―― NA711Eは、CPUが第12世代 インテル Core プロセッサーとなりました。NA710Eが第10世代インテル ® Core™ プロセッサーだったので“1世代飛ばし”ということになりますが、第11世代をスキップしたのには何か理由があるのでしょうか。第12世代インテル Core プロセッサーを搭載する上で課題となったポイントもあれば教えてください。
小島氏 第12世代への期待が大きかったという点と、開発時のタイミングを考慮した結果です。
やはり薄型軽量のボディーだけに、開発段階では放熱や省電力設計の面で少し苦労しました。検証と修正を繰り返して、最終的にはよいバランスに仕上がったと自負しています。
―― NA711Eではインテル ® Core™ i5 プロセッサーやインテル ® Core™ i7 プロセッサーに加えてインテル ® Core™ i3 プロセッサーも選べるようになりました。その狙いを教えてください。
小島氏 ご指摘の通り、先代のNA710EではCPUをCore i5 プロセッサーかCore i7 プロセッサーから選択するようになっていました。今回のNA711Eでは第12世代インテル Core プロセッサーのうちモバイル向けの「Uシリーズ」を採用しているのですが、インテル ® Core™ i5-1235U プロセッサーやインテル ® Core™ i7-1255U プロセッサーに加えて、インテル ® Core™ i3-1215U プロセッサーも選べるようにしました。
Core i3 プロセッサーの構成を追加したのは、主に「お客さまの要望」と「CPU自体の進化」の2点が理由です。
ノートPCを特定用途で使われるお客さまは、CPUのパフォーマンスをそれほど必要としない傾向にあり、低コストで導入できるCore i3 プロセッサーモデルのリクエストは多くありました。第12世代Core プロセッサーは性能の底上げが大きく、Core i3 プロセッサークラスでも良好なパフォーマンスを発揮できると思います。
Core i5 プロセッサー以上の構成ではCPUが10コア12スレッドとなり、マルチスレッド性能が向上します。GPUのパフォーマンスも高いので、写真や動画を扱うことが多い業務でも、これまで以上に快適に使えると思います。
―― BTOメニューで選べるメインメモリやストレージの容量も強化されていますね。これはどのような狙いがあるのでしょうか。
小島氏 お客さまからの要望に応えて、幅広く選択できるようにしました。
まずメインメモリについて、従来モデルでは最大24Gとしていましたが、「もっと容量が欲しい」という声もありました。そこで、今回はDDR4-3200規格のメモリを最大40GBまで搭載できるようにしました(※2)。
ストレージのSSDについては、全面的に選択肢を強化しています。「高性能かつリーズナブルに」という要望にお応えするために、DRAMキャッシュを備えないPCI Express 3.0接続のSSD(256GBのみ)を用意したほか、「高速な読み書きを重視したい」というニーズに応えるPCI Express 4.0接続SSD(256GBまたは512GB)も取りそろえました。
さらに「ストレージ自体に高度なセキュリティを」という要望に応えるべく、PCI Express 4.0接続SSDにはハードウェアレベルの自動暗号化(OPAL)機能を備えるものも用意しています。ハードウェアレベルで自動的に暗号化されるので、読み書きの速度に影響を与えないことが強みです。
(※2)オンボード8GB+SO-DIMMスロット×1(ユーザーによる増設/換装は非対応)
―― 本体装備のインタフェース類についてお聞きします。このモデルは有線LANポートやD-Sub15ピン(アナログRGB)出力といったレガシーな端子を省くなど、従来のビジネス向けノートPCとしては少し割り切りが大きいように思えます。この点について、議論はあったのでしょうか。
坂井氏 搭載しているインタフェースの多くは、先代のNA710Eから継承していますが、その開発段階から「インタフェースはどうするんだ?」という議論はありました。
いわゆる「レガシー端子」の実装は、薄さや重さとはトレードオフの要素となります。当社の場合、レガシー端子が必要な人には「Endeavor NJシリーズ」という選択肢が既にあります。
一方で、NA710Eではテレワークにおける在宅環境を想定して、レガシー端子を省いています。むしろ、在宅環境では「これからはUSB Type-Cが重要になる」という考え方から、映像出力(DisplayPort Alternate Mode)と電源入力(USB PD)の両方に対応するUSB Type-C端子を実装した次第です。
―― そのUSB Type-C端子ですが、NA711EではThunderbolt 4(USB4)にも対応していますね。
坂井氏 こちらは将来性を考えて対応しました。Thunderbolt 4に対応することで、Thunderbolt 4(Thunderbolt™ 3)対応デバイスも利用できるようになります。ディスプレイに関しては、フルHD(1920×1080ピクセル)解像度なら最大3台まで外付けディスプレイをデイジーチェーン接続できますので(※3)、複数のディスプレイを利用する環境でも活躍します。
(※3)デイジーチェーン対応のディスプレイが必要です(終端のディスプレイはデイジーチェーン非対応でも構いません)。なお、デイジーチェーン接続を3台で行う場合、HDMI出力端子からの映像出力はできません
―― NA710Eと比べて、Webカメラのモジュールが変更されたと聞きました。
小島氏 NA711Eでは、セキュリティが強化された「Windows Hello Enhanced Sign-in Security」に対応する顔認証対応カメラを搭載しています。従来の顔認証対応カメラと比べると、認証プロセスにおけるセキュリティが強化されているので、より安心して顔認証をお使いいただけるようになりました。
なお、Webカメラとしての画素数は約92万画素と据え置きですが、色味が少し暖色系になり、見た目の印象は良くなっているかと思います。
―― キーボードは先代と同じでしょうか。
小島氏 その通りです。先代で好評をいただいているキーボードをそのまま継承しました。このキーボードは、モジュールの裏側からしっかりネジ止めすることで剛性を高めていることが特徴で、打ち心地についても好評をいただいています。
なお、NA711Eでは追加要素として、カーソルキーのそばにある「Page Up」「Page Down」キーを無効化できるようになっています。有効/無効の切り替えはユーティリティーアプリで設定可能です。
―― OSの選択肢として、特定用途向けの「Windows 10 IoT Enterprise LTSC 2021」が加わりましたね(※4)。
小島氏 Windows 10 IoT Enterprise LTSC 2021は特定用途で使われるPC向けの特別なエディションで、通常のWindows 10では年に1〜2回行われる「機能アップデート(Feature Update)」をせずに最長で2032年1月(延長サポート利用時)まで使い続けられます。
「同じ機能をずっと使い続ける」という観点から、特定用途で使われるPCでは機能アップデートは検証の負担を増やす要因となってしまいます。医療機関や工場での端末として「LTSC版OSで欲しい」という要望もあったことから、NA711Eでは選択肢として用意することにしました。
(※4)Windows 10 IoT Enterprise LTSC 2021をプリインストールする構成は「Endeavor JN711」として販売されます(OS以外の基本仕様はEndeavor NA711Eと同じです)
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