Vista搭載で一段と家電ライクに進化――日立「Prius One type W」:Vista搭載新モデル徹底レビュー(2/2 ページ)
日立製作所の液晶一体型PC「Prius One type W」が、Windows Vista Home Premiumの採用にあわせて、ハードウェアとソフトウェアの両面で大幅なてこ入れを行った。その全容を見ていこう。
Media Centerに統合されたPrius Navistation5
ここからは、本機の見どころとも言えるTV機能について見てみよう。本機における最大の特徴は、マルチコンテンツビューワの「Prius Navistation」が、新バージョンになってWindows Media Centerに統合されたことだ。具体的には、TV番組の視聴、番組予約、録画番組の再生などがWindows Media Center共通のインタフェースで行える。従来のPrius Navistationの画面も残されているが、機能はTV番組の視聴/録画/再生に限定され、DVD-Videoの再生や写真の閲覧などはMedia Centerに移行した。
実際に試用していて気になったのは、Media CenterでTV番組のチャンネルの切り替え時などの動作がかなりもたついたことだ。Prius Navistation5単体を起動させた場合はもたつきがかなり軽減されたため、Media Centerとの統合のチューニングがまだ十分ではないのだろうと思われる。製品版での改善に期待したいところだ。なお、付属の赤外線リモコンからTV機能を起動すると、Media Centerが起動する。
Prius Navistation5の単体起動は、デスクトップ上のショートカットアイコンなどから行える。単体起動の場合は、ウィンドウ左上にTV番組画面、右上にチャンネル一覧、画面下半分に番組表や録画番組一覧などをタブで切り替える3ペイン式インタフェースが基本となる。また、以前のバージョンと同じように画面右側のサイドバーにTV画面と番組表を表示する「サイドTV」と、ウィンドウモードの「ミニTV」がある。ちなみに、TV機能利用時はWindows Aeroが利用できなくなるので注意したい。
機能面では、従来と同様に録画した番組のダイジェスト再生を行う「いいとこ観」を筆頭に、リモコンで録画番組の再生速度を「ちょい早」(1.3倍速)/「ちょい遅」(0.8倍速)に切り替えられたり、DVD-RAM/DVD-RWメディアへのムーブ(SD画質)も簡単に行えるが、新機能の追加が見送られたのは少々残念なところだ。
OSを起動していない状態でもリモコンの電源ボタンを押すと約5秒で地上デジタル放送が視聴可能となる「エコ・ポン・パッ」は本機でも健在だ。番組録画/録画予約や番組表の確認、データ放送などはOSの起動が必要となるが、TV視聴中にリモコンの「PCモード」ボタンを押すとバックグラウンドでOSが立ち上がるほか、TVモードとPCモードの切り替えはリモコン操作で可能だ。これはたしかに便利な機能なのだが、バックグラウンドでOSが完全に起動したかを確認する明確な方法がなく、マウスを動かしてカーソルが現れるかなどで判断しなければならない。エコ・ポン・パッでTVを見ていて急に番組表を見たくなったときなどはいらいらさせられることがままあった。
一方、OSにWindows XP Media Center Edition 2005を採用した従来モデルでは、Media Center用とTV用の2つのリモコンが付属していたが、本機から同社のハイビジョンTVやDVDレコーダー「Wooo」シリーズの「Wooo かんたんリモコン」をベースにした新デザインのリモコン1つに統合された。このリモコンには、Windows Media Centerをワンタッチで呼び出せる「Windows Media Center」ボタンが中央に用意され、使い勝手も向上している。
家電ライクのデザインと使い心地を前面に打ち出した実直な製品
本機は、テレパソをうたう製品らしく「PC流の使い勝手をユーザーに強要する」ことのない、家電らしいデザインと使い心地を前面に打ち出した製品だ。OSがVistaになっても、従来からの基本方針を貫いていることが確認できた。PCとしての基本性能も前モデルと比較して確実にグレードアップされていて、TV機能とPC機能のいずれも一般的な用途を想定しているユーザーならば十分満足できるレベルに仕上がっていると言えるだろう。
実売価格は、地上デジタルチューナーを備えたAW35W5Tが24万円前後、さらに地上アナログチューナーも内蔵した最上位のAW37W5Tは27万円前後と手堅くまとまっている。新OSのVista搭載にあわせて新機能の導入があまりなかった点は物足りなさを覚えるが、これまでと同様の使い勝手を堅持した実直な製品であることは間違いない。
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