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ちっちゃなボディに大きな期待――「wizpy」は本当に“すごい”のか「ユビキタスの鍵」「PC2.0」……(1/3 ページ)

こりん星出身のタレントによると「wizpyはすごい」らしい。はたしてwizpyは地球人にとってもすごいのか。このガジェットの実態に迫る。

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※本稿は、出荷前の試作機をもとに記述しています。そのため、仕様や機能については製品版で変更される可能性があることを、あらかじめご了承ください。

“手のひらサイズのパソコン”?

 wizpyを一言で表現すると、マルチメディアプレーヤー機能を備えた、Turbolinuxブートイメージ入りUSBメモリだ。ターボリナックスのサイトにある「手のひらサイズのパソコン・ウイズピー」「世界中のパソコンがあなたのパソコンに」というセンセーショナルな謳い文句を真面目に受け取ると、なんだかものすごいデバイスを想像してしまうが、その実態は既存技術の集積であり、そもそもパソコンですらない。

 まずはwizpyの正しい理解のため、3つの動作モードについておさらいしておこう。なお、ここでのモード名称は便宜的なもので、正式なものではないことをお断りしておく。

 1つめはマルチメディアプレーヤーモードだ。wizpyを単体で起動した場合は、動画、画像、テキスト、音楽(音声)を再生可能なマルチメディアプレーヤーとして動作する。FMラジオやボイスレコーダー機能も搭載しており、小型プレーヤーで見れば多機能な部類に入る。ディスプレイは1.7インチの有機ELを採用しており、黒浮きのない高いコントラストと残像感の少ない表示が特徴だ。

 2つめはUSB周辺機器モード。wizpyをWindowsが動作しているPCに接続すると、CDドライブとリムーバブルディスクの2つに加えて、USBオーディオとしても認識される。CDドライブとして認識された領域に書き込みはできないが、リムーバブルディスクのほうはFAT32で書き込み可能だ。

 3つめはTurbolinuxモード。先ほどのUSB周辺機器モードで認識されるCDドライブほうにはブート可能なTurbolinuxのイメージが記録されている。つまり、PC起動時にwizpyを挿しておくと、CDエミュレーションを利用してUSBメモリからTurbolinuxを立ち上げることができるわけだ。書き込み可能なUSBメモリ領域もあるため、ユーザーの設定情報や作成したファイルなどを保存して持ち歩くことができる。これが「世界中のパソコンがあなたのパソコンに」の正体だ。

首からぶら下げていると携帯メディアプレーヤー(写真=左)だが、USB経由でLinuxをブートできる(写真=中央)。同梱品一覧(写真=右)

 このように並べてみると、各機能の1つ1つに目新しさはない。CDからブートできるLiveCDはさまざまなディストリビューションが存在しているし、USBメモリに収まるサイズのLinuxもすでにUSB-KNOPPIXなどがある。もちろん、携帯ストレージやメディアプレーヤーは星の数ほどもある。確かにwizpyはこれらの用途を1つのデバイスで実現したが、重要なのは各機能の連携によって新しい価値を見いだせるかどうかだ。また、幅広い用途をカバーしたことで、かえって各機能が使いづらくなってしまっても意味がない。以上を念頭に置いたうえでwizpyを評価していこう。

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