PC USERでおなじみのカメラマン、矢野氏による「DAIV」レポート。クリエイター向けをうたうこのマシンはプロの目にどう映るのか。
「クリエイター向け」とはっきりと打ち出したマウスコンピューターの「DAIV」シリーズ。その試用レポートのお話をいただいて、軽い打ち合わせをした。使うのはほぼ100%、Adobe Photoshop CCによる写真の現像と様々な画像処理。動画には使いません、ということをお伝えしておすすめのパーツでDAIVを組んでもらった。
実機が届くまでの1週間、僕はかなり首が伸びた状態で過ごした。渡された仕様書を眺めながら1人ほくそ笑む。動画の処理がないから、最高スペックのDAIVではないのだが、それでもうれしい。6コアって何だよ。デバイスマネージャーで見るとCPUが12個、ダーーーって並ぶんだろうな、なんてことを考えながら過ごす時間が幸せだった。
これははるか昔、Windows 95搭載マシンの到着を待っていたときと似た感情だ。PCが特別だった時代のあの感じ。もしかしたら、DAIVは生まれながらにして特別だったのかもしれない。
マウスコンピューターのPCは創業当時から知っている。新製品が出る度に記事用の写真をスタジオで撮影していたからだ。各メーカーの製品を横並びで撮影していると、いろいろなことが分かってくる。このPCを作った会社はPCのことを知らない、そう思ったメーカーは次々とPC事業から撤退していった。
マウスコンピューターに関しては、一度も裏切られたことがない。PCが安くなり、利ざやを取ることに必死になって、台湾メーカーあたりの既製品を値段の安さだけで買い付けてくるのが普通だった中、マウスはきちんと部品メーカーに物申していた。
自分たちはこういうPCを作りたいんだということを苦しい状況の中で実現させていたのだ。だから我が家では2台のマウス製デスクトップPCが稼働している(妻と娘用)。
DAIVの面白さはスイッチを入れるところから始まる。一般の、押すだけのスイッチではないのだ。高級オーディオのつまみ、とでも言おうか、ローレット(滑り止め)加工と、円心状のヘアラインが施された銀のメインスイッチが黒いケースに映えている。
ダイヤルを右へ回し、一呼吸おいて、カチリとDAIVの火が入る。高輝度の白色LEDの光がそれを追い掛け、DAIVは動き始める。
マウスコンピューターが「クリエイター向け」と定義したのは、こんなところにもあったのかと思う。クリエイターをその気にさせるギミックだからだ。
Photoshopをインストールして、試しに100枚のRAWデータを現像してみた。僕のカメラのRAWデータは80MBほどで、現像すると120MBぐらいになる。写真のデータは年々重くなり、その先は見えない。それを何事もなかったように処理してくれるのが「クリエイター向け」のPCなのだろう。DAIVはあっさりと僕の指令を終えた。
多分、もっと速いCPU、メモリ、GPUを使えばあと数秒速く処理が終わったかもしれない。でも、それは「信頼」にはつながらない。僕はDAIVだから問題なく処理してくれた、というふうに考える。
例えば、一眼レフカメラのフラグシップモデルは、必ずしもそのメーカーの最高画素数の撮像素子を与えられていない。処理能力とのバランスが一番の価値になる。「失敗しないこと」それがプロフェッショナルに要求される最上位の条件なのだ。
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提供:株式会社マウスコンピューター
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2018年3月6日