「Endeavor SG100E」は、約2.8Lのコンパクトなボディーにグラフィックスカードも搭載できる高い性能を備えた小型デスクトップPCだ。クリエイティブユースでの導入を強く意識した製品だが、省スペース性と高性能を両立させていることや、最大7画面のマルチディスプレイに対応することなどから、CAD、医療分野、デジタルサイネージなど、幅広い用途で活用されているという。どのような点が評価されているのか、製品に込められたこだわりを商品開発を担当した北村 裕弥氏に聞いた。
―― Endeavor SG100Eのセールスポイントを教えてください。
北村氏 3Lを切る約2.8Lのボディーながら、Core i9のCPUに加え、グラフィックスカードも内蔵できるハイパフォーマンスが特徴の超小型デスクトップPCです。グラフィックスカードは、汎用(はんよう)的なロープロファイルを搭載でき、コンシューマー向けのNVIDIA GeForce GTX 1650などに加え、CADなどを想定したプロフェッショナル向けのNVIDIA T1000なども選べます。
―― どのようなお客さまにお使いいただいていますか?
北村氏 デザイン性の高いブラックのボディーを採用しており、開発段階では写真編集を行うクリエイターの方々をメインターゲットとして意識していた製品ですが、小型で高性能なことや最大7画面の同時出力ができることから、医療分野やデジタルサイネージなどでパフォーマンスを必要とされるお客さまにも多く導入していただいています。
―― 特に多く導入されている分野などはありますか?
北村氏 医療系が多いですね。医療系には電子カルテを利用して、CTやMRIなどの画像データを保管、閲覧、管理することを目的とするPACS(Picture Archiving and Communication System)という画像管理システムがあり、小型化の需要も高いということでお選びいただいています。
Endeavor SG100Eは、EIZOのメディカルモニター「RadiForce」シリーズとの互換性検証も実施済みですので、安心してお使いいただけます。
―― Thunderbolt 3端子を標準搭載していますね。
北村氏 当時は我々としてはThunderbolt 3を備えたPCが初めてでしたので、Thunderboltの認証試験をパスするのには少し時間がかかりましたが、結果的にPC本体で3画面、グラフィックスカードを合わせて最大7画面同時出力ができるようになり、活用の幅が広がることになったと感じています。
―― これだけの小型でグラフィックスカードを搭載するとなると、熱設計には苦労されたのではないでしょうか?
北村氏 おっしゃる通り、それが最大のテーマでした。CPUとGPUの定格パフォーマンスをしっかり出せるのはもちろん、できるだけ静音で運用できるように、熱設計には徹底してこだわりました。上面の排気口、底面に吸気口を多数空けるとともに、天面側にボリュームのあるCPUファンとシステムファンを設置し、底面吸気/上面排熱のエアフローを確立し、効率のよい放熱を実現しています。また、メモリは64GB、ストレージはM.2(PCI Express接続)を2基搭載でき、トータルで高いパフォーマンスが発揮できる製品になっています。
―― 今後の展開など考えていることはありますか?
北村氏 現時点では具体的なことは言えませんが、省スペース、省電力と優れた性能を両立させるコンセプトの需要は高いと感じています。今後も、お客さまのご意見とご要望を伺いながら、満足いただける製品を開発していきたいと考えています。
「Endeavor ST50」は、容積がわずか約0.75Lと、同社が展開するデスクトップPCの中でも最小のボディーを持つマイクロサイズの超小型デスクトップPCだ。
ノートPC向けのCPUを搭載するため、省スペースで低発熱がウリであり、ファンレスオプションも用意されている。液晶ディスプレイの背面はもちろん、机の下や壁掛け、機器への組み込みなどさまざまな利用法が可能だ。
このEndeavor ST50と、タッチパネル付きの液晶ディスプレイとを組み合わせたタッチパネル液晶一体型PCも販売されており、それも好評だという。
製品に込められたこだわりを、製品企画を担当した岡田 卓也氏に聞いた。
―― インパクトのあるボディーサイズですが、改めてEndeavor ST50のセールスポイントを教えてください。
岡田氏 Endeavor ST50は、約0.75Lと当社のラインアップ中で最小の容積のボディーを実現したマイクロサイズのウルトラコンパクトPCです。エプソングループの得意とする「省・小・精」の技術的な強みをPCに落とし込んだ製品といえます。現行製品はEndeavor ST20E、ST40Eに続く3世代目の製品ですが、ボディーサイズを維持したまま、基本スペックとインタフェースを強化し、ファンレスオプションも用意しました。
―― ST50のこだわりポイントを教えてください。
岡田氏 一般オフィス用途に加えて、医療機器や計測機器への組み込み、さらにはサイネージなど、バックヤードで利用されることを設計段階から想定しています。豊富な拡張端子の装備、0〜40度と幅広い温度の使用環境をサポートし、ファンレスにも対応といったところがポイントです。
―― 40度サポートの理由を教えてください
岡田氏 一般的なPCの使用環境は、5〜35度がほとんどであると思いますが、小さいボディーを生かして我々の想定外の活用も考えられることから、あえて過酷な動作環境に挑戦しました。開発段階では、0度に関してはさほど問題はありませんでしたが、40度の方はかなり苦戦しました。ボディーの過熱、パフォーマンス低下などいろいろな課題がありましたが、試行錯誤の末に、安定したパフォーマンスを維持しつつ、安全に使用していただける製品を実現できました。
―― ファンレスモデルはやはり人気が高いでしょうか?
岡田氏 Celeron搭載時のみファンレスを選択できるようになっていますが、引き合いは思った以上にありますね。医療現場などで衛生に配慮してチリが舞うと困るような環境ではファンレスの需要が高いですし、SSDを搭載すれば動作音が発生しませんので、高度な静音性を求められるような現場でも選んでいただけています。
―― 何か印象的な導入事例などありますか?
岡田氏 医療分野で、自動で複数の薬を仕分けして処方する機械に組み込まれて使われている例があります。粉末の薬もあるのでファンレスの方が都合が良いとのことでした。医療現場では静電気の基準が厳しく、組み込む際に工夫が必要という事情などがあり、PC本体を固定するための専用金具もエプソングループで用意してセットで保証する形で納品しました。
―― そういうサービスも含めたソリューションでの提供もしているのでしょうか?
岡田氏 結果的にこういう形になったということですね。当社はお客さまの困り事に寄り添う姿勢、小回りの利く対応力をモットーにしております。お客さまとしてはセットで利用するものなのに、「これはここ、あれはここ」といったように相談する窓口がバラバラでは管理がしにくいです。当社はエプソングループの一員であり、さまざまなご要望に対応しやすい環境がありますので、可能なかぎり柔軟に対応させていただいています。
―― これ以外にもユニークな対応事例はありますか?
岡田氏 冷却ファンの動作制御を細かく調整したという事例はありました。製品寿命、信頼性に関わってくることなので簡単なことではありませんが、我々のPCは、熱設計も含めて自社で設計をしています。Endeavor ST50であれば私自身が行っており、試験設備も身近にありますので、こういった部分でも小回りの利いた対応は可能です。限界はありますが、対応できることはできるだけ対応していきたいと考えています。
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