ここからは、VAIO SX14 | ALL BLACK EDITIONとVAIO SX12 | 勝色特別仕様の実力をベンチマークテストで検証していく。今回テストする機材の構成は以下の通りだ。
一部のテストでは、比較対象として約3年半前に発売されたビジネスモバイルPC(Core i5-8250U、CPU内蔵グラフィックス、メモリ20GB、SATA SSD 960GB)を交えて3台でテストを行っている。「たった3年半前のPC」と見るか「3年半も前のPC」と見るかは、テスト結果を見てから判断してもいいだろう。
「CINEBENCH R23」は、CGのレンダリングを行うベンチマークテストアプリで、CPUの1コアおよび全コアの性能をチェックできる。設定にもよるが、10分間以上連続して負荷をかけ続けるようになっているため、瞬間的に高性能を出せるだけでは良いスコアを記録できない。CPUの単純な性能だけでなく、放熱設計を中心にPCそのものの“完成度”もスコアを大きく左右する。
シングルコアのテストでは、あえて1コアだけでレンダリングを行う。「今はたくさんコアのあるCPUが主流なのに意味はあるの?」と思うかもしれないが、アプリの起動やWebページの閲覧など、実はPCがこなす日常動作は1コアだけで処理されることが多い。だからこそ、全コアだけでなく1コアのみのパフォーマンスを確認することも重要なのだ。
説明はさておき、結果は以下の通りとなった。
Core i7-1195G7を搭載するVAIO SX14/SX12の特別仕様モデルは、マルチコアで5600ポイント前後、シングルコアで1570ポイント前後を記録している。同じ「4コア8スレッド」である3年半前のビジネスモバイルPCと比べると、スコアが70〜80%程度伸びている。“わずか”3世代の違いでも、性能には大きな差が出る。
ちなみに、最近のモバイルノートPCで採用例が多い「Core i7-1165G7」(2.8GHz〜4.7GHz、4コア8スレッド)を搭載するノートPCでは、マルチコアスコアの相場が5000ポイント前後となる。1kgを大幅に切るような軽量モデルでは、5000ptsに満たないことも珍しくない。
今回レビューしているVAIO SX14/SX12の特別仕様モデルは、Core i7-1165G7よりも最高クロックの高いCore i7-1195G7を搭載している。より高い放熱性能を備えないと、そのポテンシャルを発揮できないのだ。
そういう文脈でスコアを見直すと、VAIO SX14/SX12の特別仕様モデルは高性能なCPUをしっかりと生かせる設計となっていることがよく分かる。
ストレージ(SSD)のアクセス速度は、ひよひよ氏が開発したベンチマークテストアプリ「CrystalDiskMark 8.0.4」でテストした。
動画のような大容量ファイルを一気に読み書きする際は「シーケンシャル(連続)」の速度が重要な指標となる。一方で、こまごまとしたファイルを断続的に読み書きする場合は「ランダム」の速度が快適性を左右する。
まず、SSDの最大性能を見る指標である「シーケンシャル(Q8T1)」のテスト結果は以下の通りとなった。
PCI Express 4.0 x4接続ということもあり、特に読み出しは毎秒7000MBに迫る性能を発揮した。シーケンシャル性能は、大容量の動画だけでなく、休止状態からの復帰速度や仮想メモリへのアクセス速度にも影響する。これだけの速度が出れば、よほどのことが無い限り不満を覚えないはずだ。
一方で、日常動作に大きく影響を及ぼす「ランダム(Q1T1)」の結果は以下の通りとなった。
この数値は、PCI Express 4.0 x4接続のSSDの中でもトップクラスで良い。普段使いでも高いパフォーマンスを期待できる。
「PCMark 10」は、実際にPCを使うシーンを想定し、実在するアプリ(またはそれをベースとするテスト用アプリ)を使って総合的な性能をチェックするベンチマークテストアプリだ。
行うテストは大きく「Essentials」「Productivity」「Digital Content Creation」の3つに分かれている。Essentialsでは、アプリの起動からWeb会議まで、現代のPCにおいて使うであろう総合的な日常操作をチェックする。Productivityでは、オフィススイート(ワープロ、表計算、プレゼーション)での作業を想定したテストである。そしてDigital Content Creationでは、写真や動画の編集などデジタルコンテンツの作成能力を確認できる。
