ちっちゃなボディにCore 2 Duoを搭載――エプソンダイレクト「Endeavor ST100」(3/3 ページ)
mini-ITXマザーを採用したコンパクトPC「ST100」の受注が開始された。デザインは“Core 2 Duoを搭載できるMac mini”のような印象だが、その実力は?
各種ベンチマークで性能を検証
ベンチマークではPC USERでおなじみのテストを実行した。3DMark05に関してはチップセット内蔵グラフィックスということでデフォルト設定のみにとどめたが、十分参考にはなるだろう。CPUが2次キャッシュ2MバイトのCore 2 Duo T5500ということもあって飛び抜けたスコアは出ていないが、PCmark05の総合スコアは2723となっており、平均的なビジネス/ホームユースではなんら不満のないパフォーマンスと言える。また、ゲームに関してもFFベンチの結果はLowで3000を超えており、高解像度にこだわらなければ最近のオンラインRPG程度であれば十分こなせそうだ。ただ、今後のことを考えると、やはりCPUは7000番台の上位モデルを選びたい。
この時期に発売される製品という意味では、Windows Vistaへの対応も気になるところだろう。試しにWindows Vista RC1(Ultimate Edition)をインストールしてみたが、作業は30分ほどですんなりと終了した。試用機のスペックではメモリ容量が要件を満たさないため(メモリ1Gバイト以上が推奨)、インストール時に自動的に「Aero Glass」は無効化されるが、ドライバが導入されていないデバイスは1つもなく、描画速度(1280×1024ドット/32ビットカラーで出力)も含め、処理性能にも特に不満は感じなかった。
また、Windows XPであればなんら問題なく再生可能であったWMV HDのハイビジョン動画(1440×1080ドット、平均8.44Mbps)もさほど変わらないCPU使用率で再生できている。利用するアプリケーションにもよると思うが、そもそも「Aero Glass」をサポートしない「Windows Vista Home Basic」であれば、試用機のように10万円を切る仕様構成でも特に機能制限を受けることなく利用できるはずだ。
せっかくなのでメモリを1Gバイトに増設して「Aero Glass」を有効にしてみたが、動作に特にストレスはなく、ガジェットを6つほど表示しつつ10個ほどウインドウを開いた状態でも、特徴的な機能の1つである「Flip 3D」がストレスなく動作する。WMV HDのハイビジョン動画を再生しようとすると「ディスプレイドライバに問題がある」とエラーになってしまったが、これはBIOS設定でフレームバッファサイズを初期設定の32Mバイトから最大の256Mバイトに設定変更することで回避できる。ちなみに1280×1024ドット/32ビットカラーのフルスクリーンでほぼ問題なく再生が可能であった。メモリ容量さえしっかりと確保すればWindows Vistaの利用も一般的な範囲であればなんら問題はなさそうだ。
安心して買えるミニPC、「損して得とれ」な人におすすめ
本製品の魅力は、小型でスタイリッシュであることはもちろん、このサイズのPCがサポート面で定評のあるエプソンダイレクトから購入できるという点だろう。デスクトップPCに分類されるとはいえ、キューブPC以下のクラスはほとんどが独自パーツで構成されており、ベアボーンで購入してもマザーボードや電源などが故障すると困ってしまう場合が多い。この点、本製品であれば購入から1年間は短期修理が保証されているし、同様の保証をリーズナブルに期間延長することもできる。これは間違いなく大きな訴求ポイントだ。
同社は本製品の特徴として3つの「Small」を上げている。レビューでも触れてきた「Small size」(小型)、「Small sound」(静音)、そして「Small Energy」(省電力)だ。ノートPC用のコンポーネントを使用している関係上、一般的な小型PCよりも割高な価格になっているのは事実だが、その代わりに消費電力もノートPCと同程度に抑えられている。つまり、日々PCを長時間利用する人であれば「電気代」という形で還元されるわけだ。「損して得とれ」というところだろうか。それならノートPCでいいじゃないか、と言う人もいるだろうが、本製品であればリーズナブルになった19〜20インチクラスのディスプレイとも組合せられる。
3つの「Small」を実現した本製品は、設置スペースやデザインを重視する個人ユースはもちろん、オフィスへの大量導入にもうってつけな製品と言えるだろう。
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