鍵はOSにあり! これからのNASはクラウドとの親和性で選べ(2/3 ページ)

» 2019年09月24日 11時30分 公開
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 バックアップ元とバックアップ先を指定したら、次にスケジュールを設定する。スケジュールは「定期的な実行」「1回のみ」「なし」から選択できる。

バックアップは最短1回 スケジューラーでは最短1分間隔のバックアップも可能

 この画面の左側にはスケジュールの他にもう1つ、「バージョン管理」という項目がある。これはバックアップの世代(バージョン)を調整する設定で、デフォルトではオフになっている。つまり最新の1世代しか保持されない。ここをオンにすると、複数世代の保持が可能になる。

 バージョン管理をオンにした場合、保持するバージョンは「簡易バージョン管理」と「スマートバージョニング」のいずれかで指定する。前者では、保持するバージョンを世代数もしくは日数で指定する。例えば、保持バージョンを「7」と指定すれば最大7世代まで保持し、8世代前のものは自動的に削除される。また、保持日数を「7日」にすれば、8日前以前のバックアップが自動的に削除される。

バージョン管理 バージョン管理はデフォルトではOFFになっている

 スマートバージョニングは、等間隔で取得したバックアップを単純に新しい順で残すのではなく、「時間」「日」「週」「月」という単位で間引いて保持する。

 不慮の事故や災害などでディスクが丸ごと読み込めなくなった場合は単純に最新のバックアップから復元すればよい。この場合は簡易バージョン管理でも十分カバーできる。

 しかし、操作ミスでファイルを消してしまった、上書きしてしまった、あるいはランサムウェアによって暗号化されてしまった、といったようにファイルが正常だった時点にさかのぼって復元を行う必要がある場合は、単純に簡易バージョン管理だと書き戻せない可能性がある。ファイルの異常に気づいたときには「すでに保持期間(世代)を経過してしまった」ということが起こりうるからだ。

 かといって、日次、あるいは数百世代にも渡るバックアップデータをずっと保持することも現実的ではない。

 そのような場合には、「直近のバックアップは高頻度、古いものは低頻度で保持」といった設定ができるスマートバージョニングが有効だ。例えば、1日ごとのバックアップを1週間分(7世代)、1週間ごとのバックアップを1ヶ月分(5世代)、1カ月ごとのバックアップを1年分(12世代)、というようにしておけば24世代分で1年前にまでさかのぼることが可能になる。

スマートバージョニング スマートバージョニングは古いバックアップを間引いて保持する

 バージョン管理について1つ気を付けるべきことがある。バージョン管理のオン、オフは、バックアップジョブの作成後に変更できないということだ。どうしても変更したい場合には、いったん現行のジョブを削除し、改めて新規ジョブを作成する必要がある。

 このような手順を踏む必要があるのは、バージョン管理時にデータ重複の排除を行う「QuDedupテクノロジー」を利用するためだ。

 データ重複排除は、現在のエンタープライズ向けバックアップツールでは必須のテクノロジーだ。以前から「差分バックアップ」という手法はあったが、これはファイル単位で前回からの差分のみをバックアップするというものだった。そのため、同じファイルが複数あっても、それぞれに対してバックアップが保存される。言ってみれば時間軸方向のみの重複排除ということになる。

 一方、QuDedupなどのデータ重複排除は、ブロック単位でデータの重複を排除する。異なるファイルであっても、同じ部分があれば排除される。例えば「第1版のファイルをコピー、それを修正して第2版を作成する」というような場合でも第1版、第2版に共通な部分は1つだけが保存される。これによってディスク利用の効率化とバックアップ、復元時間の短縮が実現できる。

 このこともあり、QuDedupを有効にした場合は、データが独自のファイル形式で保存される。ファイルを復元するには、HBS3からだけではなく、Windows、Mac(macOS)、Linuxで動作するアプリケーション「QuDedup Extract Tool」を使用することもできる。

輻輳(ふくそう)制御にも対応

 HBS3は、TCPの高速化技術である「TCP BBR輻輳(ふくそう)制御」に対応している。特にクラウドサーバや遠隔地バックアップなど、インターネットを経由した通信の高速化が期待できる。

 通信状況によって効果の大小はあるものの、検証した限りでは17%程度の伝送速度の向上が確認できた。

TCP BBR輻輳制御 TCP BBR輻輳制御
TCP BBRをオフにしたとき TCP BBRをオフにしたとき。伝送速度は毎秒7.82MB
TCP BBRをオンにしたとき TCP BBRをオンにしたとき。伝送速度は毎秒9.12MBで、オフの時と比べて約17%向上している

データの同期も可能

 HBS3にはバックアップだけでなく、データの同期機能も統合されている。同期は以下の3種類をサポートしている。

  • 双方向同期……同期元・同期先の区別なく最新の更新を他方に反映する。対象はリモートNAS、クラウドサーバ
  • 一方向同期……ローカルNASの更新を同期先に反映する。対象はローカルNAS、リモートNAS、クラウドサーバの他、Rsync、FTP、CIFS/SMBサーバにも対応するので既存のネットワークストレージも利用できる
  • アクティブ同期……一方向同期とは逆方向、つまり、リモートNAS、クラウドサーバ、FTP、CIFS/SMBサーバの更新をローカルNASに反映する

 バックアップがいざというときに復元させるためのもの、ある意味で「コールドなデータ」であるのに対し、同期では「ホットなデータ」を扱う。

 別拠点とのデータの共有や、クラウドサーバ上のデータを高速に扱うためのキャッシュ、あるいはその逆に社内ファイルサーバ上のデータをクラウドサーバに載せて外部から利用できるようにするなど、HBS3を活用すれば働き方スタイルの多様化も図れるだろう。

同期ジョブのスケジュールにはバックアップジョブにはない「リアルタイム同期」が追加されている

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