ベンチマークテストの結果を見よう。CINEBENCH R23のCPUスコアは5643と、Core i7-1165G7搭載機の中でも上位に入る部類のスコアが出ている。
PCMark 10のスコアも上々だ。日常操作(Essentials)、オフィス作業(Productivity)、コンテンツ制作(Digital Content Creation)、いずれの項目でも2017年に購入した旧世代PCを圧倒的に上回っている。
比較用の旧世代PCは重量が約2.4kgの大柄なボディーにCore i7-7700HQ(4コア8スレッド、2.8GHz〜3.8GHz)、メモリは16GB、ストレージはPCIe 512GB(Intel 600p)、外部GPUのGeForce GTX 1050(2GB)を搭載する内容で、当時としてはクリエイティブ適性がかなり高い製品であったが、本機は1kg未満のボディーでこれを軽々と上回る。
容量優先でLPDDR4X-4266ではなくDDR4-3200を採用していることもあり、3DMarkやFINAL FANTASY XIV:漆黒のヴィランズベンチマークのスコアは、Intel Iris Xe Graphicsとしてはやや低めだが、旧世代のIntel HD Graphicsに比べれば断然良い。カジュアルゲームならば十分快適に楽しめる。
クリエイティブアプリでのパフォーマンスも上々だ。画像編集の「Adobe Photoshop Lightroom Classic」では4240万画素のRAWデータ100枚にプリセットのパラメーターを適用して、長辺3000ピクセルのJPEGファイル(シャープネス弱、著作権透かし挿入)へ変換する処理を行ったが、比較用PCよりも圧倒的に早く処理を終えた。
動画編集の「Adobe Premiere Pro」では、7本の4Kクリップをエフェクトで接続してBGMを挿入したプロジェクトを、MP4ファイル(H.264ハードウェアエンコーディング)へ書き出す処理を行った。こちらはGPUの処理が大半だが、それでもGeForce搭載の比較用PCとさほど変わらない時間で処理を終えている。このくらいの簡単な内容ならば、16GBのメモリでもストレスなく扱える。
静音性も優秀な部類に入り、アイドル時は無音に近いレベルだ。システムに高い負荷をかけると穏やかにファンの回転が上昇していくが、ピークに達してもあまり大きな音にならない。頻繁に回転が変わらないので耳障りに感じにくいのも好印象だ。発熱は放熱口があるヒンジ部からキーボードの奥側が中心で、手が良く触れるパームレストにはあまり伝わってこない。
ベンチマークテストの結果から、クリエイター向けPCとして実用的な性能は十分示した。静音性や発熱とのバランスも良いし、sRGB比で約100%の液晶ディスプレイやフルサイズのSDメモリカードスロットなど、一般的なPCでは重視されにくい装備もしっかり備えており、PCとしての完成度も高い。
NVIDIAのGPUを搭載しない点を気にする人がいるかもしれないが、そのぶんを軽さやバッテリー駆動時間、動作音におけるベネフィットにしっかりつなげることができており、これはこれで良い選択だろう。評価機の構成で税込み15万3780円 (送料別)という価格も魅力の1つだ。
クリエイティブ用途を意識して初めてPCを導入する人、汎用のPCからステップアップしたい人、特に持ち運んでアクティブに楽しみたいという人にはまたとない製品だ。既にメイン用にパワフルなPCを持っていて、外での作業やスタジオでのテザー撮影用などのサブ機としても最適だろう。
Webカメラやノイズキャンセル対応マイクなどテレワーク向けの装備もしっかり備えているので、パワフルなビジネス用PCが欲しい人にもお勧めできる1台だ。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2021年6月25日