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あくまでハイエンドのMacを目指した「Mac Pro」と「Xserve」WWDC 2006レポート(2/2 ページ)

基調講演、Leopardに続くWWDC 2006レポートの第3弾は、最強のMacこと「Mac Pro」と「Xserve」を見ていく。

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高性能化と信頼性の向上を果たした「Xserve」

photo クアッドコア対応を果たしたXserve

 Mac ProやほかのIntel Macファミリーの陰に隠れがちだが、サーバ製品のXserveも着実な進化を遂げている。CPUを従来のPowerPCシングルコア×2からWoodcrest×2のクアッドコア構成に変更して、「Xserve G5との比較で5倍高速」というパフォーマンスをアップさせただけでなく、内蔵電源の二重化でシステムの信頼性も向上させた点が大きい。

 もともと、Xserveのようなラックマウント型の1Uサーバはデータセンター用途が中心で、中小企業や大企業の一部門がファイル/プリンタ共有用途などに導入するタワー型の小型サーバとは異なる。どちらかといえばバックエンドの業務システム、複数Webサイトのホスティング、大学や研究所の科学技術計算など、大規模システムでの利用を想定している。ゆえに今回のような信頼性の向上を図った機能強化は、今後導入を検討するユーザーを増やすための契機につながる可能性を秘めている。

 現在、Xserveを導入しているのはTVなどの映像関連、大学などの研究機関が中心だ。特に後者はMac OS XのベースがUNIXということもあり導入への障壁が比較的低く、バージニア工科大学のXserveクラスタのように、多数のマシン同士を高速ネットワークで結んで世界でのトップクラスのスーパーコンピュータを作り出した例もある。だが一般企業への導入という面では、ベースとなるOSがMac OS X Serverということもあり、WindowsやLinuxなどと比較してアプリケーションの豊富さの面で水をあけられてしまう。だがXserveがIntel CPUへ移行したことで、今後WindowsやLinuxを導入してXserveを活用する企業も登場してくるのではないだろうか。なお、Xserveの発表に合わせてMac OS X Server v10.4.7がIntel CPU/PowerPC両対応にリニューアルされた。

photo 従来のXserve G5に比べ、Xeonを採用したXserveでは最大5倍以上のパフォーマンスを実現するという(写真=左)。電源ユニットが冗長化(2基搭載)され、信頼性が向上したのもポイントだ(写真=右)

好調な売り上げ、Intel Macへの移行も無事完了したが…

 米Appleのスティーブ・ジョブズCEOによれば、直近の四半期で販売されたMacの台数は約133万台だ。とくに同四半期の販売の伸びは顕著で、成長率でいえばWindowsベースのほかのPC製品と比較して倍以上の15%を超えるラインを維持している。Appleの全製品ラインのうち、すでに75%がIntel Macに移行しており、新規ユーザーのIntel Mac保有率は50%に達する。

 その中でもノートPC製品の評判は高く、同分野に限定すれば、MacBook製品群の市場シェアは12%に上るという。サードパーティーのユニバーサル・バイナリ(PowerPCとIntelCPUの両プラットフォームをサポートするアプリケーション)対応はまだ遅れているものの、プロ以外のミドルレンジ以下のユーザーを中心にIntel Mac移行への抵抗が少なくなりつつあるのは確かなようだ。

photo Apple Store 5番街店は、夜になるとライトアップに包まれる。ニューヨークはマンハッタンの新しい観光名所だ

 また、ジョブズCEOはWWDC初日に行われた基調講演の中で、製品販売とプロモーションにおけるApple Storeの成功を報告している。現在、実営業店舗としてのApple Storeは世界中に157店あり、先日米ニューヨークの5番街にオープンしたばかりの新店舗に加え、英国を除く欧州本土では初となる欧州1号店の出店計画がある(1号店の場所はイタリアのローマと言われている)。Apple Storeの成功は業界他社にも影響を及ぼしつつあり、直営の実店舗を持たないデルさえもがプロモーション用の店舗を米国内に建設するというニュースが、経済紙のWall Street Journalなどによって報道されている。

 2006年はAppleにとってIntel Macへの移行という一大事業を成し遂げる必要のあった激動の年だが、次期Mac OS X “Leopard”の発売とAdobe Systemsなどの主力ベンダー製品のユニバーサル・バイナリ対応が完了するとみられる2007年に、同社はどれだけ飛躍することができるのだろうか。今後の同社のかじ取りに注目したい。

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