アイ・オー・データ機器の法人向けのWindows搭載NAS「LAN DISK Z」シリーズは、小規模環境のワークグループ環境から、大規模なActiveDirectory環境まで対応できる豊富なラインアップが特徴だ。2023年9月には、最新OS「Windows Server IoT 2022」を搭載する新モデルが登場している。今回はその4ドライブ構成の高性能モデルとスタンダードモデルをレビューする。
アイ・オー・データ機器の「LAN DISK Z」シリーズは、組み込み機器向けの「IoT」を含むWindows OSを搭載した、Windowsベースの法人向けNAS(ネットワーク接続型ストレージ)である。
同シリーズのラインアップには、さまざまな規模や用途に対応できる豊富なモデルが用意されているが、新たにハードウェアとOSを一新した高性能モデルとスタンダードモデルが登場している。今回はその新モデルの特徴とパフォーマンスを検証してみよう。
この秋から出荷が開始されたLAN DISK Zの新モデルは、Intelの第12世代Core i3プロセッサ(最大4.0GHz/4コア8スレッド)を搭載した高性能モデルの3シリーズと、Atom X6211E(最大3.0GHz、2コア)を搭載したスタンダードモデルの2シリーズがある。
OSには最新の「Windows Server IoT 2022 for Storage(StandardまたはWorkgroup)」を採用している。いずれも8GBのメモリを搭載し、最大10GbE対応のLANアダプターを2基備えている。最新プロセッサを採用することで、カタログ上の推奨最大同時接続数は、Core i3プロセッサ搭載モデルが500台、Atomプロセッサ搭載モデルが200台となった。
Windows Server IoT 2019 for Storage Standardを搭載していたそれぞれ同系統の前モデルは順に300台、100台だったので、1.6倍、2倍と大幅にスケールアップしている点は注目だ。
Core i3プロセッサ搭載モデルは2ベイ/4ベイ/4ベイのラックマウントの3タイプがあり、各シリーズはそれぞれ4種類の容量が用意されている。RAID構成により実際に利用可能な容量は少なくなる。
ストレージはソフトウェアRAIDで冗長化されており、2ベイモデルの既定はRAID 1(ミラーリング)で、4ベイモデルはRAID 5(OSディスクはRAID 1)が出荷時の既定である。カートリッジタイプのディスクはホットスワップ対応で、オンラインのまま交換することも可能だ。
Atomプロセッサ搭載モデルは2ベイBOXおよび4ベイBOX、4ベイのラックマウントタイプがあり、いずれもStandardとWorkgroup搭載モデルが用意されている。
Atomプロセッサ搭載モデルは最大消費電力が抑えられ(HDL-Z19SATA比で38%減)、静音性に優れている(2ベイモデルが22.8dB、4ベイモデルは22.7dB)。静かなオフィスに設置しても稼働音は気にならず、さらに低価格を実現している魅力的なモデルだ。
一般的なNASはメーカーだと3年保証であることが多いが、LAN DISK Zシリーズの新モデルは全て業界最高レベルの「5年保証」に加え、「データ復旧サービス(最大150万円相当)」が標準で付属しており、一般的なNASのリプレース期間を標準保証内でカバーできるようになっているのも注目ポイントだ。
データ復旧サービス(最大150万円相当)は、HDD障害でデータが読み取れなくなった場合でも、追加コスト無しで保存されているデータの復旧を試みるサービスである。なお、重度の障害の復旧には、アイ・オー・データ機器が提供する遠隔管理サービス「NarSuS」の利用と、バックアップ設定(バックアップ、またはレプリケーション、またはミラーリング)を行っておく必要があるが、いざというときに心強い。
LAN DISK ZシリーズのOSは、組み込み向けサーバOSの最新バージョン「Windows Server IoT 2022 for Storage(StandardまたはWorkgroup)」だ。このOSは、2世代前まで「Windows Storage Server」と呼ばれていた。そのOSの後継にあたる最新OSである。
Windows Server IoT 2022は、ソフトウェアとしては「Windows Server 2022 Standard」と全く同じものだ。ライセンス契約上、特定の許容量と制限が設けられた、固定された目的のOEMソリューションを作成するためのOSであり、「for Storage」はファイルサービスとその管理に限定されている。
Windows Serverクライアントアクセスライセンス(CAL)無しで利用できるため(Standardは無制限、Workgroupは50ユーザーまで)、通常のWindows Serverでファイルサーバを導入するよりも低いコストで導入できる。
Windows Server 2022は、Windows Server 2019と大きな機能差は無いが、多層のセキュリティ機能、セキュアコアサーバ、Azureハイブリッド機能、TLS 1.3トランスポートのサポート、AMDプロセッサでの入れ子になった仮想化のサポートなど、さらなるに機能強化が行われている。NASが依存するファイルサービス関連では、以下の機能が強化されている。
SMB圧縮は、ファイル転送時にSMBクライアント側でファイルを圧縮し、圧縮されたファイルを転送後、SMBサーバ側で圧縮を解除して保存するもので、ネットワークトラフィックとデータ転送を最適化する技術である。
SMB圧縮はWindows 10バージョン2004以降でも、ROBOCOPYおよびXCOPYコマンドに追加された「/COMPRESS」フラグで利用可能だったが、Windows Server(LTSC)でのサポートはWindows Server 2022まで待つ必要があった。
また、Windows Server 2022とWindows 11間では、ROBOCOPYおよびXCOPYコマンドでのサポートに加えて、以下の構成が可能になった。
つまり、Windows Server 2022とWindows 11の組み合わせでSMB圧縮を使用すると、ファイル転送方法に関係なく、例えばエクスプローラーによるファイルコピー操作であっても、SMB圧縮の恩恵を得ることができるようになり、転送時間の短縮やネットワークトラフィックの削減を期待できる。
なお、SMB圧縮は帯域幅が比較的狭いネットワーク(1GbE対応の有線LANやWi-Fiなど)で最も効果的であり、輻輳(ふくそう)の無い高速なネットワークでは必ずしも時間短縮として効果が現れないことがある。詳しくは公式ページ「Microsoft Learn|Windows Server|SMBの圧縮」や、この後の検証テストの結果を参照してほしい。
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提供:株式会社アイ・オー・データ機器
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2023年12月14日