クリエイティブ制作では、扱う素材や制作物のデータが大容量になることが多いだけに、PCには高速通信機能と高速インタフェースの装備が不可欠だ。本製品はその点でも圧倒的で、1000BASE-Tの2.5倍の速度(2.5Gbps)で通信できる2.5GBASE-T対応の有線LANを装備する他、最大2.4Gbpsで通信可能なWi-Fi 6、さらにBluetooth 5.0に対応する。最近はスイッチングハブやNASにも対応製品が増えてきているだけに、2.5GBASE-Tの標準サポートは大きい。
CFexpressリーダーなど周辺機器が充実しているThunderbolt 3(最大40Gbps)端子に加え、デュアルレーンで最大20Gbpsの高速通信が行えるUSB 3.2 Gen2×2(Type-C)端子、さらに10Gbps転送に対応したUSB 3.2 Gen2端子も4基(うち1基がType-C、DisplayPort Alternate Mode対応)を搭載する。高画素のデジタルカメラの撮影データを大量に扱う際も、変換アダプターなしで接続可能だ。UHS-III(最大転送速度624MB/s)対応のSDメモリーカードスロットを、いち早く搭載していることも見逃せない。
筆者の知る限り、まだUHS-III対応カードは存在していないが、一般のPCではフルサイズのSDメモリーカードスロット自体が省かれてしまうことが多い中で、現在の主流であるUHS-II(最大転送速度は毎秒312MB)の上位互換規格であるUHS-IIIに対応しているのは、将来的に心強い。
ディスプレイ出力は、Thunderbolt 3とUSB 3.2 Gen2(Type-C)の各端子の他、HDMIとMini DisplayPortを2基備えている。合計で5系統の4K UHD対応ディスプレイ出力を備えており、同時に本体の液晶ディスプレイを含む4画面の出力をサポートする。これなら、動画や静止画をプレビューしながら編集作業するのも快適に行えるはずだ。
2.5GBASE-Tの有線LAN、Thunderbolt 3の搭載などと合わせて、リアルなクリエイティブ現場のニーズをしっかり把握していることを感じさせる。
サウンド機能も充実している。底面にステレオスピーカーとサブウーファを内蔵しており、大きな音圧もクリアに、そして低音までしっかりと明瞭に再生できる。
また、音響技術ソフトウェアとして「SoundBlaster Atlas」を導入しており、ゲームやシネマ、コンサートなど、コンテンツに応じた迫力のあるサウンドを楽しめる。
液晶ディスプレイの上部には100万画素のWebカメラと、デュアルアレイマイクを内蔵する。追加デバイスなしにビデオ会議やビデオチャットを行える。
タッチパッド部には、Windows Hello対応の指紋センサーも備える。一度指紋を登録しておけば、PCをロックして保護しつつ、パスワード入力なしにセンサーにタッチするだけでログインできて便利だ。
17.3型の液晶ディスプレイは、ひと目で分かるほど高い表示品質を備える。明るさ、発色の良さ、精細さ、いずれもスペックを見なくともすぐに体感できるだろう。
画面の表示解像度は、4K UHD(3840×2160ピクセル)に対応する。一般的なフルHD(1920×1080ピクセル)の4倍の情報量を表示可能だ。逆にいえば、フルHDと同じ情報を4倍の精細さで表示できる。画面と同じ解像度の写真を表示した場合、曲線はよりなめらかに、階調もより自然に表現してくれるし、写真や映像の編集をする際にも、フルHDと比べてより等倍に近い表示で編集することができる。照明などが映り込みにくいノングレア仕様で、上下/左右の視野角は広く目視での発色も良好だ。
色域は、インターネットコンテンツの標準であるsRGBよりもはるかに広く、商用印刷で標準のAdobe RGB比100%に対応している。制作者の意図した色を正しく再現できるのはクリエイター向けPCに欠かせないポイントだろう。
エックスライトの「i1 Display Pro」を利用して計測したところ、色温度が6439K、輝度は497カンデラだった。色域の公称値はAdobe RGB比100%だが、評価機の計測結果ではAdobe RGBを100%カバーしていることが確認できた。クリエイティブ向けとしては理想に近いクオリティーを実現している。
キーボードはテンキー付きだ。キーピッチは約18.2mmと十分で、縦のピッチも同じく確保されている。キーストロークは公称値で約1.8mmあり、タイピングの感触も良好だ。
鮮やかに光るRGB LEDバックライトを備えているのも印象的だ。ゲーミングPCにはよくある仕様だが、本製品のRGB LEDの光り方は一段と明るく鮮やかで、細かく調整できる。
複数色がゆっくりと移り変わっていく派手な発光パターンが用意されていたり、1キーごとにカラーを指定できたりするなどカスタマイズの幅も広い。通常のPCとはひと味違う、高級機らしさが感じられる部分だ。
次に、ベンチマークテストで本機の実力を見ていく。
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提供:株式会社マウスコンピューター
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2021年1月28日