3つ目の特徴である「仮想化対応」は、いくつかの意味を含んでいる。1つは「VMware」「Hyper-V」「Citrix XenServer」といった代表的な仮想基盤テクノロジーに対応しているという意味だ。
もちろん、「iSCSI」「NFS」といった仮想マシン(VM)のストレージで利用されるネットワークストレージプロトコルはサポートしている。それだけはでなく、QGD-1600P上のデータストアを直接扱うための「VMware vSphere」用プラグインが用意されている他、Hyper-Vの「System Center Virtual Machine Manager(SCVMM)2012」への対応、ホストコンピューターのCPUに負荷をかけずにデータを伝送できる「vStorage API for Array Integration(VAAI)」「Microsoft Offloaded Data Transfer(ODX)」のサポートも行われている。
これらの機能を使ってQGD-1600Pをストレージとして利用すれば、仮想化によるオーバヘッドを減らし、仮想基盤のパフォーマンスをより高められる。
もう1つは、QGD-1600P自身を仮想基盤として、その内部に仮想ネットワークアダプターを持つ仮想マシンや仮想スイッチを構成できるという意味だ。
仮想スイッチは物理ネットワークアダプタに接続できるため、仮想マシンとして構築した仮想ルータで処理を行わせれば、L2スイッチであるはずのQGD-1600PがL3スイッチにもなりうる。つまり、L2スイッチの中で、L3どころかL7まで解釈できるルーターやサーバを動作させることまでできるというわけだ。
例えば仮想ルーターに仮想アダプタを3つ作成し、1つはWAN側の物理アダプターに接続、1つはLAN側の物理アダプタ9、1つは他のVMで構成される仮想セグメントに接続する。WANの通信が必ず仮想ルータを通るようにすれば、QGD-1600Pにファイアウォール機能を追加することができる。仮想マシン同士の通信に関しては物理アダプタ側に通信が流れることがないため、物理ネットワークに影響を与えることなく、高速通信を実現できる。
この機能を活用することで、ファイアウォールや高機能ルーターにも変身する。QGD-1600P上ではオープンソースの「pfSense」と「OpenWrt」、MikroTikの「RouterOS」の動作実績がある。
オールインワン型の製品は拡張性に乏しい――そんなイメージを持っている人も多いのではないだろうか。しかし、先行する多数のQNAP製品との高い互換性に支えられる形で、QGD-1600Pは発売当初から豊富なオプション機器が用意されている。今回は、その中から機能追加やスケールアップに効果的な2つの機器を紹介しよう。
1つ目は、PCI Expressスロットに追加できるワイヤレスネットワークアダプター「QWA-AC2600」。QGD-1600PにWi-Fi(無線LAN)アクセスポイントの機能を追加できる便利なアイテムだ。RP-SMAコネクタを採用しているので、カード付属のアンテナとQWA-AC2600の間に延長ケーブルを挟んだり、互換性のあるアンテナに交換したりすることも可能だ。
2つ目はエンクロージャー「TR-004U」だ。QGD-1600Pと同サイズ(1U)のラックマウント型で、3.5インチベイを4つ搭載。USB Type-CでQGD-1600Pと接続することで、最大4台のHDD/SSDを増設できる。
QGD-1600Pの内蔵ベイは2.5インチ×2なので、NASとしてがっつりと活用したいのであれば、TR-004Uの増設は有力な選択肢となる。
TR-004Uは内部にRAIDコントローラを持っているので、QGD-1600Pの負荷を抑えながら大容量ストレージを扱えることも魅力だ。
オールインワン型の製品は導入は楽であるものの、1つにまとまっているがゆえに「小回りが効きにくい」「拡張性に乏しい」といったデメリットがあるものが多い。
その点、QGD-1600PはスイッチとNAS機能個別に再起動する使い勝手の良さ、オプション機器による拡張性の高さなど、シリーズ初モデルでありながらもこなれた印象が強い。
製品の数が少なければそれだけ管理者の学習コストも下がり、故障などに対する対策も少なくて済む。さらに、柔軟な構成の変更を可能にする仮想技術は変化への追従力として申し分ないスピード感を生む。
1台で中小企業の全てをまかなえるQGD-1600Pは、これからのDXに向けたオフィス内デジタル環境の構築に最適な、コストパフォーマンスに優れた製品だといえるだろう。
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提供:QNAP株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2019年11月20日