QTS4.4.1の新機能はHBS3だけではない。ここからはクラウドストレージを活用する上で役立つVJBOD CloudとHybridMountを紹介しよう。
複数ディスクを束ねて利用する形態の1つに「JBOD(Just a Bunch Of Disks)」がある。QNAP NASのVJBODは、これをネットワークを経由した別のQNAP NASに拡大したもので、リモートNAS上のストレージを仮想ディスクとしてマウントできる。
これをさらに進めて、クラウドストレージをディスクとして仮想的にマウントできるようにしたテクノロジーが「VJBOD Cloud」だ。単純にクラウドストレージを透過的に利用できるようにしただけでは転送速度が遅く、かなり使い勝手が悪くなってしまうが、VJBOD Cloudでは専用のキャッシュ機構によって、クラウドにデータがあることを意識させない低レイテンシを実現していることが特徴だ。
VJBOD Cloudで利用できるクラウドストレージは原稿執筆時点で9つ。日本で一般的な「AmazonS3」「Azure」「GoogleCloudStorage」には全て対応している。
VJBOD Cloudがクラウドストレージをブロックデバイスとしてマウントするのに対し、クラウドストレージのまま、ファイルベースで高速化するのが「HybridMount」だ。クラウドストレージ上には通常のファイルとして保存されるので、すでに利用中のクラウドストレージの高速化などにも利用できるだろう。
QTS 4.4.1にはファイバーチャネルSAN対応やマルチメディアコンソール、QtierからのSSD RAID階層削除機能など、今回紹介しなかった新機能も多数ある。今回、HBS3、VJBOD Cloud、HybridMountの3つを紹介したのは、今後のクラウドストレージとNASの共存・補完関係における重要な機能だからだ。
クラウドストレージはベンダーによる運用・保守管理によって高い可用性、データ保護性を確保している。だが、全てのネットワークストレージがクラウドストレージに移行するのはまだまだ先になるだろう。その理由としては、インターネット経由でのレイテンシの高さの他、回線・ベンダー依存の高さなどが挙げられる。
一時的であれ、インターネットあるいはクラウドストレージサービスが使えなくなったら業務が全てストップする、というのでは企業基盤として不安が残る。先日のパブリッククラウドの大規模障害は記憶に新しい。
一方、ローカルNASだけでは局所的な障害・災害に対して脆弱となる。地震や停電、津波や台風による浸水など、これらを意識しない日本の経営者・技術者はいないだろう。だからこそ、「3-2-1ルール」を実現するHBS3、クラウドストレージとNASの相互補完となるVJBOD Cloud、HybridMountが搭載されたQTS 4.4.1は待ち望まれた未来志向のNAS OSだといえるだろう。
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提供:QNAP株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2019年9月30日