ひとまず、総合スコアは以下の通りとなった。
VAIO SX14/SX12の特別仕様モデルは、総合スコアを含む全てのスコアが3年半前のモバイルビジネスPCよりも圧倒的に良い。
軽負荷な作業をテストするEssentialsにおける優位性は、ともすると軽視されがちである。しかし、「PCの電源を入れて使い始めるまで」「Webページにアクセスしてページが表示されるまで」といった1つ1つの作業のレスポンスの快適さ、待ち時間の少なさを示すスコアだと考えると、スコアが良いほど集中力をそがれる可能性が減るともいえる。
打ち合わせ前などのすき間時間を使って資料や書類のチェックを行うといったような作業も快適にできるので、積極的にPCを立ち上げて作業しようとポジティブになれる心理的効果も大きい。
日本のPCメーカーは、バッテリーの駆動時間をJEITA(電子情報技術産業協会)が定める「JEITAバッテリ動作時間測定法(Ver.2.0)」に従って算出することが一般的だ。しかし、ノートPCのバッテリー駆動時間は使い方によって大きく左右されるため、実際の利用環境ではこの測定法による駆動時間より短くなることが多い。
そこで今回は、先ほども登場したPCMark 10を使って実利用環境に近い状況を作り出し、バッテリー駆動時間を測ることにした。利用したプロファイルは「Modern Office Battery Life」で、PCMark 10におけるEssentialsとProductivityに含まれるテストを長めのインターバル(休憩)を挟みつつ繰り返し行う。
ネット接続はWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)経由、ディスプレイの輝度は40%という条件で満充電から残量5%(強制的に休止状態になるしきい値)までの駆動時間は以下の通りとなった。
いずれもJEITAバッテリ動作時間測定法(Ver.2.0)に基づく公称値よりも短く思うかもしれない。しかし、1日中外回りで仕事をしても、充電せずにこなせるだけのスタミナは備えていることは分かる。安心して持ち運べるだろう。
なお、このテストではバッテリー動作時のパフォーマンスもしっかりと計測している。どちらのモデルも、第11世代Coreプロセッサを搭載するモデルとしては上位に来るスコアだったことをつけ加えておく。
3Dグラフィックスのパフォーマンスをチェックするアプリ「3DMark」と、実際のゲームをベースとするベンチマークテストアプリ「FINAL FANTASY XIV:暁のフィナーレベンチマーク(FF14ベンチ)」使って、3Dゲームを楽しめるかどうか探ってみることにしよう。
まず、3DMarkだが、3年半前のビジネスモバイルPCでは、DirectX 12ベースの「Time Spy」を実行できなかった。3台で実行できたDirectX 11ベースの「Fire Strike」では、VAIO SX14/12の特別仕様モデルは3年半前のビジネスモバイルPCの5倍以上のスコアを記録した。
一方、FF14ベンチは、従来のバージョンよりも評価がシビアになっているものの、VAIO SX14/12の特別仕様モデルではフルHDの標準画質で「やや快適」評価を得られた。これだけの評価が出れば、十分に実用的なパフォーマンスでプレイできるはずだ。
もちろん、ゲームのプレイが目的であれば、素直に外部GPUを搭載したゲーミングPCを買うべきである。また、ビジネス用途において3Dグラフィックスの性能が求められるシーンは限定的だ。
とはいえ、人生には息抜きも必要だ。息抜き程度のカジュアルゲームなら旧世代PCでもできるかもしれないが、息抜きなのに性能がギリギリでは逆にストレスがたまってしまう。性能に余裕があることは、決して悪いことではない。
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提供:VAIO株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2021年12月3日