもらったのですが、要するに文句をいっていただけですね。すみません(笑)。

森下 いえいえ(笑)。いただいたご意見は非常に役立ちました。サウンドの創り込みは個人的な好みの部分も大きく、複数人から意見を集めると音創りの方向性が定まらなくなってしまうため、今回は瀬津丸さん1人に協力をお願いしてよかったと思っています。

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提供:株式会社ナナオ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年3月31日