クラウドストレージは普及が進む一方で、それに障害が発生した際の影響は計り知れない面がある。万が一に備えて、クラウドとの親和性の高いOSを備えたNASを用意すると、クラウドだけではなくローカルにもファイルを置けて便利だ。この記事ではQNAPのNASで利用できる最新OS「QTS 4.4.1」を紹介する。
安価で高性能なファイルサーバとして、QNAPをはじめとするメーカーによるLinuxベースのNASキットが一大勢力となって久しい。
搭載プロセッサのパフォーマンス向上、ディスクやネットワークインタフェースの刷新、ベイ数の増大などハードウェアが強化された新モデルが次々と投入され続けている昨今だが、それと並行してNASのOSやアプリも脈々とバージョンアップされ続けている。
その背景の1つに、デジタルデータを取り巻くストレージ環境の変化がある。クラウドコンピューティング全盛の現在、NASのOSはどう進化してきたのか。今回はQNAP NASキットOSの最新版「QTS 4.4.1」を紹介する。
QNAPのNASキット用のOSである「QTS」の新バージョン4.4.1が正式版として先日リリースされた。
QTS 4.4.1はLinux Kernel 4.14 LTSをベースとしたNAS専用の独自OS。LTSは長期サポート(Long Term Support)版を意味し、2023年までのサポートが約束されている。将来に渡って長期間安定して利用可能なバージョンというわけだ。
そのような安定した基盤の下、QTS 4.4.1では運用面でも安定して利用できる機能が追加されている。
その目玉の1つが、バックアップやリストアと同期を統合したソリューション「Hybrid Backup Sync 3(HBS3)」だ。
昨今、企業が抱えるデジタルデータの量と重要性はますます加速している。障害によるデータ損失が企業に与える影響は甚大であり、漠然としたバックアップではなく、障害や災害時のシナリオを想定した上で、適切なバックアップ計画を立てることが重要になってきている。
そこで提唱されているのが「3-2-1ルール(3-2-1バックアップ)」だ。これは「3つのバックアップコピー」「2種類のデバイスを使った(メディア)バックアップ」「1つのバックアップは別拠点(遠隔地)で保持する」というバックアップのルールで、データ消失のリスクを最小限に抑える上で理想的とされている。
HBS3なら、バックアップ先に「ローカルNAS(自分自身)」「リモートNAS」「クラウドサーバ」を指定できるので、3-2-1ルールを簡単に実現できる。
ローカルNASはバックアップ元とバックアップ先の物理的な場所やシステムが同じため、災害やハードウェア障害などに対する対策にはなり得ない。外付けディスクへの簡易的なバックアップの他、NAS上の各ユーザのプライベート領域をまとめてバックアップするといった用途になるだろう。これが「1つ目のバックアップ」だ。
リモートNASは、バックアップを別のQNAP NASに保存するように設定する。これが「2つ目のバックアップ」となる。
保存先にはバックアップ元と物理的に異なる場所、例えばネットワーク上でつながっている遠隔地に設置されたQNAP NASを選択することもできるため、災害対策としても有用だ。その場合は「1つの遠隔地バックアップ」も兼ねることになる。インターネットを経由してバックアップする場合には、盗聴を防ぐためにSSL接続を有効にしておこう。
なお、リモートNASではQNAP NASの「RTRR(リアルタイムリモートレプリケーション)サーバ機能」を利用するため、バックアップ先のQNAP NAS側において機能を有効にしておく必要がある。
バックアップ先として選択できるクラウドサーバは、原稿執筆時点で26種類ある。日本ではなじみのないサービスもあるが、「Amazon Glacier」「Amazon S3」「Azure Storage」などのサーバ向けストレージと共に、「Amazon Drive」「Google Drive」「OneDrive」といったクライアント向けストレージもサポートしている。これらは「3つ目のバックアップ」「2種類目のデバイス」、そして「遠隔地バックアップ」という位置付けになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:QNAP株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2019年9月30日